とある事情から、極道である父の勧める相手と見合いすることになった美花。行きつけのカフェのオーナー・大晟への恋心を諦めるが、当日そこに現れたのは深い執着を瞳に宿した彼本人で…!? 「もう離さないって言っただろう?」激しく甘やかされ、大晟と幸せな同居生活を送る一方で、美花の周リでは組の後継と存続をかけた陰謀がうごめいていて――。
「綺麗だ……」
彼が見下ろしてきて、ぽつりと呟く。
その声には、お世辞など含まれていないのだろう。思わず零れ出た言葉のように聞こえた。
嬉しいけれど、やっぱりまじまじと見つめられて美花の頬が熱くなる。
腕で胸を隠そうとすると、彼はそれを優しく制止した。
「美花……、もっと俺に君を愛させて」
反則だ。急に呼び捨てで呼ばれて、胸が高鳴る。
そんなふうにお願いされたら、言うことを聞いてしまいたくなる。
羞恥に堪えながらも、腕をどける。すると、彼は「いい子だ」と蜂蜜みたいなトロリとした甘さを含んだ声で言った。
美花をキュッと抱きしめたあと、彼の唇と舌は首筋を辿るように触れてきた。
ゆっくりと下降しながらも、ところどころキツく吸い上げては痕を残していく。
チクリとした甘い痛みを感じて、美花は悩ましげな吐息を漏らしてしまう。
何度かそれを繰り返したあと、彼の唇は胸元へと吸い付いた。ブラジャーの肩紐をずらし、片方のカップを引き下ろした。
零れ落ちた乳房に唇を寄せて、もう片方はその大きな手で包み込むようにブラジャーの上から揉んできた。
「あぁ……っ、ふ……んん!」
気がつけばカップからすべて胸が零れ出ていて、乳輪の輪郭を辿るように彼の舌が舐めている。
それだけでも下腹部が揺れるほどの快感がしたのに、彼の舌がすでに硬くなっていた頂を舐め上げてくる。
「あぁ……っ!」
思わず大きな声で啼いてしまう。慌てて手で口を押さえたのだけど、それは無意味だとすぐに知る。
次から次に、彼は快楽を植え付けてきたからだ。
背中に回された手は、ブラジャーのホックを外す。
そして、プルンと揺れる胸を形が変わるほど揉みしだく。それと同時に、彼の唇は頂を咥えて舌で転がしてくる。
口に置いていた手は知らぬ間に外れてしまい、美花は引っ切りなしに喘いでしまう。
両方の胸を、手や指、そして唇と舌で交互に愛撫されて涙目で彼を見上げる。
初めての快楽に、どうしたらいいのかわからなくなった。
頂に吸い付いている彼の頭をキュッと抱きしめて、何度も喘ぎながら淫靡な刺激を味わう。
大晟が顔を上げ、妖しげに口角を上げる。
「気持ちいい? 美花」
彼の声を聞くたびに、身体が喜ぶのがわかる。コクコクと何度も頷くと、彼は口元に笑みを浮かべた。
身体が敏感になっていくのがわかり、自分が何かに塗り替えられているような気になる。
夢中で彼の愛撫を受け入れていると、彼の手は腰やお尻の丸みを味わうように触れてきた。
太ももを触ったかと思ったら、そのまま腕を滑らせてお尻を撫で上げてくる。
何度かそれを繰り返した彼の指が、ゆっくりとショーツのクロッチ部分に触れた。
慌ててその手を止めようとしたが止めきれず、クチュッという水音を含むような感覚がした。
感じて濡れている。美花は、それを自覚して無性に恥ずかしくなった。
右手で口元を隠す美花を見て、彼の目尻は下がる。
かわいい、そんなふうに言われている気がして美花の目が泳いだ。
先程までは胸元にあった彼の顔が気がつけば下腹部辺りにあり、クロッチの部分を見つめている。
彼は、ショーツの上から花芽に触れて何度も往復させてくる。気持ちがよくて、啼き声を上げてしまった。
羞恥でどうにかなってしまいそう。そんなふうに思っている美花を、大晟はますます甘く誘ってくる。
彼の指はショーツの中へと入っていき、泥濘む場所に直接触れた。
初めて体験する快楽に目の前が真っ白になるほど強烈な刺激を与えられ、美花は甲高く喘いでしまった。
ハァハァと呼吸を荒らげて身体をベッドに投げ出していると、彼はショーツを剥ぎ取った。
ダランと力が抜けている両足を持ち、彼は膝裏に触れる。
あ、と思ったときには、すでに彼によって大きく足を広げられている状態に。
慌てて閉じようとしたのだけど、彼の身体が入り込んでいてそれもできない。
「ダ、ダメッ……!」
美花が制止するも、彼の行動の方が早かった。
指で弄っていた花芽を、今度は彼の唇が愛で始めたのだ。
「あああっ……っ!」
チュッと吸い付かれた瞬間、背がしなる。同時に、耳を覆いたくなるほどの歓喜の声を出してしまった。
キュンと下腹部が締め付けてきて堪らない。奥の方から蜜が零れ落ちてくるのも感じる。
彼の手によって喜びを覚えながらも、やっぱり恥ずかしさの方が勝っている。
大晟は花芽を舌で転がしながら、長く綺麗な指を蜜路に挿し込み、蜜をかき混ぜてくる。
ゆっくりと指を出し入れされるたびに蜜が増していき、お尻に伝ってシーツに染みを作っていくのがわかった。
「美花、どう? 気持ちがいい? 痛くない? 大丈夫?」
処女である美花を気遣ってくれる彼に、何度も頷く。
こんなに気持ちがいいだなんて思わなかった。それは初めての体験をする美花を彼が気遣って愛してくれている証拠なのだろう。
彼は美花の腰をより高く上げ、足を彼の肩にかけた。
そして、隠しておきたい場所を、じっくりと見つめてくる。
ジリジリとした熱い視線を感じて、蜜がまた垂れてきたのがわかった。
その蜜を、彼が音を立てて啜り上げてくる。気持ちよさと恥ずかしさで、どうにかなってしまいそう。
涙目で彼を見つめると、視線が絡む。花芽を唇と舌で愛撫されている様子を見てしまい、美花の身体全体に熱が込み上げてくる。
視線をそらしたいのに、そらせない。二人の視線がより熱を持って絡んだ瞬間だった。
彼が、先程よりもっと甘い刺激を与えてきたのだ。
何度も指を出し入れしながらも、美花が反応する気持ちいい場所を刺激する。
そして、彼が花芽をキツく吸い上げたときだ。
チカチカッと目の前に弾けるような光が放たれた気がした。
「あぁ、あ……やぁ……ああぁんんっ!」
足に力が入り、ピンッと足先が天を向く。それと同時に全身が硬直して、何度か震えた。
足から力が抜け、ダラリとした状態で彼に抱きかかえられる。
ゆっくりとベッドに下ろされたあとも、目がくらむような刺激が身体から離れてくれない。
吐く息には、甘く淫らなモノが混じっている。そんな気がしながら、足下にいる大晟を見つめた。
彼は真っ赤な舌をチラリと見せながら、自身の指を舐めている。
そこは、テラテラと濡れていた。だが、その正体に考えが至り、顔が熱くなる。間違いなく愛液だろう。それを美花に見せつけるように舐めたあと、彼は蠱惑的にほほ笑む。
「イク瞬間の美花、めちゃくちゃかわいかった」
今の彼は、いつもの穏やかなカフェのオーナーの顔をしていない。獰猛たる野獣のようだ。
印象は全く違うけれど、このギャップも素敵だなと思ってしまう。
ドキドキしてしまうほど大人の色気を醸し出している大晟を見て、自分が逆上せ上がっているのを感じた。
だけど、それも仕方がない。大晟が素敵すぎるのがいけないのだ。
八つ当たりをしてしまいたくなるほど彼はかっこいいし、素敵。やっぱり大好きだ。
何度も「かわいい」と言ってくれる彼。いつもならリップサービスだと受け取っているけれど、今夜だけは全部受け入れてしまいたい。
彼に愛されている。それを実感すれば、これからどんな道を歩んでいくことになっても大丈夫。そんな気がした。
大晟は、服を脱ぎ捨てていく。美花の視線を感じているのはわかっているだろう。
なんだか見せつけるように脱いでいく。
――綺麗……。
思わず恍惚とするほど、彼の裸体は綺麗だった。
大晟に欠点はないのか。僻んでしまいそうになるほど、彼は何もかもが完璧だ。
惚けている美花を見て小さく笑ったあと、彼はベッドのヘッドレストに手を伸ばした。
避妊具を手にして、美花にそれを見せてくる。
きちんと美花の身体を気遣って抱くから。そんな意思表示のように感じる。
ピリッとパッケージを破く音が聞こえた。だが、すぐに彼から視線を外す。
顔を両手で覆う美花を見て笑っているのだろう。彼の柔らかな声が聞こえてくる。
肌に感じるのは、彼の熱。しかし、先程までとは違った。直に感じる熱は、とても気持ちがいい。
「美花、愛しているよ。かわいい顔を見せて?」
彼のお願いを聞き、顔を覆っていた自身の手をゆっくりと外す。
すると「よくできました」とほほ笑んでチュッと唇にキスを落としたあと、彼は身体を起こした。そして、美花の膝を立てる。
右足を恭しく持ち上げ、そこに頬ずりをしてきた。
ゾクゾクッとした淫靡な快感が走る。
これから甘やかで、だけど刺激的な快楽を自身の身で受け止めるのかと想像すると、胸の高鳴りが止まらない。
想像ができない痛みも味わうことになるのだろう。だけど、かまわない。
快楽も痛みも、何もかも全部。大晟から与えられるものなら、なんだって欲しい。
彼は足先にチュッとキスを落としたあと、こちらを見つめてくる。
先に進んでいい? そんな承諾を求める彼の真摯な目を見て、覚悟を決めて頷いた。
「痛むと思うけど、止められないから」
彼の目が、淫欲で染まっている。彼をそんな表情にしているのは、美花自身なのだと思うと嬉しくて仕方がない。
「止めなくて大丈夫です」
「美花?」
「私、大晟さんからの痛みなら耐えられるから」
えへへ、と笑ってみせる。言っていて、なんだかこそばゆくなってしまったのだ。
美花の笑顔を見た大晟は、愛おしそうに目を細めてくる。
「痛みは今夜だけ。これからは、美花を快楽に溺れさせてみせるから」
内太ももに唇を沿わせたあと、足を大きく広げさせられる。
腰が上がるほど広げられたあと、彼の腰が押しつけられた。硬く熱い何かが触れてくる。
それが何なのか。わかった瞬間、心臓が早く打ち始めた。
美花とこうして愛し合ったことで、彼が興奮している。それがわかり、安堵と喜びで胸がいっぱいになった。
何度か擦り付けるように、彼が腰を動かす。そのたびに蜜音がして、淫らな気持ちが高ぶっていく。
「いくよ」
美花に心の準備をさせたあと、彼は少しずつ腰を押し進めた。
蜜が潤滑油のようになり、彼の屹立がナカへと入ってくる。
熱い塊が奥へと進むたびに、なんとも言えぬ緊張が込み上げてきた。
「大丈夫。ほら、ゆっくりと呼吸をして」
身体が痛みを覚悟して硬くなっていたようだ。意識して深呼吸をすると、彼が褒めてくれる。
異物感が半端ないけれど、大晟が体内に入ってきているのかと思うと愛おしくて仕方がなくなる。
だけど、そんなふうに思っていられたのも最初だけ。彼がナカに入ってくるたびに、引き攣った痛みを感じてしまう。
顔を歪めてシーツを握りしめる美花に、大晟は根気よく身体が開くまで待ってくれた。
涙で滲む目元にキスをしてくれたり、胸の頂を指で弾いたりして、痛みを紛らわす努力をしてくれる。
「いくよ、美花」
彼はそう言うと、腰をググッとより押し進めた。
「っう……!」
今までで一番の痛みが襲う。ジンジンとした熱を帯びた痛みを感じてはいるのだけど、幸せも感じて泣けてきてしまった。
彼は痛みで泣いているのかと慌てたが、首を横に振る。
「違うの……。嬉しくて」
「美花?」
「私、諦めていたから。大晟さんと、こんなふうに抱き合えるなんて……」
嬉しい、と感情を吐露すると、彼は真剣な眼差しを向けてきた。
「大事にする」
「大晟さん?」
「一生、美花を大事にする。約束するから」