「お転婆なあなたは可愛いから、そのまま変わらないでいて」
時は大正。伯爵令嬢のスズメは女学校に通うお転婆なハイカラさん……だけど、家は没落寸前!!?? 借金取りに追われたある日、近衛師団所属の軍人・緋生に救われた縁で、あれよあれよと嫁入りすることに! 「あなたが溶けてしまうくらい、濃厚に愛してあげたい」初恋もまだなのに、旦那様から無垢な体を淫らに拓かれ、快楽を覚えさせられて…。
やっと笑顔を見せたスズメの額に、頬に、こめかみに緋生が絶え間なく口づけをしながら、折れそうに細い腰を愛撫する。
身体を重ね、淫らな触れ合いを続けるうちにスズメも悩ましい反応を返す。
足の付け根の際どい場所を触れられて、小さく悲鳴を上げた。
少しずつ緋生に教えられているものの、初恋もまだだったスズメは、このときの恥ずかしさを捨てることができない。
ただ、こんなふうに腰巻きを外されて自分も見たことがないような場所を露わにされるのは、これから狂乱の渦に巻きこまれる合図だとわかっていた。
無意識のうちに四肢に力が入る。嫁いでからというもの、肌を重ねる心地よさをずっと教えられてきたけれど――心のどこかに、乱れてしまう自分への潔癖な抵抗がある。
「スズメさん。そんなにきつく足を閉じないで」
片手で腰のベルトを外しながら水の滴るような、色っぽいことこのうえない声音を耳に直接吹きこまれて、スズメはぶんぶんと首を振った。
「無理!」
「僕を信じて。ひどいことはしないと、知っているでしょう?」
白いシャツのボタンを開けて、ズボンの前立てをくつろげただけのあられもない姿で、がっしりとした身体がスズメに隙間なく覆い被さる。
スズメは着物の裾を大きく割り開かれて腰巻きを取り去られてしまっている格好だから、皮膚の薄い、やわらかい下腹部が剥き出しになってしまっている。
小さなおへそも、その下にある淡い茂みまでも。
緋生が、己の下肢をぴたりと押し当ててくる。
雄々しく猛った屹立を、どくどくと脈打つものを直接下肢の付け根に押し当てられて、スズメは心臓が破裂しそうになった。
「ねえ、スズメさん。お願いがあるのですが」
「お願い? なあに?」
太ももの裏から、背中にかけてを大きな手で丁寧に撫で擦られる。
小さな臀部を揉むようにされ、その間緋生の腰骨はスズメの腰に密着したままだ。
スズメは知らず知らずのうちに腰を引き、上へ上へと身体が逃げてしまう。
身体を起こした緋生が、スズメの踵を掴み、足の甲になんとも悩ましいしぐさで口づけた。
「足を開いてください。僕を受け入れるために、あなたが自ら身体を開く姿が見たい」
え、と、スズメが目を瞠る。
一瞬きょとんとして、それから、羞恥に頬がかあっと染まった。
「な……っ、なんてことを、言うの……!?」
足の先の爪ひとつひとつを熱い口内に含まれ、スズメは悲鳴じみた声を上げた。
「それ、やめて……!」
少なくともスズメにとって足は、舐めるようなところではない。
それなのに、どうしようもなく指先がじんじんと痺れて身体の力が抜けていく。
まるで海月にでもなってしまったかのように、背骨に力が入らないで蕩けていってしまう。
「難しいことではないでしょう?」
慎ましく膝を合わせたままの太ももをそのまま軽く押し上げるようにして、その隙間に、緋生がいきり立つものを押し当てる。
花芯と蜜壺の入り口とを先端部分で擦り立てるように刺激されると、緋生の飾り毛もスズメの飾り毛もしっとりと濡れて光る。
ぬち、くち、と蜜をこね回すような水音が聞こえて、スズメの息が上がった。
こんなことをされていたら、あっという間に全身の血が沸騰してしまいそうだ。
恥ずかしい、恥ずかしい――泣き叫んで、逃げ出してしまいたい。
でも。
その先に、子供のままでは知りようもなかった快楽が、悦楽があることを、緋生から教わった。
女性の本能が、それを餓えてほしがる。
緋生自身によってたっぷりと潤され、果てを迎えるまで、この焦れたような熱は続くのだ。
「僕がどんなにあなたを愛しているかを、じっくり教えてあげますから。ね……?」
スズメはもう、ぐうの音も出なかった。
緋生の声には、スズメを操る魔力のようなものがあるのかもしれない。
どうしても逆らえない。
恥ずかしくて泣きたくなるようなことでも、従いたくなってしまう。
戸惑いながら、躊躇いながら、スズメは思い悩んで心を決めた。
「……恥ずかしいから、あんまり……見ちゃだめ」
無駄だとわかっていても一言釘を刺して、スズメは太ももの裏に手を添え、おずおずと足を少しだけ開いた。
膝立ちになった緋生がその初々しい媚態を、食い入るように眺める。
寝室の電気を消さないでいるのは、緋生にとってまったく好都合だった。愛しい新妻のこんなに悩ましい様子を、はっきりと見られるのだから。
お義理程度に足を開いたスズメは顔を真っ赤にしたまま羞恥に堪えかね、顔を横向けて緋生の視線から逃げた。
緋生は遠慮なく、その美しい痴態を堪能する。
乱れた襟もとから汗が流れて、小ぶりの胸の谷間へと消えていく。
緩んだ帯のすぐ下から着物は大胆に開かれ、可愛らしい下腹部からすらりと伸びた足先までが、惜しげもなく緋生の視線に晒されている。真っ白な太ももが、恥ずかしげに震えているのが言いようもなく淫らだった。
燃え盛るような熱を帯びた楔がぐぶっと潜りこんできて、スズメはぎゅっと目を瞑る。
身体を開かれるこの感覚には、まだ慣れない。
「あ…………っ」
他人と身体を繋げるという違和感。
快感よりも苦しさのほうが勝っていて、怯えと、これから訪れる快感の予感とに翻弄される。
汗が玉のように噴き出す白い背中を励ますように撫で下ろしながら、緋生は焦らずゆっくりと腰を進めた。
「――スズメさん、息を詰めないで」
緋生の大きな身体の下で、スズメの全身がびくびくと跳ねる。
奥の緊張を解くように、緋生がスズメの胸に唇を寄せる。
獰猛な舌使いで左右の胸の先端に交互に悪戯すると、スズメの背中が緩やかにしなやかに痙攣して仰け反った。
「んぅ…………!」
「ゆっくり、息を吐いて」
スズメは特に耳が弱いらしく、囁きを吹きこみながら舌先でくすぐると、下肢の強ばりが解けていく。
緋生の分身をスズメの内部がしっとりと包みこみ終えるまで、熱くきつい蠢きを堪能する。
緋生がスズメの胸を両手でやわらかく揉みしだくと、スズメがいやがるように首を振った。
腰が不規則に跳ね上がり、緋生の下半身を誘うように締め上げる。
それに呼応するように、緋生の昂ぶりがスズメの中でぐっと硬度を増した。
「嫌っ、動かないで……っ」
緋生を最奥まで受け入れたスズメが重量感に大きく喘ぐと、激しく身体を揺さぶられて、担ぎ上げられたままの爪先がぎゅっと丸まる。
「待って、まだ待って緋生さん……!」
「寂しがり屋の妻を不安にさせないためには、疑う余地もないくらい熱愛するのが一番手っ取り早そうですね。とことん愛して、僕の心の中にはあなたしかいないのだということを証明しましょう」
臆面もない緋生の言葉に、息を切らせながらもスズメが反論した。
「緋生さんを、疑ったわけじゃないわ……っ」
「でも、僕に嫌われたと思ったのでしょう?」
「だって」
「『だって』はなしです」
「でも」
「『でも』もだめ。永遠にあなただけを愛すると、誓いを立てたはずですよ」
小さな膝に軽く噛みつく。
スズメの白い背中が、ふるりと震えた。
「それは、そうだけ、ど…………っ」
鞭のようにしなやかな男の体躯が華奢な身体を組み敷き直し、手荒なくらいの律動を開始する。
汗に濡れるずっしりとした肌の下、逃げ場のないスズメは緋生の腕の中で身悶えた。
仕方がないのだとわかっていても、このときの水音は聞くに堪えない。
「だめ、そこ……奥、いやぁ……っ!」
激しい抜き差しでスズメを翻弄しながら、緋生はもう耳を貸さない。
愛する女性を貪ることに集中し、腰を揺すり立て、小さな胎内に叩きつけるように快感を送りこみ、同時にめくるめくような快楽を目を眇めて味わう。
スズメは今まで経験したこともないような激しさに喘ぎ、仰け反り、もがくしかない。
緋生の顎先から滴った汗が、スズメの胸に散った。
「動いちゃ、だめ…………っ」
「わがままを言うと、もっと強くしますよ」
「そんなことをしたら私、壊れちゃうわ……っ」
しなる腰を何度も打ちつけられて、怖がって緋生に抱きつく。
「やだやだ、強いの、やだ……!」
まだ大きすぎる快楽の受け止め方も逃がし方も知らないから、戦慄きながら緋生にしがみつくしかない。
その縋りつく指の必死な力が、緋生には愛しくてたまらない。
「怯えないで。わかりましたから、落ち着いて」
緋生はスズメを抱き締めてあやしながら、ゆっくり腰を引いた。
「ゆっくりしますから、怖がらずに快楽を受け入れなさい」
そんなことできないと音を上げても許されずに、ゆるゆると挿入を繰り返されて、スズメの意志とは反対に蜜口が綻んでいく。
スズメの下肢から零れ出た蜜を指先ですくい取ると、スズメが泣き出しそうに顔を歪めた。
「や……!」
「大丈夫。これは恥ずかしがるものではありませんよ。むしろ、営みに身体が慣れてきた印のようなものです」
満面の笑みを浮かべた緋生がスズメに接吻しながら、赤く充血した花芯にまで手を伸ばした。指先でこね回したり押し潰したりと淫猥な戯れを繰り返し、慣れないスズメの新鮮な反応を楽しんでいる。
緋生は先ほど宣言したとおり、急がなかった。
時間をかけて、じっくりとスズメを蕩けさせていく。
そのほうが男性特有の器官の形や熱をありありと感じさせられてしまって、いっそ乱暴にされてしまうほうが羞恥心は少ないに違いない。
「それ、いや!」
つぷつぷと、身体の最奥で蜜が押し潰されるような音が聞こえて、堪えきれずに手足をばたつかせ――それがまともに子宮を刺激して絶頂を迎えてしまい、スズメは全身をびくびくと波打たせながら大きく呼吸した。
「……っは……、ぅ……っ!」
「……暴れるからですよ」
ぐっと腹筋に力を入れて解き放つ誘惑に堪えた緋生が、スズメの細腰を両手で抱えて半ば強引に揺さぶる。
「そんなに揺らしちゃ、だめ…………!」
「――まだですよ。もっともっと……いっそあなたが溶けてしまうくらい、濃厚に愛してあげたい」
「びりびり、する……!」
「どこがですか? 痛い?」
「痛くないけど、どこかわかんない……」
スズメはもう、呂律が回らない。
自分の奥深くで、緋生のものがどくどくと脈打っている――しかも、解放の瞬間はもう間近に迫っている。
それをはっきりと感じ取ってしまって、正気を保っていられるわけがなかった。
頭がくらくらして、身体がふわふわして、意識が官能に埋め尽くされる。
「もう終わりにして、おねがい」
これ以上無体なことをされたら、スズメの心臓はきっと壊れてしまう。
身体の内側から花火のように爆ぜて、砕け散ってしまう。
スズメの懇願に、緋生はふっと微笑って首を振った。
「だめです。こんなのは、まだまだ序の口なんですよ」
「まだ……っ?」
身も心も溶けてしまっているというのに、緋生はこれ以上どうしようというのだろう。
わからなかったけれど、それを追求する余裕はスズメにはなかった。
緋生が優しく囁きながら、腰を淫蕩に突き動かして最奥を抉る。快楽の泉を直撃され、頭の中が真っ白に弾け飛ぶ。
「……っ!? ……っ」