一途に想い続けたイケメン年上エリート医師×婚約者に裏切られた彼女
病院の情報管理課勤務の稚奈は覚えのない浮気の写真を突きつけられ、皆の前で婚約破棄される。それは自分こそ浮気していた婚約者が作り上げた冤罪だった。仕事も責任者から外され失意の彼女に、ドイツ帰りの医師・倉橋が接近。元婚約者を見返すため、恋人にならないかと甘く誘惑され、とまどう稚奈。どうやら彼は稚奈を前から知っていたようで――!?
慈しむように消えることを惜しむように頬を撫でていた倉橋の手は、うなじへ至った瞬間に力強く引き寄せるものへと変わる。
慣れぬ強引さに心臓が跳ねたと同時に足がふらつき、顔が男の厚い胸板へと抱き寄せられた。
「あっ……」
驚きと戸惑いのあまり上げた声は、だけれどどこか期待にも満ちていて。
流れる動作で顎を捕らえて顔を上向けられた途端、倉橋の顔が視界いっぱいを埋め尽くし、たちまちに唇を奪われてしまう。
熱く、柔らかいものが表皮に触れ、すぐに覆い尽くす。
伝わる体温がまるで倉橋の情熱そのものに感じられ、陶然とした気持ちとともに身体の芯が柔らかく解きほぐされていく。
軽く食むようにしながら上唇、下唇をついばみ、戯れていたのも束の間、止めていた息を継ぐために開いたあわいを抜けて男の舌が稚奈の口腔へと入り込んできた。
濡れてぬるりとした感触が歯茎を淫らに刺激する。
奥から手前へ、手前から奥へと繰り返されるにつれて、稚奈の情欲が燃え立たされていく。
かすめるように歯の根元を舐めたかと思えば、丹念に奥を、あるいは頬の内側を掻き回される。
そうするうちに溜まってきた唾液をこぼすのが恥ずかしく、呑み込もうと稚奈がわずかに口を開き喉を反らせば、自然に歯列まで開いてしまいそこから更に奥へと侵入される。
最奥まで舌を含まされながら、ただ稚奈は身を任せることしかできない。
なのにそれでいいと言いたげに、倉橋の手はうなじから背を撫で――やがて臀部に至る。
ぐい、と尻を持ち上げられ、同時に覆い被さられる。
まるで身のうちに閉じ込めようとするかのような男の動きは、少し苦しくあったが止めてほしいとは思わなかった。
絡んだ舌はいつしか倉橋の口腔へと導かれ、想像を超える熱と濡れた感触に身が跳ねる。
その反応すら逃したくないときつく抱きしめられ、さらに貪られていくうちに酸欠からか頭がくらくらしてきて、足下が覚束なくなった。
ふらりとよろめいた途端、倉橋の身が大きく沈んで稚奈の身体を抱え上げた。
「きゃっ」
突然訪れた体勢の変更に目を大きくし、彼に抱きつけば、そんな反応もたまらないと囁かれ、首筋に軽く歯を立てられる。
じんとしたものが噛まれた場所から血肉へと染み渡り、身体のあちこちを火照らせていく。
意図せずこぼれた吐息は熱く、女の色香に満ちていた。
荒れた呼吸を知られるのがなんだか気恥ずかしくて、顔をうつむけ彼の肩に埋めている間にベッドまで運ばれ、優しく労る手つきでシーツの上へと下ろされる。
柔らかいマットレスが音もなく体重を受け止め沈む。
そんな些細な感覚ですらなにか意味深で、――これから始まるであろう長い夜を期待させた。
男の長く硬い指先が首筋と襟の境目を辿り、そこから連なるボタンを一つずつ撫でては視線をこちらに寄越される。
自分の肉体ですらない、有機物ですらないボタンに触れられているだけなのに、どうしてか呼吸がますます上がる。
まるで稚奈の視線から追われるのを楽しむように、服の稜線を辿っていた倉橋の指先がからかうように跳ね、しばらく空で留まった後、打って返す速さで乳房を包み込む。
「あっ……ッ、っ……ぅ」
手の平で押し上げるようにしながら、全体を指で包み込んだ後、絞り出すように力を込めて指を膨らみに沈ませていく。
だけど服という邪魔があるせいですべてを捕らえきれず、指は肌に布地の感触ばかりを残す。
それがもどかしくて、ちゃんと触れてほしいという期待が頭を侵食していく。
まだ湯を浴びていないことや、夜が始まったばかりであることなど、とうに抜け落ち、冷静さは熱情に取って変わられようとしていた。
そうやって稚奈を焦らしながら倉橋は、器用に稚奈の服を一枚一枚剥いでいく。
指の動きは正確かつ繊細で、たちまち上着もシャツもはだけられる。
薄暗い室内に、わずかに汗ばんだ女の肌が仄白く浮かぶ様はなんとも艶めかしく、稚奈はこれが自分なのかと驚くほどだ。
「綺麗だよ。とても……白くて、滑らかで……こうして可愛がるほどに朱に染まる」
目を細め、尊げに呟かれ鼓動がますます急いていく。
そんなことは、と言いかけた稚奈は倉橋の視線の強さに気付いて唇を引き結び、恥ずかしさを堪えてうなずいた。
多分、求められているのは謙遜や遠慮ではない。
ただあるがままの稚奈を、偽らぬ姿を見たいのだと訴えてくる視線は強烈で、逆らうことを許さない。
普段紳士的で、稚奈を尊重してくれる倉橋の、柄にもない強引さにドキドキしつつつ、自分からも手を伸ばし、彼の頭に触れる。
思っていたより柔らかい質感の髪を指に絡め梳き、大胆だとわかりながらも口を開く。
「もっと、見ますか……?」
「……悪い子だね、私を挑発するなんて。どうなっても知らないよ」
喉を震わせ、楽しげに囁く男の声が耳朶を撫でる。
その微かな感触にさえ肌がざわめき、じんとした痺れが身をくねらせる。
「じゃあ、見ない?」
「見ない訳がない。いや、見るだけで済ませられるはずがない。……わかっているだろう」
これからすることを、その意味を問う声に、稚奈は小さくうなずいてから彼の頭を引き寄せてその首筋に顔を埋め上気した頬を隠す。
照れくさいのと恥ずかしいのと嬉しいのと、いろんな感情がないまぜとなって頭を乱す。
そんなことに気を取られている間にも倉橋の手は緩やかに、しかし大胆に動き稚奈の身体から服を剥いでいく。
顕わになっていく肌を追うように、唇が身体に触れなぞり、そのたびに稚奈の身が跳ねる。
少しずつ、だが着実に高められていく自分に陶然となっている間に上着もスカートも脱がされていて、気付いた稚奈があわてて手をブラジャーの上へ置き留めようとすると、からかうように右脚を持ち上げられた。
「ひゃっ……ッ、あ、あ、あ」
肩に膝裏をかけるようにした形のままふくらはぎに頬ずりされて、声が上がっていく。
時折、薄いストッキングを噛んで引っ張り、あるいはその上から舐め濡らしながら笑っていた倉橋は、ふと気付いたように視線を稚奈と合わせつぶやいた。
「君の脚に触れるのは……二度目だな」
一度目は捻挫の手当の時だったが、今は関係も状況もまるで違う。
そのことを意識させられ唾を呑めば、彼はどこか昏い光を目に灯しながらストッキングに爪をかけた。
「あの時は、こうしてやりたい欲情を抑えるのに大変だったよ」
言いながら、薄い繊維を破り捨てる。
布が裂ける甲高い音と、稚奈の嬌声が重なり響く。
音の大きさにはっとしたものの、倉橋のほうはまるで構わず剥き出しになった稚奈の肌に手を沿わせ、始まりとは逆に下から上へと手を這わせ、肌を撫で煽りたててだす。
足首からふくらはぎ、そして太股――。
付け根に、秘部に触れられると目を固く閉じた途端、指は羽のようなささやかな感触を残して飛び、腰を強く掴んで引き寄せられる。
「んは……っ、あ」
ずるりと背が擦れる。だが痛みはない。
ただシルクの艶めいた滑らかさが肌を撫でる感触が、戸惑いと興奮を掻き立てるだけで。
覆うように肌を撫でられ大きく息を継いだ途端、倉橋の頭が下がり稚奈の鎖骨に伏せる。
一拍置いて唇の感触が薄い皮膚に覆われた骨の部分に感じたかと思うや否や、すぐに肌を吸われあられもない声がでる。
「あ、ああ……っ、あ」
こんな声ははしたない。淫ら過ぎだと頭のどこかでわかっていても止められない。
身体の関係は元彼との間でもあったが、それとはまるで感じ方が違う。
流れで付き合う相手と、心から欲しいと思った相手に触れられるのはこうまで違うのか。
驚きながらわずかに肘をたてて身を起こせば、倉橋が鋭い眼差しで稚奈を捕らえた。
「余計なことは考えないことだ。私が嫉妬で理性も自我も失わないようにね」
言いながら唇を鎖骨から胸の膨らみの麓へと滑らせ、また強く肌を吸う。
ちくりとした痛みは、けれどすぐ快楽の疼きとなって骨身に染みて、稚奈はたまらない気持ちにさせられる。
嫉妬しかねないほどに夢中だと記すように、倉橋は次々と稚奈の肌に赤い花弁の跡を刻みながら残る片手でブラジャーの留め金を外すと、かなぐり捨てるようにそれを奪って放り投げる。
押さえられた乳房がふるんと揺れ夜気にさらされる。
呼吸ごとに震え揺れる柔肉の先では、薄く色づいた尖端がすでに硬くなりだしていた。
「あっ……」
目の当たりにした自身の淫らな変化に顔を真っ赤にそめつつうろたえると、倉橋は知ってると言いたげな笑いを顔に刻み――それから尖端に唇を触れさせた。
「んっ……っ」
わずかな接触だったにも拘わらず、そこから広がる疼痛は強く、たちまちに身体の芯を熱し蕩かしてしまう。
思わず背が浮いてしなる。
反応しすぎだとわかっていても止められない。
捧げるように乳房が持ち上がった途端、堪らないと言いたげな勢いで倉橋は尖端を口に含む。
途端、ぬるりとしたものが表面を濡らし熱と淫らさを身体に染み渡らせる。
一方で反対側の乳房を強く鷲掴みにされ、心臓そのものが掴まれたようにきゅっと絞まった。
切なさと、甘苦しさに身体が震えるがどうにもならない。
身体が燃え立つように熱く、あちこちが疼痛に見舞われて、ただ快楽ばかりが内側でうねる。
指が柔肉に沈むほどきつく掴まれ絞られたかと思えば、不意を打って手放され、切なさが込み上げる直前にまた掴まれ感じさせられる。
戯れの手遊びに似た動きをしていた男の手が、徐々に熱と汗を纏っていくのが心地いい。
速くなる呼吸は熟れて熱く、鼻孔から抜けていく声は女の欲に満ちている。
自分の声が自分のものでないように艶めいて響くのに、どこか不思議な気持ちを抱きながらも、稚奈は身を乱す得体の知れない衝動を掴むように腕を伸ばし、倉橋の首へと投げかける。
「真仁……さん」
初めて知る本物の快楽に名を付けたくて、だけどよそよそしく倉橋先生と呼ぶのは違う気がしてそう呼べば、それまでどこかに冷静さを保っていた倉橋が、はっと荒々しく息を吐き、稚奈がそうしたように名を呼び応じる。
「稚奈……好きだ。どうしようもなく、欲しい」
引き絞るような声なのに、そこに含まれる感情は怒濤の勢いに満たされていて、そのことが稚奈の女の部分を強く刺激する。
投げかけた腕に力を込めて引き寄せたのと、彼が胸の果実にかぶりついたのは同時だった。
待ちきれなさのまま肌を甘噛みし、乳嘴を口に含み転がし、指でせわしなく揉み込まれ、稚奈は性の奔流に流されるまま断続的に喘ぎ声を放つ。
「あああっ、あっ、あっ……ああ!」
欲しいという衝動が内側でどんどんと大きくなるにつれて、下腹部がじくじくとした熱に侵されていき、やがて収縮しだす。
秘部を覆う下着はとうに汗と、それ以外のねばつく蜜で湿っており、布地が皮膚を擦るもどかしさを絶えず残し身を煽り立てる。
壊れたオルゴールのように何度も倉橋の名を呼び、縋り、肌をより密着させた。
互いの体温が同一になると、どこまでが自分でどこまでが惚れた男かもわからなくなっていき、このままいっそ一つになれたらとさえ希う。
だけどそれも彼の指が下腹部の茂みをくぐるまでだった。
女の中で一番敏感な部分に硬い男の指先が触れた途端、電流に似た刺激を身体が駆け抜ける。
「んあっ……あああん」
小さな尖りに触れ、離れ、擦られるたびに、激しい悦が込み上げる。
それをなだめるように大きな手の平が恥丘を包んであやしてくれるけれど、そんなものではもうどうしようもないほど衝撃が強い。
内側が溶けていくような感覚とともに、控えめに合わさった秘裂から蜜が漏れていく。
指先の湿り気でそれを感じたのだろう。倉橋の指がそっと身体の真央に添えられたかと思うと、その存在をしっかりと教え込むようにしてじわじわと裂け目に沈んでいく。
焦れるほどゆっくりと、だが力強く合わせ目を割った男の人差し指が濡れそぼりだした秘唇に触れた途端、花が自ずと開くようにそこが割れてねっとりと彼の指先を包み込む。
その感覚がたまらなかったのだろう。倉橋が艶めいた吐息を漏らし呻く。
「濡れてきているね」
わずかに上がった息の中、それでも抑制された声で問われ視線を逸らすが、それで諦めてくれるような男ではないのはわかっている。
沈黙の中でも稚奈の覚悟を読み取ったのだろう、倉橋は耳朶に唇を触れさせながら笑う。
そして次の瞬間、耳朶を口に含み甘噛みすると同時に指を蜜口へと沈めて浸す。
「ああっ、あっ!」
ほんの少し、指先だけの部分が入っただけなのに、堪らないほどの愉悦が走り抜けた。
もう背だけではなく喉まで反り返り、身体が空に浮いて震えてしまう。
声は放埒に跳ねては響き、二人の間の空気をより淫密に濃く煮詰め、そこに抑制された男の吐息が熱と情を吹き込み乱す。
髪が乱れて散るのも、シーツが皺寄るのも、もう気にならないほど行為に思考が没頭しだす。
秘裂を割り沈んだ倉橋の指は、耳朶を噛まれる刺激に合わせてより深く埋められ、中にある隧道を拡げ満たしていく。
じわりじわりと内部を侵食されていくが、怖さや違和感よりも喜びが勝っていくのはなぜなのか。わからないまま稚奈はただ男の指の動きに合わせ喉を震わせ啼く。
内側にある粘膜が男の指に馴染んで纏わり付くのさえわかるほどそれは生々しく、なのに繊細で稚奈の欲望を焚きつけ自制心を失わせていく。
ずぶりと根元まで差し込まれ、満たされた心地よさがあるのにまだ足りないとどこかで欲を煽る声が響く。
腰が自然に揺れてしまう。
なのに男の指はそれ以上進むこともなければ動くこともなく、そのことが尚更にやるせない気持ちを膨らませた。
たまらず大きく吐息を吐けば、それを奪うように深く口づけられる。