高校の時いきなり告白され「十年後なら」と拒絶した相手尚樹とお見合いの席で再会した理世。とんでもなくイケメンで高収入の優良物件へと化した彼は変わらず理世一筋でグイグイと迫ってくる――「もしかして気持ち良くなってきた?」勢いに押され結婚してみたら、料理上手で優しい彼は、夜になるとちょっと強引に理世をとろかそうとしてきて……!?
「あ、あのっ。重いとか思わないんですか? この歳まで処女って……」
「なんで? むしろ最高でしょ」
「ええっ……あっ!!」
尚樹さんはにんまり微笑むと、私の体をいきなり抱き上げベッドに寝かせた。
マットレスのスプリングでぼよん、と跳ねた私の体に、尚樹さんが覆い被さる。
「そっか……処女だってことを気にしてたのか」
「そ、そりゃ気にするでしょ……」
「だからベッドも別々がよかったの?」
「それは……ただ単に、男性と一緒に寝るって経験が無いから、恥ずかしくて……」
もうだめだ。全部お見通しだ。
私は両手で顔を覆いながら、思っていたことを全部白状した。
ああ、恥ずかしい恥ずかしい。穴があったら飛び込みたい。
だけど、尚樹さんの反応は私が思っていたのと違った。
「そんなこと気にしなくていいのに……ほんと、理世は可愛いな」
嬉しそうに微笑みながら、尚樹さんがいきなり上体を起こすとTシャツを勢いよく脱ぎ捨てた。そして再び私の上に覆い被さり、私の手首をベッドに縫い止めた。
さっき目撃して激しく動揺したあの美しい裸体が、今私の目の前にある。そのことに息を呑みつつ、彼がなにをしようとしているのかがわからず身構える。
「あ……の、尚樹さん? なにを……」
「これから理世を抱く」
彼がきっぱりとこう言い放った途端、心臓がばっくんばっくんと大きな音を立てて跳ね出した。
「え? あの、さっきの話聞いてました? 私、初めてで……せめてキスからとか……」
「だからだよ。いつ抱かれるかわからずビクビクしているよりも、もう夫婦なんだから僕に抱かれたらいい。それにキスなんかしてしまったら僕はもう自分の欲望を抑えられる自信がないんだ」
「そんなに!? って……あの……手が……」
尚樹さんが話しながら、私のパジャマの前ボタンをプツプツと外す。
「ごめん。でも、正直言って、俺がもう耐えられないんだ。一緒にキッチンに立って食器を洗っていた辺りから、理世に触れたくてたまらなかった」
—え……
その呟きに敏感に反応してしまった私は、思わず彼の目を見つめた。
「理世。君を愛してる」
それに対してなにか言おうとしたら、彼の顔が迫ってきてあっという間に口を塞がれてしまう。
「んっ……」
—キ、キス……!!
初めてのことに戸惑い、カチコチに体が固まる。そんな私を置いてきぼりに、尚樹さんの唇が私の下唇を食んだり、チュッと啄むようなキスを繰り返す。
何もかも初めてな私に合わせてなのか、彼はとことん優しく私に触れてくる。
—キスって、こんな感じなんだ……
大人しくされるがままになっていると、唇を離した尚樹さんが私の肩口に顔を埋めた。
「ああ……柔らかい……だめだ、嬉しくて死にそう……」
「ちょ、なに言ってるんですか……」
私はあなたとは違う意味で死にそうですけれど。
少しだけ頭が冷静になりかけたそのとき。再び尚樹さんが口づけしてきた。さっきと同じような優しい口づけかと思いきや、いきなり舌を差し込まれた。
「……っ……!」
ぬるっとした肉厚な舌が私の口に入ってきて、驚いてビクッと体が震えてしまう。だけど彼はそれに構わず、私の口腔に舌を這わせ奥に引っ込んでいた私の舌を誘い出した。
これにどう反応していいのかがわからなくて固まっていると、尚樹さんがいったんキスをやめ、私を窺ってくる。
「……理世、大丈夫? 怖い?」
「こ、こわ……くは、ない……でも、どうしたらいいのかわかんない……」
ほぼ尚樹さんが一方的にしているだけで、私はただ体を縮めて寝ているだけ。これでは尚樹さんからすれば人形を抱いているようではないのか。
だけれど私の不安など、彼は軽やかに笑い飛ばした。
「そんなこと気にしなくていいんだよ。俺は、君とこうなっているだけですっかり夢見心地なんだから」
—夢見心地って……
尚樹さんの笑顔とその言葉に、思わず胸がときめいた。それと同時に下半身が疼いて、じわりと股間が濡れ始めたのがわかった。
今、自分は確実に目の前の男性に欲情している。それを今、はっきりと自覚した。
「衝動が抑えられなくて悪かった。本当に嫌なら……」
彼が話している途中、私は彼の首に自分の腕を回した。
「嫌じゃ……ないよ」
もう、ここまで来たら腹をくくるしかない。それに、このタイミングを逃してしまったら、尚樹さんとの関係もぎくしゃくしてしまうかも。
それだけはなんとしても避けたかった。
—なんとか夫婦でやっていけそうだって思えてきたところだったんだもの。だから……どうか—
お願いだから、抱いて。そう願いを込めて尚樹さんの首に回した腕にぎゅっと力を籠める。
「理世」
名前を呼ばれそちらを向こうとした。が、いきなりまた唇を強く押し付けられてしまう。
しかも尚樹さんの手が頭と腰に回り、私を強く抱きしめてくる。この感じは……そうだ、突っ込んできた車から私を守ってくれたときと同じ……
あのときのことを思い出したら、ドキドキがさらに大きくなった。
「……っ、ん……あ……」
強く抱きしめられたままキスが続く。さっきはされるがままだった私も、今度は自分から舌を絡めてみたり、尚樹さんの唇に自分の唇を押しつけたり。初心者だけど、それなりにちゃんと応えたくて必死だった。
どれくらいの間キスをしていたかわからない。でも気がついたらパジャマの前ボタンがすべて外され、素肌に直接身につけていたキャミソールが露出していた。
「全部脱がせちゃっていい?」
これに黙って頷くと、パジャマもキャミソールも脱がされ、なにも身につけていない上半身が彼の前に晒された。
恥ずかしくてどうにかなりそうで、思わず両腕で胸を隠そうとする。でもすぐ尚樹さんに腕を掴まれ、ベッドに縫い止められる。
「理世、綺麗だ。想像していたよりもずっと綺麗すぎて、言葉にならないよ……」
彼はトロンとした目でこう呟くと、私の胸元に顔を近づける。
「そう、ぞう……?」
—それってどういう……
ことですか。と聞こうとしたら、胸の先をべろっと舐められビクッとする。
「あっ……!!」
思わずボリューム大きめの高い声が出てしまい、ハッとしてすぐ口を手で覆う。
自分の口からあんな声が出るなんて。初めての経験に驚いたのと同時に、恥ずかしさで体が熱くなってきた。
だけど、こんな私の反応は彼にとっては嬉しいものらしい。
尚樹さんは胸の先に舌を這わせつつ、胸元から私を見上げる。
「理世の声、可愛いな。もっと聞きたい」
「そ、んな……ああっ!!」
呟きに反応しようとしたら、今度は胸の先を口に含まれ飴玉のようにしゃぶられてしまう。しかももう片方の乳房の先を二本の指でくりくりと弄ばれ、常に与えられる電気のようなピリッとした快感に襲われていると、勝手に呼吸が荒くなってくる。
「はッ……あ……んっ……」
こんな艶めかしい声を漏らしているのが私だなんて、まだ信じられなかった。
尚樹さんに胸を愛撫されているだけで、だんだん体が熱くなって、顔が火照る。でもそれだけじゃない。体の奥の方から、今まで経験したことのないようななにかがせり上がってくるのを感じた。
—なに、これ……私の体で今なにが起こってるの……?
快感に身悶えしながらも、どこか遠くの方で冷静な自分がベッドに横たわる自分を俯瞰で見つめている。そんな感覚に陥っていた私だが、そんな余裕があったのはここまで。
「理世、下も脱がすよ」
「あっ……ちょ、まっ……」
私が止めるのも聞かず、尚樹さんが私のショーツとパジャマのズボンを、一気に脚から抜き取った。
—……!!
彼に全裸を晒し、どうリアクションをしたらいいのかわからなくて、つい顔を背けた。
「理世、ちょっとごめんね」
「え、なにが……きゃあッ!?」
彼がなにに対して謝っているのかがわからなくて、何気なく足下を見る。すると、尚樹さんは私の脚を広げ、あろうことか私の股間に顔を埋めた。
「きゃ……や、やだやだ!! やめて、そんなこと……ああっ!!」
私が脚をばたつかせて拒否しようとしても、尚樹さんにしっかり脚を掴まれてしまい思い通りに動かすことができない。しかも、顔を埋めた尚樹さんは、股間の繁みの奥に舌を差し込み、襞の奥に隠れている敏感な蕾をツンツンとノックした。
そこはこれまでの人生で人に見せたことはおろか、触らせたことなんかない場所。そんな所を舌で愛撫されるというのは、ある意味ものすごい衝撃を私に与えた。
というか、恥ずかしくて死んでしまいそうだった。
「いやっ、やめて尚樹さんっ。そんな……汚……」
脚を閉じて逃れようと試みる。だけど、やっぱり尚樹さんはそれを許してはくれなかった。
「汚くなんかない。理世のここ、すごく綺麗。ほら、だんだんぷっくりしてきた。それにもうとろとろだ」
—……っ、や、もうっ……
舌での愛撫だけにとどまらず、観察まで。そこまでされたら、もう反論する気すら起きない。彼は、私を恥ずかしさの極地に追い詰めてどうしたいのだ。
そんなことを考えても、口にすることはできなかった。なぜなら、再び始まった愛撫に思考を奪われてしまったからだ。
「あっ……は……あっ……」
ざらりとした舌で蕾を嬲られながら、同時に膣へ指を差し込まれる。始まりは入り口の浅いところに溢れ出る蜜を塗りつけながら。そして指は奥へと進む。
膣壁のあらゆる場所を擦るその動きは、私が気持ちいいと感じる場所を探っているよう。
一本から二本へと指が増えたと気がついた頃には、さっきよりも格段に水音は増していた。
ジュブ、クチュ……
いやらしい水音は、確実に私の羞恥を煽っていった。
—私、こんなにに濡れ……っ
自分の体が尚樹さんの愛撫でとろとろになっている。それがありありとわかるから、尚更恥ずかしさは募る。でも、今は恥ずかしさに悶えている余裕などない。
それよりも、体の奥からせり上がる快感がだんだん大きくなってきていることの方が気がかりだった。
「や……な、尚樹さんっ……私……なんか……」
私が声をかけたら、彼の動きが一旦止まる。
「もしかして気持ち良くなってきた? じゃあ……あと少し」
尚樹さんは股間に顔を埋め、ジュルジュルと音を立てる。蕾を強めに吸い上げられるにつれ、高まりつつあった快感は、一気に頂点への距離を詰めた。
「あっ、だめ……っ、だめ……っ、なんか、きちゃうっ……!!」
イヤイヤと首を左右に振りながら、快感に悶えた。その結果、お腹の奥が一気にキュッと締まり頭の中が真っ白になった。
「はッ……あ……」
全身から力が抜け、目を閉じたまま呼吸を整える。
今のはなにだったのだろう、と考えながら目を開けると、目の前に上体を起こした尚樹さんが私を見て微笑んでいた。
「理世、もしかして初イキ?」
「イキ……イった、ってこと……?」
「そう。初エッチでイクなんて、なかなか感度いいな」
経験はなくとも知識はある。でも実際イク、というのがどういう状況を指すのかがよくわかっていなかったのだけど、ついにわかった。
でも、初めての経験だし他の人がどうなのかがわかっていないので、感度がいいのかどうかはよくわからない。
初絶頂を経験しぼーっと考えている間、尚樹さんはベッドの端に腰掛けていた。
なにをしていたのだろう、と心の中で首を傾げていたのだが、私のそばに戻ってきたときになにをしていたのかはすぐ判明した。
「な、尚樹さん……あの……」
彼の股間からは、太くてたくましい剛直が見事にそそり立っていた。しっかり避妊具付きで。
—うそ、ふ、太い……あれ、入るの……?
私が困惑で言葉を発せずにいると、彼が膝立ちになって私との距離を詰める。
「僕ももう限界なので」
「あの、それ、入ります……?」
「入ります、大丈夫」
私からの素朴な疑問に、尚樹さんが少しだけ口元を緩ませつつさらっと返す。そして、ついに私の股間に硬いものが当てられ、少しずつナカへ沈められる。
「あ……」