「もっとしてほしいって顔してますよ。言ってください。気持ちいいって」
実家が営む居酒屋の看板娘・理生は、大企業の創業者で常連客の三橋から「お嫁に来ちゃう?」と誘われる。冗談だと受け流していたら、イケメンな3人の甥っ子を紹介され、そのうちの一人、大智のアプローチでお付き合いをすることに。不器用ながらも誠実で穏やかな大智の人柄に惹かれ、結婚を承諾する理生だけど、この結婚には何か裏があるようで…!?
「可愛い」
抱きしめられ、耳元で囁かれる。
ふっと首筋を、大智の吐息がかすめただけで、怪しい感覚が湧き起こり、理生は肩を跳ねさせた。
「感じた?」
「そ、そんなことない……!」
否定するも、身体の反応は正直だった。
密着した身体に感じる彼の体温と、耳にかかる吐息だけで身体の奥が熱くなっていく。
いつもと違う環境だからだろうか。いつも以上に身体が敏感になってしまっているような。
「感じていないのなら、それは問題なんだけど」
そう言いながら、耳朶の裏にまで濡れた舌が這わされる。ぞくぞくとした快感の兆しが、腰のあたりを揺蕩い始めた。
「や、あっ……」
身体を前に倒して逃げようとすると、ぐいと引き戻される。
そのまま今度はうなじに口づけられて、理生の身体に震えが走った。背後から抱きしめられているから、逃げることもできない。
大智の手が、ワンピース越しに胸に触れた。
「あぁっ……!」
服に覆われているのに、普段よりも敏感になっている気がする。軽く撫でられただけで、身体に甘やかな痺れが走る。
「やっ……ん、ぁっ」
そのまま両胸を背後からやわやわと揉みしだかれる。
こんなに感じてしまっていいのだろうかと頭の片隅で考えながらも、抵抗らしい抵抗はできない。ただされるがままに、快楽を与えられるだけだ。
ブラジャーの上からでもわかってしまうのではないかと不安になるほど、頂が勃起している。そこを押し潰すように指先でいじられれば、理生は喉を反らして喘ぐことしかできなかった。
「あ、んっ! ああぁっ!」
いつもより数倍も気持ちよかった。爪でひっかくようにされたら、理性がぐずぐずに溶けていく。このままではいけないと思うものの、どうすることもできなかった。
「だめ……も、立ってられない……!」
先ほどからずっと足ががくがくとしている。これ以上続けられたら、床の上に膝をついてしまうかもしれない。
でも、大智の手は止まらなかった。それどころかますます強く乳房を刺激してくる。重点的に頂のあたりを爪で刺激し、首筋に舌を這わせてきた。
「あっ、あっ! あぁーっ!!」
声を抑えることもできなかった。首を振って快感を逃そうとするけれど、それも無理な話。息が乱れて、肩を揺らす。
「……ここは嫌?」
耳元で艶めいた声がする。
それにすら反応してしまう自分が恨めしい。大智の声は媚薬のように耳から忍び込んできて、理性を奪おうとしてくる。
「……もっとしてほしい?」
返事なんてできるわけがないのに、大智は意地悪な笑みを浮かべる。そしてワンピースの裾から中に手が潜り込んできた。
「や、だめっ……」
「どうして?」
問いかけたかと思えば、耳にふっと息をかけられる。その間も、理生を抱えている方の手は乳房を愛撫したまま。
下から持ち上げたかと思えば、きゅっと押し込むようにされる。腿の内側を我が物顔に這っている手も理生に落ち着きを失わせた。
「あ、あ……」
立っていられないと、ちゃんと伝えたはずなのに、膝の間に大智の膝が入り込んでくる。理生の身体を支えながら、脚の付け根をくすぐられた。
「だめ……だめ、だってば……」
弱々しい訴えの声は、大智の耳には届いていないよう。下着越しに、指の腹が秘部を撫でた。
とろりとしたものが、秘裂から溢れ出したのを自覚する。かっと頬が熱くなった。
「……濡れてきた」
ぼそりとつぶやかれた言葉に、理生は羞恥で顔を赤くする。
「言わないで……!」
わかっているから、あえて言葉にしないでほしい。どうして、今日に限って意地が悪いのだろう。
肩越しに振り返って睨みつけたけれど、蕩けた目では迫力がないこともわかっていた。
大智は楽しげに理生を見つめ返すだけ。
「可愛い……今日の理生はすごく可愛い……」
そうして、下着越しに割れ目を撫でてくる。同時に首筋をきつく吸われた。その刺激に、理生の意識は引き戻される。
「ん、ぁっ……」
彼の指が、ショーツの中に潜り込んできた。濡れた花弁が、指を歓迎するようにわななく。そのぬかるみに、指を沈められる。
「やっ、あっ……あぁ……!」
「……いつもより感じてる?」
くちゅりと、水音がした気がした。恥ずかしいのに、腰が揺れてしまう。もっと深いところまで刺激が欲しくてたまらない。
「だって……っ」
敏感な箇所を指先が的確になぞる。潤んだ花弁の蜜を絡め取ろうとしているみたいに指が揺らされる。空っぽの蜜洞がきゅっとなって、内部に指を迎え入れようと蠢いた。
「だ、め……っ、そんな、したら……」
がくがくと膝が震える。崩れ落ちそうになった理生を、大智の腕が支えた。
「あっ、あ……!」
強い刺激に腰を突き出しそうになる。理生の反応を見ながら、彼は親指で秘芽を押し潰すようにしてきた。とたん、目の前がちかっとなる。
「あぁぁっ!」
絶頂の予感に、理生は息をつめる。大智の腕の中で身体をこわばらせたけれど、頂点まであと少しというところで刺激がやんだ。
「あっ……?」
物足りなさに、思わず背後を振り返る。涙で潤んだ視界の向こうにあったのは、いつになく獰猛な顔をした大智だった。
「……理生」
耳元で囁かれる理生の名前。いつの間にか呼び捨てられたそれに、どうしてだろう。不吉な予感に身体を震わせる。
大智は、理生を抱え上げるとベッドへと運び、そのままベルトに手をかけ前をくつろげると、いきり立った昂りに、手早く避妊具をつけた。
「もっと気持ちよくしてあげる」
「やだ、だめ、だめだってば……」
「本当に?」
シーツに手と膝をついた状態で腰を抱えられ、背後からのしかかられる。耳に吹きかけられる息が熱い。理生を抱きしめる腕の力も強い。
「理生、好きだよ」
彼はいつも、そんな言葉で理生を甘やかす。大智の言葉に、反抗できなくなってしまう。彼への気持ちが、溢れてしまうような気がするから。
「わ、私も……」
好き、という言葉を続けることはできなかった。ストッキングとショーツがまとめて引き下ろされる。
「あぁ……!」
すでに熱くぬかるんでいるそこに、大智のものが押し当てられた。その熱さと硬さに、理生は身震いする。
「挿れるよ」
前戯もないまま挿入されるのかと思いきや、彼はぐっと先端を押し込んできただけだった。
「やぁっ……んっ……」
最奥まで満たされないから、物足りない。奥が脈打つようにうねって、満たしてほしいと訴えかけてくる。
「あ、あっ……!」
大智は焦らすように、浅いところで抜き差しを繰り返した。
「理生の中、熱くて気持ちいい」
うなじを甘噛みされて、奥がきゅうっと収縮し、大智のものにまとわりついて離さない。
「やだ、奥……」
たしかに快感は得ているけれど、浅いところばかりでは物足りない。自然と腰がくねり、少しでも奥に導こうとする。
「……やらしいな」
半分笑った声で言われたような気がして、理生は振り返った。大智の口角が上がっている。
急に猛烈な羞恥が襲い掛かってきて、目に涙がにじんできた。
「ひどい……意地悪……」
本気でそう思っているわけではないのは、きっと大智にも伝わっている。だって、理生の声は、甘ったるかった。自分でも呆れてしまうほどの甘えた声。
「ごめん」
謝罪の言葉を口にしながら、大智は理生の背中に口づける。そこから腰にかけて、いくつも痕を残された。そうしながら、ぐっと腰を突き入れてくる。
「ん、あっ……」
ようやく満たされる悦びに、腰をぐっと突き上げた。
冷静に考えたら、ひどく恥ずかしい状況だ。二人ともまだ衣服の大半は身に着けたまま。理生はベッドに上半身を伏せて、腰だけ突き上げた体勢だ。
「あっ、あぁっ……」
じりじりと押し込まれてくる熱。最奥まで入ったかと思ったら、ゆっくりと腰を動かされた。
理生は眉を寄せて喘ぐ。緩慢な動きでは達することなどできないのに、生々しい肉の感触に身体が震える。
「理生、気持ちいい?」
「んっ……気持ち、いい……」
本当はもっと激しくしてほしかったけれど、自分からは言えなかった。
言葉にはできなかったのに、身体は自然と動いていた。少しでも感じる場所に導こうと、腰を押し付けるようにし、回転させ、勝手に快感を貪ってしまう。
ゆっくりと前後に揺すれば、腰の動きに合わせるみたいに感度が高まっていく。
「あっ、あぁっ……やっ、あ……」
理生の動きに呼応して、大智が後ろから突き上げてくる。その衝撃であっという間に達してしまった。中がきゅうっと締まり、そのせいでいっそう彼自身の形を感じてしまう。それがまた快感となり、恍惚となって高い声を上げた。
「やだ、また……きちゃう……!」
「いいよ、イッて」
耳元で囁かれる声にすら官能が刺激される。大智は理生を抱きしめると、シーツに上体を押し付けた。そして、奥まで腰を押し進めると、そこで動きを止める。
「んっ、あぁっ……あぁーっ!」
その状態で動きを止められるのは、余計に感度を上げるだけ。
熟した蜜壁がきゅっと締め上げ絡みつき、それだけで新たな快感を貪ろうとする。
理生は背を反らせて、何度目かわからない絶頂に身体を震わせた。大智のものをきつく食い締めるせいで、余計に彼が中にいるのを意識させられる。
「くっ……きつ……」
大智が眉を寄せて、小さく呻いた。彼の余裕を奪えたことに謎の満足感を覚えた。
「はっ……ぅ……」
何度も快感を貪っているのに、腰を止めることができない。
背後から貫かれているせいで、いつもとは違うところを刺激される。それもまた快感を深めているのかもしれない。
「自分で動いてる」
指摘をされて、かっと頬が熱くなった。それでも腰を揺するのを止められない。
大智のもので最奥を刺激されるのも気持ちいいけれど、物足りないのだ。もっと奥まで満たされたいと思ってしまう。
その欲求に、素直になってますます腰をくねらせた。
「あっ……ああぁっ!」
びくびくと、腰が痙攣した。それでも、貪欲な身体はさらに奥へと導くように収縮を繰り返す。中に入っている彼のものを搾り取るようなそんな淫らな動き。
全身に絶え間なく痺れが走り、頭の中で閃光が瞬く。
「くっ……、そんなにしたら……」
大智が苦しげに呻く。理生は再び達したけれど、彼はぎりぎりのところでこらえたみたいだ。
中に入っている彼のものは萎えていなかった。それどころかますます硬度を増しているような。身体にまとわりついているワンピースを捲り上げ、背後から脚の間に手を伸ばされる。
内部に彼自身を咥えこんだまま、すっかり硬くなっている花芽に触れられたら、そこから鋭い悦楽が頭の先まで突き上げた。
「いっ……あ、あぁっ!」
これ以上されたら、おかしくなってしまう。そう訴えようとしたけれど、嬌声が喉から迸るばかりで言葉にならない。理生はシーツに額を押し付け、必死に息を吸った。
「気持ちいい?」
再び問いかけられて、必死でうなずく。すると、背後からぎゅっと抱きしめられた。
同時に中に入ったままの先端で最奥をぐりぐりとえぐられる。とたん、びくんと跳ね上がる理生の手。
「理生、可愛い」
「んっ……あぁーっ!」
耳朶を甘噛みされながら囁かれたと思ったら、うなじを強く吸われる。その感触で、また軽く達してしまった。
結合部からは、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いている。大智のものに絡みつき、淫らに締め付けているせいだ。
理生はシーツをぎゅっと握りしめる。頭が真っ白になり、ただ快楽の波に身を任せることしかできなかった。