巨乳がコンプレックスの彩実は、イケメン上司の御崎が大の甘党と知ってしまい、秘密を共有することに。距離が縮まるたびに、胸ではなく彩実自身を見てくれる御崎への想いは募り、ある日、彼と一夜を共にしてしまう。甘く淫らな愛撫に翻弄され、初めてなのに何度も絶頂に導かれる彩実。想いが通じたと思いきや、御崎に「責任は取る」と告げられて…!?
「残念だ」
なにが──と視線で問いかけると、課長はつんと私の唇に触れた。
「──!?」
「舐めて欲しかったのに」
(なっ)
舐めて……!? 目を白黒させて課長を見つめる。
課長の瞳はまっすぐに私を見据えていて、でも本心は掴みかねた。
もー、なにも分かんない……
とにもかくにもチョコレートを咀嚼して、飲み込んだ。とろりと喉を甘味が過ぎ去っていく。
その様子を、じっと課長は見つめていた。どうだ? って顔で。
ちょっと頬を熱くしながら、彼を見上げた。
「……美味しい、です」
「どんな味だ?」
「えーと。ちょっと苦いんですけど、ちゃんと甘くて」
少し眉を寄せて、一生懸命に感想をまとめる。うーん、こういうの苦手なんだよなぁ。なんて言えばいいんだろ?
首をひねる私に、課長は小さく息をついて──私の頬に手を這わせる。
「あ、の?」
「嫌ならそう言ってくれ」
「……その」
「俺は」
深く、課長は息を吐(は)く。そうして続けた。
「俺は、自分のことをずっと理性的な人間だと思ってきて」
「は、い」
「なのに──きみの前だと、自分が抑えられない」
つう、と課長の親指が私の唇を撫(な)でる。私は膝の上で手を握り締めた。近づいてくる、課長の整った眉目に息もできないほどに心臓が高鳴る。恋心が口から飛び出そう。
ゆっくりと、唇が重なった。何度か角度を変えて、触れるだけのキスが続く。ふわふわとした温かなキスに、身体の力が抜けていく。
ちゅ、と吸い付かれて、すぐに彼の舌が入り込んでくる。
「ふ、ぁ……」
鼻から抜ける、自分のだと思えない甘い声に戸惑う。
課長の手が後頭部に添えられて、食べられちゃうみたいにキスが深くなる。
「ん、っ」
酸欠になりそうで、喘(あえ)ぐように口を開く。課長は私の舌を玩ぶように噛んだり吸ったりして、ちゅくちゅくと水音が響いた。
恥ずかしくて身体を引きそうになった私の腰は、がっちり課長に確保されてて動けそうにない。
しばらくそうされたあと、唇が離れる。つうと繋がる銀の糸が、ひどく生々しい。
「甘い、な」
「……そう、でしょう?」
「チョコじゃない。きみが」
絡み合う視線、課長の瞳はぎらぎらしてて、私が欲しいって言ってて──お腹の奥が、キュンとなる。
(……えっち、する、の……かな?)
知らず、とろりと自分のナカから溢れる液体の存在に気がつく。わ、どうしよう……ずくりと疼(うず)く身体の中心。刺激が欲しくて、膝をすり合わせそうになるのを我慢した。
課長が私の耳殻を甘噛みする。それから耳の形を確認するように、舌でつうと舐め上げた。
「ッ、やぁ……っ」
身体が揺れる。どうしようもない疼きから逃れるように、課長の身体にしがみつく。
「……可愛い」
課長のそんな言葉が、耳から入って脳まで届く。
可愛い。可愛いって、言ってくれる……それだけで、いいんじゃない? 恋心が、そう囁いた。
ぽうっとしている間に、課長は私をひょい、と抱き上げた。そうして、彼の膝の上に私を座らせる。後ろから抱きしめられるような形で──
「え、っと?」
「彩実──足、開いて」
「へっ」
思わず振り向いて、課長の顔を見つめる。
──足を開く!?
課長は唇だけで笑った。
「彩実」
「──は、い」
抗えなくて、おずおずと足を開く。スカートがすとんと太ももまで落ちた。足の付け根がひんやりしてて、濡(ぬ)れてるって分かって頬が熱くなる。
「最後までは、しないから」
「──え? ッ、ひゃあっ」
く、とストッキングと下着越しに、陰核を押し潰される。そのままクリクリと円を描くような刺激が与えられて、私の足は跳ね上がった。
「あッ、ぁあっ、や、あ、んッ」
「……あまり汚すと悪いからな」
課長が耳元で低く笑う。その声にひどくゾクゾクして、自分のナカがきゅうと収縮するのを覚える。
「腰を上げて──そう」
いい子、と褒(ほ)められながら、下着とストッキングを脱がされる。ひどくゆっくりとした動きで、私のとろつくナカがじゅくじゅくと疼いた。
つま先から抜けたストッキングが床に落ちる。同時に、課長の指先がすっかり濡れた割れ目に沿って上下に動く。
「ぁ、っ」
「とろとろだな」
耐えるような声で彼はそう言って、指を曲げてナカに挿(い)れ込んでくる。ちゅぷ、って音がひどく生々しい。
「ん……っ」
目を閉じて嬌声を堪(こら)えた。その間にも、課長の指はナカを進んでいく。経験なんてこの間の一回しかないのに、快感を覚えてしまった身体が勝手に反応して課長の指を締め付ける。
そのうちにふとナカの肉襞を引っかかれて、勝手に頤(おとがい)が上がった。
「っ、ぁ……ッ!?」
閉じていたまぶたが上がる。思わず課長の腕を掴んだ。指先にぐっと力がこもって、浅く息が上がる。課長が指を増やして、喉元で笑った。
「ここか?」
「っ、そこダメ、……っ、だめっ、やぁ……っ」
イヤイヤと首を振って振り向くけれど、課長は楽しげに唇を上げただけ。お腹側の、ちょうど恥骨のあるあたり……を、ちゅくちゅくという水音と一緒に弄(まさぐ)る。
「あッ、あっ、あ、だめ、ほんとにっ、やめ、ッ」
「いいから」
そう言って、嬉しげにこめかみにキスを落としてくる。い、いいからってなに!?
「よくない、ですっ、なにか、来ちゃう……っ」
そのゾクゾクとした感覚が、この間の──イく感覚だ、って気がついたときにはもう、その快感に抗えずに半身で振り向いたまま、課長にとろんと身体を預ける。
「も、ダメ、かちょ、課長っ、イっちゃうっ」
「うん」
やけに優しい声で彼はそう言って──唇が重なった。
ぐちゅぐちゅと口内を弄(いじ)られて、ナカも一緒にいっぱい弄られて──おしりの方までべしょべしょになっているのが分かる。多分、私を乗せている課長の太ももあたりもすっかり濡れているに違いない。
かあっと頬に熱が集まる。唇が離れたその隙に、私はなんとか謝罪を口にした。
「は、ぁっ、かちょ、ごめんなさ……っ、服、濡れてっ」
課長の指が一瞬、止まる。そして私の耳元で、ふうと熱い息を吐き出した。
「……いちいち可愛い」
なにがどうしてそんな台詞になったのか分からないのだけれど、課長はそう言ってまた指を動かし始めて──それも、また指を増やして──その指が、ナカをぐちゃぐちゃにかき回す。粘膜を攪拌(かくはん)されているかのようなその動きに、知らず、背中が反る。
「俺がこんな風にさせているんだ──きみを。だから、謝る必要なんか、ない」
「で、もっ……あ、ぁんっ、だめ、だめぇ……っ、きちゃう、の……っ」
課長の親指が疼いていた肉芽をほんの少し、ほんとうに微(かす)かに弾(はじ)いた。それだけで、張りつめていた最後の一線が崩れるように、一気に絶頂においやられて──
「ぁ、あ──」
きゅう、ってナカがどろどろ蕩(とろ)けたまま収縮する。つま先までぴんと伸びて、じきにがくりと力が抜ける。
唇は塞がれたままだからうまく息ができなくて、ただ浅い息を繰り返した──
ぎゅっと抱きしめられる。温かなぬくもりに、とろんとした眠気がやってきて──あ、寝ちゃうぞこれ。お酒で身体もあったまってて、こてんっていきそう……
(でも、課長、シたくないの、かな……?)
男の人我慢するのキツイって聞く、けれど……。そんなことを考えている私の頭を、優しく課長の指が撫でていく。
(あー)
だめだ。落ちる。
申し訳ないような、そんな気持ちを抱きつつ……私はゆっくりと意識を手放した。