時は大正――
男爵の妾の娘・清乃は亡くなった姉の代わりに侯爵家の嫡男・有季のもとに嫁いだ。
寝室も食事も別々の新婚生活だったが、清乃の奥ゆかしさと愛らしさに有季は心を動かされ、ふたりは毎夜熱く愛しあう本物の夫婦となった。
清乃は生まれて初めて、女性としての幸せを全身に感じていた。
だけど一方でこの幸せは本来、姉のものになるはずだったという思いがよぎる。
さらに一堂家の嫁とは認めないと示すように、誰かが清乃の私物を隠し、破損させるという嫌がらせを続けていた。
そんな日常を過ごす清乃の前に、有季の友人・御厨が現れる。
「上流階級の男なら妾のひとりやふたり当たり前ですよ」彼は有季には新吉原で馴染みの太夫がいると告げ、さらには清乃に不貞行為を持ちかける。
当然拒否をするが、狡猾な彼はすぐには諦めず…!?
姉の死についての真相も明かされる、衝撃の完結巻!