最愛の彼女だけが欲しい極上御曹司×「私なんか」と思ってる彼女
大手商社で堅実に働く楓が友人の勧めでマチアプを始めると、最初にマッチングした相手は、密かに憧れていた上司で御曹司の御堂だった。婚活仲間として親しくなり始めるも、実は初めから彼の狙いは楓で!? 共に出張したドバイで二人の仲は急接近。「そんな顔見たらますます我慢できなくなる」楓は戸惑いながらも彼と情熱的に結ばれ、溺愛は激しくなり!?
「わあ! 壮哉さん、噴水ショーが始まりましたね!」
目の前にある噴水を指差すと頬が触れあうほど壮哉が近づく。楓の胸がドキンと鳴った。
「本当だ。さすがドバイは派手だよな」
「ですね……」
(ひゃっ)
さりげなく腰を抱かれた瞬間、噴水どころではなくなった。
隣をちらと見ると壮哉もこちらを見つめていて、慌てて顔を背ける。
するとさらに腰を強く抱き寄せられて、熱い手が腰のところでうごめいた。
(ちょっ……壮哉さん!?)
楓の困惑をよそに、頬を壮哉の鼻の先がかすめる。唇が耳に触れる。
そして、さらに強く抱き寄せられて……
楓の胸は破裂しそうなほど高鳴った。周りには人が大勢いるのに、このままキスでもされそうな雰囲気だ。
「あっ、あのっ」
かすれた声をあげると、腰の手がさりげなく離れた。
(びっくりしたぁ……)
まだ騒がしい胸を押さえて、壮哉の横顔を一瞥する。彼の目は依然として誘うように楓を捉えていて、唇の端は官能的な笑みを湛えている。
(ちょっと、悪い男がすぎませんか……?)
けれど、楓の身体は正直に壮哉に対する欲望を訴えていた。胸が激しく高鳴り、脚のあいだはとくとくと疼いている。
どんなことになっても後悔はしないと決めたのに、こんなことで怖気づくとは情けない。
フロアに戻り、ドリンクやスイーツのもてなしを受けて少しゆっくりしたあと、ふたりは食事をしに展望フロアより少し下の階にあるレストランに向かった。
予約済みだったらしい窓際の席からは、やはりダウンタウンの夜景がよく見える。先ほどより近くなったせいか眩い光が迫ってくるようだ。
壮哉が選んだコース料理はどれもとてもおいしく盛り付けもおしゃれだった。
食前酒を片手にひと口サイズのアミューズを楽しんだあとは、野菜のムースのキャビア添え、シーフードのセヴィチェオレンジソース、そして和牛のステーキにトリュフを散らしたもの、と続く。
しかし、楓はどれも中途半端に手を付けて皿を下げてもらっていた。
「もしかして疲れた?」
壮哉が気遣うように楓の顔を覗き込む。
「いえ、そうじゃないんですけど……」
緊張して食が進まないだけだったが、今夜誘われたらOKしようと思っているためだとはもちろん言えない。
「今日は本当に楽しいことばかりで胸がいっぱいで」
そう言って視線を上げた時、周りの女性客がちらちらと壮哉を見ていることに気づいた。
「みんな見てますよ。壮哉さんがかっこいいから」
「俺じゃない。君がきれいだから気になってるんだよ」
楓は首を横に振った。着飾ってはいても楓は特別目立つ存在ではない。
「壮哉さんを見てるんだと思いますよ」
「気になる?」
「少し」
壮哉がワインをひと口のんで両手を顔の前で組んだ。
「じゃあ俺だけを見ているといい」
ドキンと胸が強く跳ねた。
少し小首を傾げた壮哉から発せられる眼差しは熱くて色っぽく、見つめているだけで鼓動が速くなる。
ふっくらと柔らかそうな唇は誘うように口角が上がっていた。昨夜の口づけの感触を思い出して、楓は喉の渇きを感じた。
「もう出ようか?」
「は、はい」
辛うじて出した声はかすれていてほとんど聞こえなかっただろう。
いよいよだ。もし壮哉がそういうそぶりを見せたら、怖気づかずに頷くこと。そう自分に言い聞かせて震える脚で立ち上がる。
帰りのリムジンでは、ふたりとも押し黙ったままだった。
車がどこへ向かっているのか楓は知らない。わかっているのは、今夜泊まるところへ向かっているのだろうということだけ。
リムジンはペルシャ湾に突き出た人工島にある、巨大なホテルの車寄せに滑り込んだ。
「すごい……」
壮哉の手を借りて車を降りた楓は、あんぐりと口を開けた。
目の前にそびえるエントランスの壮麗なこと。大きな一枚ガラスの向こうにはぴかぴかと金色に輝く豪華な内装が見える。
「ここはドバイでも最高ランクのホテルなんだ。きっと驚くよ。行こうか」
「は、はい。楽しみです」
差し出された壮哉の腕に手をかけて入り口をくぐる。
ロビーのデザインはモダンでとにかく美しく、まるで王の居城のようだ。
床と壁は白と黒のマーブル模様の総大理石張り。あちこちにある装飾は金色で、首が痛くなるほど高い吹き抜けに巨大なシャンデリアが吊り下げられている。
今朝まで泊まっていたホテルもかなり高級だと思っていたが、レベルがまったく違う。
エレベーターのドアが閉まると同時に楓は深いため息をついた。
「すごいホテルですね。圧倒されて声も出ません」
「まだロビーしか見てないのに。驚くのはこれからだよ」
壮哉が含みのある笑みを浮かべる。
エレベーターのドアが三十八階で開くと、そこはもう部屋の玄関ホールだった。
照明がついた瞬間、闇の中に浮かび上がった光景に楓は息をのむ。
そこは映画の世界でしか見たことがないような、とてつもなく広いリビングルームだった。
正面には壁全体を占める大きなガラス窓が広がり、その向こうにドバイの夜景がまるでパノラマ写真のように視界いっぱいに広がっている。
部屋の中央には、存在感を放つ重厚なダイニングテーブルが堂々と置かれていた。
その並びには、洗練されたデザインのリビングテーブルとソファが柔らかな陰影をまとって並んでいる。
床も柱も対面キッチンも大理石でできていて、高い吹き抜けからモダンなシャンデリアが吊り下げられていた。
(信じられない……こんな世界があるなんて)
言葉にならない衝撃に、楓はただただ立ち尽くす。
吹き抜けを見上げる楓の顔に壮哉の影が落ちた。しんと静まり返った部屋の中だけに、距離の近さに余計にドギマギする。
「あの……こんなにすごい部屋に泊まっていいんですか?」
壮哉が穏やかな笑みを湛える。
「もちろんだよ。今回の君の働きからすると、むしろこんなものじゃ足りないな。欲しいものがあったら言うといい」
「それじゃあ、あの……」
「ん?」
覗き込んでくる壮哉の視線に耐えきれず楓は下を向く。
「ほ、欲しいものというか、ええと……もう少し壮哉さんと一緒にいたいかな、って」
壮哉が静かに楓の後ろの壁に手をついたため、驚いた楓は顔を上げた。
「それって、もしかして誘ってる?」
間接照明の明かりを宿した壮哉の眼差しが妙に色っぽい。
「そっ、そういうわけじゃ」
顎に指がかかり、どきどきしながら顔を上げた。
男らしく端正な顔が近づいてきて唇に触れる直前で止まる。
「誘われなくてもそうするつもりだったけど」
「ん……っ」
囁かれた直後、楓の唇は壮哉の熱い唇に捉えられた。
ちゅっ、ちゅっと何度か優しく吸っただけで、唇が離れていく。壮哉は熱の籠った目で楓の目をじっと覗き込んだ。
「かわいいよ……楓」
再開された口づけは徐々に濃く、熱くなり、互いの唇の感触を確かめるように深く合わさった。
柔らかく唇を吸いつつ、内側の粘膜を舐っては吐息を絡ませあう。
楓の細い肩は、がっしりした壮哉の身体と壁のあいだに完全に押し潰されていた。
その重みに湧きおこる深い喜びと、少しの恐れ。これから起こることへの期待にぞくりと腰が震える。
「舌を出して……そう」
思い切り伸ばした舌に壮哉の舌先がぬるりと絡みついた。
静まり返ったリビングの入り口に、くちゅ、ちゅっ、と響きわたる淫らな音。見つめ合ったまま舌を愛撫されるにつれ、脚のあいだがムズムズしてくる。
「ン……ふ……そ、うや、さん」
濃厚な口づけを交しながら、壮哉は楓の髪を撫で、うなじ、肩、鎖骨といろいろなところを指でまさぐった。
大きな手に胸の膨らみが押し包まれた瞬間びくりとする。
「待って、そんなところ……」
「この状況で我慢できると思う?」
唇をつけた状態で色っぽく囁かれ、背中をゾクゾクが這い上がった。
壮哉もいつの間にか息を荒くしている。
下からすくい上げられた乳房は両手で優しく揉みしだかれ、そして指で頂を押される。
「ひゃっ!」
じんとした甘い痺れに思わず悲鳴が飛び出した。
乳首のある場所を服の上から押されるたび、びくっ、ぴくっと身体のあちこちが揺れる。おかしな声が出てしまう。
「だっ、だめ……変な声、出ちゃう」
恥ずかしくて手の甲で口を覆うと、壮哉が眉を寄せて唇を舐めた。
「かわいい……楓のそんな顔見たらますます我慢できなくなる」
興奮気味で囁く彼の上気した顔に、楓の胸がキュンと鳴いた。
社内ではカタブツで通っている彼が、女性に色目を使われても決して靡かない彼が、楓にだけ淫らな欲望をぶつけている。
(壮哉さんもこんな顔するんだ。しかもこんなエッチなことを……)
ごくりと唾をのんで、楓は壮哉のうなじに手を回した。
伸び上がって唇を寄せるとすぐに熱い口づけが降ってくる。
柔らかく弾力のある唇が押し付けられて、するりと舌が滑り込んできた。あたたかな肉厚の舌が楓の舌を絡め取り、上顎、頬の内側の粘膜をくすぐる。
(ああ……)
舌や唇が優しく、それでいて執拗に吸われて、楓ははあはあと喘いだ。
壮哉は楓の口内を蹂躙しながら、ワンピースの裾に手を忍び込ませる。
「ひ……」
這いまわる指の感触の艶めかしさに思わずぶるりとした。太腿や臀部がまさぐられ、腿の内側をなぞられたら、秘めやかな洞からあたたかな蜜が零れる。
生涯おひとり様を決め込んでいた楓にとって、こういった行為は遥か遠い記憶だった。
誰かに身体を触れられるのも久しぶり。もちろんキスも。
ドキドキと興奮でくらくらしてくる。
「ベッドに行こうか」
執拗な口づけから楓を解放して、壮哉が吐息まじりに囁く。
臀部を鷲掴みにされた直後身体がふわりと浮いた。
赤ん坊のように抱えられた状態でドアをいくつか潜り、連れて行かれたのはびっくりするくらい広くて、いい匂いのする寝室だ。
間接照明の仄かな明かりのなか、ぼうっと浮かび上がる豪奢な部屋の輪郭。
寝室に来るまでのあいだにもすごいものを見た気がするが、じっくりと観察する余裕などない。
広いベッドに楓は優しく下ろされた。
その隣にジャケットを脱いだ壮哉が横たわる。
(えっ、も、もう……!?)
「あっ、あのっ、シャワーを――」
起き上がりかけたものの、ばたんと押し倒された。
「さっき浴びたのを知ってるよ。それにもう待てない」
「でも……!」
もう一度起き上がろうとしたが、手首をベッドに縫い留められて動けない。
「そもそも――」
壮哉が熱の籠った目でじっと見下ろしてくる。
「君の身体に汚いところなんてひとつもないから」
「んふっ」
唇が強く押し付けられたらもう何も言えなくなった。
すぐにねじ込まれた舌が口内のあちこちをまさぐる。ちゅくちゅくと音を立てて何度も舌が吸われ、唇が舐られ、あらゆる粘膜がこそげられる。
「ふ……、ん……んんっ……」
情熱的なキスに身を委ねながら楓はもじもじと身体を捩った。
先ほどから感じる脚のあいだの疼き。濡れたショーツの感触。キスだけでこんなに感じてしまうなんて恥ずかしすぎる。
「は……っ」
唇から離れたキスが頬をかすめて耳たぶを食み、小さく吐息を洩らした。壮哉の唇はさらに首筋へと這い、髪の匂いを嗅ぐかのように鼻先がうなじに押し付けられる。
「震えてるな。かわいすぎる」
「だって」
ため息とともに上げた壮哉の顔が色っぽくて、思わずキュンとする。
「部長にこんなことされて、私……」
「その部長っていうの、今は禁止な」
壮哉はベッドに押し付けていた楓の手を口元に運び、蠱惑的な目で見下ろした。
手のひらに優しくキスをされ、脚のあわいがひくひくと震える。
「今夜だけでいいから俺に楓の全部見せて。全部愛させて」
「は、は……い……」
仄かな明かりに照らされた壮哉の口の端に官能的な笑みが浮かぶ。
キスは手のひらだけでなく、指先や指のまた、手首にも落とされた。欲望にまみれた、挑むような目で見つめられて腰のぞくぞくが止まらない。
「あっ……、は……あ、壮哉さぁん……っ」
官能を揺さぶるキスに、自分でも聞いたことのないような甘い声が洩れてしまう。
背中に回された反対の手でファスナーが下ろされ、ついでにブラジャーのホックが外される。
あっという間にワンピースとストッキングを脱がされて、ショーツ一枚というあられもない姿になった。
「きれいだ」