イケメン敏腕外科医×心機一転して頑張りたい看護師
医療事故の責任を押し付けられ病院を退職した看護師の奈緒。離島の診療所勤めで立ち直った彼女は、恩師の勧めで大学病院に勤務を決め、一度だけ夜を共にした外科医の名波と再会する。「会いたかった。俺は今でも君が好きだ」ストレートに愛情を示し奈緒を甘やかす名波。彼に癒やされ幸せを覚える奈緒だが彼女を妬む同僚が過去の事故の噂を蒸し返して!?
奈緒が名波の記憶力に慄いている間に、タクシーはホテルの車寄せに着いていた。
名波がチェックインする間、奈緒はソファーに腰をかけて豪華なロビーを眺めていた。巨大なシャンデリアが天井で煌めき、壁には美しい絵画が飾られているが、その壁紙でさえ芸術的な地模様が施されている。
名波に手を握られてエレベーターホールへと向かう時も夢心地で、カーペットが敷き詰められたホテルの廊下を進むと、足元がふわふわとして現実感がまるでない。
部屋に入りキングサイズのベッドを目にして初めて、これから名波に抱かれることが現実味を帯びてきて一気に動揺してきた。
名波の体の熱をあんなに焦がれていたというのに、奈緒は今になって怖気づいている。
ジャケットを椅子の背にかけている名波に近寄り声をかける。
「先生、わ……」
私、やっぱり帰ります。奈緒がそう言いかけたその時、振り返った名波にいきなり抱きしめられた。驚きで声が出ない奈緒の名を呼び、力が強くなる。
「奈緒……」
想いを込め離さないとでもいうように抱きしめられて、奈緒の胸が甘く締め付けられる。
名波のシャツに顔を埋めると、ウッディ調の香りが鼻孔をくすぐり、このままずっと抱きしめられていたいと思うほどに心地いい。
名波が背を屈め首筋に顔を埋めて、切なそうに奈緒の名を呼ぶ。耳朶を喰まれ首筋にキスが落とされると、奈緒はくすぐったさと愉悦に肩を竦ませる。
「や、くすぐったい」
甘えてそう呟くと、名波が嬉しそうにフフ……と笑う。
「前もそうだったな。奈緒はくすぐったがり屋だった」
そんなことまで憶えていたのか? あの時、何も言わずに去った自分を恨みもせずに想い続けてくれていたのかと思うと、奈緒の鼻先がツンと痛くなる。
想いを伝える代わりに、名波の広い背中に腕を回してギュッとシャツを握りしめた。
頬を撫でられて顔を上げると、唇が塞がれ熱い舌が歯をすり抜けて入ってくる。名波の荒い息を受け止めながら熱い舌を絡ませ唾液が混ざり合いキスが深まっていく。
髪の毛を両手で弄られながら、口腔が舌で柔らかくなぞられ、その心地よさに深い吐息が漏れる。
舌を持っていかれそうなくらいに強く吸われ、奈緒は堪えきれずに甘く喘いだ。
「んぅ……っ」
二年ぶりのキスは性急で、付いていくのがやっとだけれど、互いの身体の熱を感じながら弄り合うと気持ちが昂って今すぐにでも肌を合わせたくなる。
さっきまで帰ろうと考えていたことなんてどこかに飛んでいってしまって、奈緒は酸欠になりそうなほど激しい名波のキスを受け止めながら悦びに包まれていた。
キスを受けながら体を押され、脚にベッドのマットレスが当たる。そのまま腰をかけるとそっとベッドに仰向けに横たえられた。
ジャケットが脱がされ、コットンのセーターも剥ぎ取られる。
奈緒の腰に跨った名波が一切まごつくことなくシャツのボタンを外し脱ぎ去った後、奈緒の胸元に手を這わせる。
滑らかな素材のベージュのハーフカップブラという、普段使いのブラを身につけていたことが少しだけ恥ずかしいのだけれど、名波はブラには目もくれずカップからはみ出た乳房の盛り上がりを愛でるように撫でている。
膨らみにキスが落とされ大きな掌で撫で回されると、淡い色の先端がカップからはみ出て顔を現す。
それを指で弾かれて奈緒は思わず声を漏らした。
「……あっ!」
奈緒の喘ぎを耳にした名波が、笑みを浮かべながら背中のホックを外す。その笑みはいつものふんわりとした優しいものではなくて、瞳にはどこか獰猛な光が垣間見える。
その瞳を見つめる奈緒の背がブルッと震えた。怖くはない。それよりも、これから起こることへの期待と興奮の方が強い。
ブラを外された乳房は半円を保ったまま揺れ、先端はツンと天を向いて名波を誘う。
下から持ち上げられるように両手に包まれ、じっと見つめられると恥ずかしくて奈緒は思わず声を上げた。
「はっ……恥ずかしいですっ。そんなに見ないで……っ」
「こんなに綺麗なのに、見るなとは酷な話だ。そんなこと言わないでくれ」
綺麗と言われて奈緒の肌が羞恥で染まっていく。二年前、名波と結ばれてからは誰にも見せたことのない肌だ。
本当は、名波と身も心も溶け合って告げたい。『私はあなたのもの……』でも、それは大袈裟だと思われるだろうし、あまりにも込められた想いが重すぎる。
だから、奈緒は気持ちに反して、身を屈めて胎児のように丸くなった。
「やっ……」
しかし、名波はクスッと笑って奈緒をあっけなく仰向けにして身につけていた全てを取り去ろうとする。
「奈緒、裸になって抱き合いたい。なあ、俺はもう我慢できない」
余裕がないみたいに言うけれど、奈緒を見つめる瞳はどこまでも優しい。名波の手で全てが脱がされてベッドの下に衣類が散らばっていく。
名波がスラックスと下着を脱ぎ全裸になった。記憶よりもさらに逞しくなった気がするその体は、細身なのにしっかりと筋肉が付いてアスリートみたいだ。
大胸筋から続く腹直筋、全てが滑らかな肌の下で硬く息づいている。
奈緒は思わず手を伸ばし、胸に手を当てる。
「硬い……」
そう言って少し引き攣った笑みを向けると、上半身がいきなり抱き上げられて激しく唇を喰まれた。驚きで目を見張ると、名波の閉じた瞼の下で長いまつ毛が震えている。
(綺麗……)
その顔に見惚れる余裕もすぐになくなって、奈緒は嵐のような名波の愛撫に翻弄される。心臓がドクドクと激しく鼓動し息が浅くなる。深いキスにその息さえも奪われ、奈緒は涙目で酸素を求めた。
ようやく唇を離されると、耳朶が喰まれ首筋に吸い付かれる。その熱い粘膜が押し付けられると、甘い愉悦に足の間を蜜が溢れ、滴り落ちていくように感じられる。
胸を弄る無骨な指が時折頂をかすめ、奈緒の腰がビクビクッと愉悦に跳ねる。
「はぁ……っ、はぅ……ん」
(ああ……どうしよう。あの指に触れたい……)
どうしてだか奈緒は、名波の指に触れたくてたまらなくなって、胸を弄る手に思わず自らの手を重ねた。
「ん……どうした?」
「先生、指……」
意味のない言葉を呟き、名波の片手を取ると奈緒は人差し指を口に含んだ。そのまま舌を這わせ指に吸い付く。
「……っ、奈緒」
名波が動きを止め奈緒に熱い視線を向ける。
(どうしよう……先生のこと、好きでたまらない)
潤んだ瞳で名波を見上げて指を吸う奈緒を見つめていた名波は、片手で乳房を強く揉みしだき先端を唇に含んだ。
熱い粘膜に包まれ舌でなぶられて、乳首が硬く尖っていく。指をしゃぶっていた奈緒が堪えきれずに喘ぎ声を上げた。
「やぁ……、あぁッ!」
名波の勢いに押されて奈緒の体はシーツに沈み、吸い付いていた指が離された。乳房が両手で掴まれ中央に寄せられると、チュッチュッと音を立てて先端を交互に吸われる。
「あぁ……っ、あ、やぁ……きもちい……いっ」
名波の髪の毛を弄りながら頸を反らせて愉悦に咽ぶ。乳房を揉みしだきながら、名波の舌は肌を這い下りていき、鼠蹊部を撫で柔らかい繁みに辿り着く。
「あっ……」
鼻先が埋められ、匂いを嗅がれているのだと感じた奈緒が手で秘所を隠そうとするが、手首を掴まれ無防備な状態に晒される。
「や、恥ずかしい……」
「どうして? 奈緒の匂いが俺は好きだ。それにほら、こんなにグチュグチュに濡れて……」
脚を開かれ、花弁を舐められて腰が跳ねる。
「あ、やぁ……」
甘えた声を出す自分がまるで知らない人のように感じられるが、今はただ名波の指や唇が与えてくれる愉悦に浸っていたい。
花弁を捲られ奥の尖りを舌で突かれ、背を反らせて喘ぐ。
「あぁッ!」
尖りは舐められているうちに芯を持ちぷっくりと膨れ赤く染まっていく。それに軽く歯を立てられ音を立てて吸われ、執拗に弄られて奈緒は堪えきれずに声を上げる。
「あ、やぁッ! そこダメ……っ」
脚の間に陣取る名波の頭を押すけれど、びくともしないし止めてもくれない。そればかりか、なおも尖りを舐め続け、奈緒は首を仰け反らせて体を震わせる。
ピチャピチャと水音が響き、痛みの一歩手前の感覚と激しい快感に奈緒は頭を左右に振らせながら懇願した。
「あぁ……っ、やぁ……っ……やっ、強くしないでぇ……ぁひぃ……ッ!」
激しく達して、頭の中が真っ白になり一瞬だけ意識を手放した。
ハッと気がつくと、滑った蜜口から、異物が入ってきて奈緒は瞼を開く。目の前に名波の顔があり、目を開いた奈緒をじっと見つめている。
奈緒は口角を上げようとしたが、蜜口から入ってきた指に中を擦られて思わず反応してしまった。
「んぁ……ッ!」
感じて声を出す瞬間を、至近距離で見つめられて恥ずかしくてたまらない。これを名波に訴えると、笑って相手にしてくれない。
「恥ずかしいから、そんなに見ないでください……っ」
「そんな酷なことを言わないでくれよ。奈緒の全てを見つめていたいのに」
「……!」
ナチュラルに殺し文句を吐かれ、奈緒は言葉を失う。
奈緒の身体は、名波の愛撫のせいで十分すぎるほど潤んでいるせいか、久しぶりの行為なのに痛みは全く感じられない。
「奈緒、すごく締まってる。さっきイッたからかな?」
普段は優しい名波が行為の際には少しばかり強引に感じられるけれど、やはり名波を好きなので、奈緒は「うん」と素直に頷き閉じていた目を開く。
「あそこばかりを強く触られて気が狂いそうになりました。もう……やめてって言ったのに」
少し拗ねて訴えると、ニヤッと笑い愛液で滑った自らの口元を拭う。
やがて、唇が押し付けられて舌がスルッと入ってくる。角度を変えて交わされるキスは深く甘く奈緒を満たしていく。
キスの合間にも名波の指は抽送をやめない。二本の指でお腹側の内壁を擦られて重苦しいような感覚に腰がビクッと震える。
クチュクチュと淫靡な水音が静かな部屋にやけに響いて、聞いているこちらもすごくいやらしい気分になってきた。無骨で長い指に中壁を執拗に弄られ愉悦に腰がガクガクと震える。
ある箇所を指が掠めた瞬間、電流が走ったみたいに快感が背中を走り、思わず大きな声が出た。
「んぁッ!」
恥ずかしいほどの大きな声に、驚いて唇を離した名波に問いかけられる。
「ん? 痛かった?」
「大丈夫。なんだか……不思議な感じがしたの」
「これか?」
そう言って同じ場所で指をクイっと曲げられて、いきなり来た快感に内腿が震える。
「……っ、あぁッ!」
中で一度達したのに、何度も内襞を指で抉られて快感が波のように押し寄せてくる。中襞が蠢き二本の指を締め付ける。奈緒は制御のできない快感に腰を震わせて喘いだ。
唇が塞がれ舌が持っていかれそうなほどに強く吸われ、恐怖と快感にはざまで愉悦に塗れる。名波の腕にしがみ付き、奈緒は体を痙攣させて絶頂を味わっていた。
濃すぎる情交に息つく暇も与えられない。弛緩した奈緒の中から指が抜かれると、それだけでまた感じて体がビクッと震える。
「んっ!」
名波が床に散らばったスラックスから避妊具を探し出し装着をしている。霞んだ目でそれを見た奈緒は、疲れ切っているはずなのに、あれが入ってくるのだと思うだけで、中壁が疼くのを感じた。
想い続けた男との行為は、奈緒をどこまでも貪欲にさせる。たとえそれが自分の体力のキャパを超えていたとしても。
「奈緒、大丈夫?」
気遣わしげに名波に問いかけられて、奈緒は横たわったまま手を差し伸べた。
「大丈夫。来て……」
膝を立て露わになった秘所に屹立を押し当て名波が腰を進めてくる。散々達した後の愛液で滑った蜜口から、太く硬い先端が押し入ってくる。
「ぅう……」
入ってくる際の感覚が、当然だが記憶や夢よりも生々しくて圧迫感が強い。痛くはないのだけれど、奈緒は涙目で名波の腕にしがみつく。
中壁がメリメリと押し広げられるようで一瞬怖いと感じたけれど、名波なら大丈夫だとわかっている。
恋焦がれ、夢で何度も会っていた名波との情交は、これまで心を殺して生きていた奈緒の感情を昂らせていく。
「奈緒……っ」
切ない声で呼ばれ目を合わせば、熱い唇が落ちてくる。名波のキスに応えていると、腰を少し引かれ剛直がグイッと入ってきて奈緒は大きくのけ反った。
「……うッ!」
全てが収まると、その圧迫感で自ら動くのが躊躇われるほど。
二年前はかなりアルコールを飲んで感情が昂っていたせいか、剛直の大きさがあまり気にならなかったが、今夜はかなり一杯一杯な状況だ。
(どうしよう。私ってば、大丈夫かな?)
心配そうな表情に見えたのか、名波が奈緒の両頬を手で包み込んでキスを落とす。
挿入されたままでのキスはより甘く感じられて、絡みつく舌にむしゃぶりついて夢中で応えていた。
やがて……唇が離れ、オデコを合わせたままで名波がささやく。
「奈緒、動くよ」
「はい……」
片方の膝が掴まれ、脚を大きく開かれて名波の体が覆い被さってくる。熱い体に包まれて、奈緒の心拍数がますます上昇していく。
腰を引き、勢いよく楔が打ち込まれるたびに、滑った結合部分がクチャクチャと淫靡な音を立てる。中壁が深く抉られると、はげしい愉悦に奈緒は身を捩って声を上げる。
「あぁッ! あ……っ、あふぅ……ん」
ゆったりとした抽送を繰り返し、剛直は内襞を抉るように出入りし少しずつ奥に近づいていく。それが繰り返されていくうちに快楽が込み上げてきて、中が熱く疼いてくる。
時折角度を変えて中壁を穿たれ奈緒は背を反らせて愉悦に咽んだ。