結婚詐欺に遭った美緒は、傷心旅行で訪れたNYで外交官の亘航希と出会う。実は亘も婚約者の浮気が原因で破談になったばかりだと聞き、なりゆきでデートをすることに。高身長がコンプレックスで地味な自分に自信を持てなかった美緒は、亘のエスコートで華麗に大変身する。そんな美緒に亘が契約結婚を持ちかけ、悩んだ末に受け入れる美緒だったが……!?
航希さんが膝を使って私の脚を開かせる。中心部分に彼自身をぐいぐい押し付けてきた。
布地で蕾が擦れると、思わず大きな声が出てしまう。
「ああっ、やっ!」
「は……っ、美緒……」
腰を動かしながらも彼の唇は首筋を這い、大きな手が私の胸を鷲掴む。やわやわと揉みしだきながら合間に指の腹で先端を掠めていく。手慣れすぎていて彼の経験値の高さが透けて見えた。
「あんっ!」
左側の突起をピンと弾かれた。胸を反らして声をあげたところで反対側の胸にむしゃぶりつかれる。
「やっ……!」
「こうされるのは、はじめて?」
「はじめて……っ」
「そうか、ちゃんと気持ちよくするから」
「もう、気持ちい……っ」
彼は満足げに口角を上げると再び胸に口づける。舌先が乳輪をそろりとなぞり、吸ったり舐めたりを繰り返してから突起の根元を甘噛みする。いっぺんにもたらされる刺激の波状攻撃で、私は身悶えるしかない。
「駄目っ、航希さん、何か変っ!」
お腹の奥が熱くなり、キュンキュンと収縮を繰り返す。身体の中心からトロリと愛液が流れ出る。温かいものがお尻の割れ目を伝っていくのを感じた。
「変? こっち?」
彼の片手が股のあいだに移動して、中心線を撫で上げた。それは一度では終わらずクチュクチュと淫靡な音を立てながら何度もそこを往復する。ますます液が溢れてくる。
「嬉しいな、感じてくれているね。先にこっちでイっておこうか」
「あっ、駄目っ!」
愛液を纏った指が小さな蕾に辿り着く。指の腹でクルクルと撫でられるとあっという間に熱くなった。
気持ちよさと苦しさの狭間で猛烈な快感が生まれ、脳を沸騰させていく。航希さんが容赦なく指のスピードをアップさせた。奥から波が押し寄せる。
「あっ、あっ……」
「イってもいいよ」
彼の囁きを合図に一気に高みに押し上げられる。子宮がギュッと収縮し、心臓がバクバク脈を打つ。イきたい、でも怖い、未知の感覚に慄く自分がいる。
「いやっ、怖い、イっちゃう!」
「美緒、大丈夫だ、俺の指でイけっ!」
「やっ、あっ、あーーっ!」
蕾を強く押し潰されて、目の前で光が弾ける。もう抗えない。私は太ももを震わせながら嬌声をあげ、生まれてはじめての絶頂を迎えた。
――これがイくという感覚……これがセックス。
今もまだ触れられた場所がジンジンしているし、全身が痺れたみたいになっている。自分が触れたことも見たこともない内側までも晒すこと、それがセックスというものなんだ。心も身体も預けられる相手でなければ無理だと思う。
――航希さんでよかった……。
絶頂の余韻に浸ってぼんやりしていると、航希さんが上体を起こすのが見えた。いつもは細く見えるのに、素肌の彼は胸板がしっかりしている見事な肉体美の持ち主だ。彼が膝立ちでボクサーパンツを下ろした途端、立派な屹立が飛び出してくる。
――えっ、嘘っ!
長くて太い彼の分身は、青黒い血管を浮かび上がらせながら天井に向かって反り返っている。先端から透明な液が垂れるのが見えた。あまりの猛々しさに言葉を失っていると、視線に気づいた航希さんが「大丈夫、すぐには挿れないから」と笑顔を見せる。
「美緒を痛がらせたりしない。しっかりほぐすから安心して」
――ほぐす? 何を、どこを、どうやって!?
頭の中にクエスチョンマークを浮かべる私を尻目に、航希さんが股のあいだに陣取った。膝裏から私の脚を持ち上げたかと思うと大きく開いて顔を寄せる。
「あっ、航希さん、駄目!」
「さっきよりもっと快くなる」
「やっ、駄目っ、あっ……ああっ!」
私の動揺を無視して蜜口にチュッチュとキスの雨が降る。恥ずかしさとくすぐったさに腰をひねっていると、さらに大きく股を開かれ割れ目を高速で舐められた。いやらしい音を立てて蜜を啜り、肉厚な舌を蜜口にねじ込んでくる。
「あっ、ふ……っ、あんっ」
航希さんの言葉は本当だった。指でイかされたときよりも生々しくて刺激が強い。口淫などという恥ずかしいことをされているというのに、気持ちよさが勝る。絶妙な舌技に抗うことなどできず、気づけば私はみずから股を大きく開いていた。
チューッと高い音がして花芯を強く吸い上げられる。そこだけ火が点いたかのような熱さに悶絶していると、今度は何かが蜜口に差し込まれた。ナカを掻き回されてそれが彼の指だと気づく。
「あっ!」
引き攣るような違和感は最初だけで、ナカを探る動きであっという間に快感に変わる。
「ん……っ、気持ちい……っ、あっ、いいっ」
「ああ、ちゃんと気持ちいいな、美緒のココが勃っているからわかる」
蕾をガジガジと甘噛みされ、ナカでは指が内壁を擦る。さっきよりも強烈な刺激と込み上げる悦楽に、もっともっとと脳が叫ぶ。
彼がうまいのか私が淫乱なのか、絶え間なく訪れる快感の波に、我を忘れて歓喜の声をあげた。
「ナカが柔らかくなってきたな。……悪い美緒、俺がもう限界だ、イって」
「えっ? ……あっ、ああっ!」
指が二本に増やされた。揃えた指でリズミカルな抽送を繰り返す。角度をつけてナカの浅いところをノックされた。トントン……と響くそこから波紋のように痺れが拡がっていく。
――あっ、また来ちゃう。
絶頂の予感につま先をキュッと丸めて身構える。間髪入れずに敏感な部分を指で押し上げられた。電気が流れるような刺激に胸を反らせたその瞬間、快感が弾けて嬌声をあげた。
「ああーーっ! イくっ、イっちゃう……っ!」
一度目を上回る強烈なエクスタシー。まるで全身が性感帯になったかのようだ。肌が触れるだけでも身体が跳ね、航希さんが指を引き抜くときには腰が浮いた。ヒクつく淫部から愛液がトロリとこぼれていく。
――すごい、セックスってこんなふうになっちゃうんだ……。
ぐったりと力を抜いて絶頂の余韻に浸っていると、航希さんがサイドテーブルの引き出しから何かを取り出している。箱を見てそれが避妊具だとわかった。そうだ、本番はまだこれからなのだ。
私の視線に気づいた彼が、装着する手を止めて私を見る。
「……怖いか?」
「ううん、嬉しいだけ」
「ふっ、そうか、俺は少し怖いよ」
「怖いの?」
「ああ、本気の女性を抱くのも処女を相手にするのもはじめてで、美緒の身体を傷つけないかとか、ちゃんと満足させられるかとか、この期に及んでそんなことを考えている」
目を伏せて物憂げな表情を見せると、「こんなふうに思うのははじめてだ……」と彼にしては珍しく弱気な発言をこぼす。
「ごめん美緒、それでもやめたくないんだ」
避妊具を装着し終えて私を見つめた。
正直言えば私だって不安がある。経験豊かな航希さんをちゃんと満足させてあげられるのかとか、貧弱な身体を見てガッカリしていないのかな……とか。
けれど今はそれより航希さんと結ばれたいという気持ちのほうが強いのだ。彼はどんな私も受け入れてくれるに違いないから。
「……やめなくていい。航希さんが気持ちよくなってくれたらそれでいい」
彼からもらえるものならば、痛みも苦しみもきっと喜びに変わるだろう。
「二人で一緒に気持ちよくなろう。美緒、愛してる」
キスをしてからゆっくり下半身が重なって。花弁をめくって熱い塊が侵入してきた。中から無理やりこじ開けるような感覚に一瞬息を詰める。
「……っは、すごいな、入り口から締めつけてくる。奥に進んでもいいか?」
「うん、だいじょ……ぶ」
航希さんが丁寧にほぐしてくれたからだろうか、圧迫感はあるものの痛みはそれほど感じない。彼の立派な屹立がミチミチとナカを押し拡げながら進んでくる。しばらくすると最奥にトンと突き当たる感覚があった。
「全部挿入った」
「うん、航希さんが、はい……ってる」
肌をぴたりとくっつけて、固く抱きしめ合いながらキスを交わす。
――航希さんが今、私のナカにいる。
「嬉しい……嬉しいよ、航希さん」
正直今はお腹の苦しさと陰部が引き攣れるような感覚のみで、前戯ほどの快感を得ているとは言いがたい。それでもやはり『気持ちいい』と思う。彼と身も心も一つになれた喜びが、心からの充足感を与えてくれているのだ。
――今の私たちはゼロ距離だ。
嬉しくて感動で、胸がいっぱいだ……。
「美緒、俺も気持ちいい。こんなに狭いところで、俺を一生懸命受け入れてくれてるんだな。嬉しいよ」
そう言ってくれてはいるが、彼は最奥に到達してからというものじっと私を抱きしめたまま動こうとしない。
――航希さんは一度もイっていないよね?
さっきから私ばかりが気持ちよくしてもらっている気がする。彼はかなり我慢をしているんじゃないだろうか。
「航希さん、動かないの?」
「いや、無理して君に負担をかけたくない。俺は君のナカに挿入れただけで満足だから……」
――やっぱり。
「我慢なんて必要ない。好きなように動いて」
「そんなことを言われたら抑えが効かなくなるだろう! 君を大事にすると決めたばかりなのに……」
「だったら……ねぇ、一緒にイこう?」
「うあっ、クる」
途端に航希さん自身がナカで大きく膨らんだ。彼の剛直が隘路をみっちりと埋めている。ものすごい質量だ。こんな状態で我慢なんてさせたくない。彼の熱を解き放ってほしい。
「本当に……いいのか?」
「うん、だって一緒に気持ちよくなるんでしょう?」
「……美緒っ!」
彼がゆるりと腰を動かすと、屹立が前後しながら壁を擦る。繋がっている場所からクチュクチュと湿度の高い音が聞こえてきた。私のナカが彼を求めて潤っているのだ。早くも甘い疼きが湧いてきた。
「あっ、気持ちい……」
「うあっ! そんなに締めつけたらイってしまう」
恥骨をぐっと押し付けて腰が止まる。
「航希さん?」
「……マズい、もうイきそうになった。こんなことははじめてだ。悪い、少しだけ待ってくれ」
「イったっていいのに」
私ばかりが何度も気持ちよくしてもらって申し訳ないと思う。だから当然のことを言っただけなのに、航希さんが殺し屋みたいな形相で睨みつけてきた。これは余裕で百人くらい殺っている顔だ。
「君は……人を煽るのが趣味なのか」
「えっ、どういう……」
「わかった。煽ったのは君だからな。男がこの状態になったときに迂闊なことを言ったらどうなるか教えてやる。泣いて頼んでも止めないからな」
地を這うような低い声で宣言した直後、彼がゆっくり腰を引く。出口ギリギリまで屹立を引き抜いた直後、パンッ! と高い音がして恥骨をぶつけられた。
「ああっ! やぁっ!」
彼の屹立が子宮口を激しく叩く。私の身体を上下に揺らしながらそれを何度か繰り返したあと、硬い先端で奥をグリグリ抉ってくる。そこがキュンキュン疼いて仕方がない。またもやイってしまいそうだ。
「航希さんっ、もう駄目っ!」
「止めないって言っただろ」
すぐに抽送が再開される。今度は早く、小刻みに。徐々に呼吸が荒くなり、あたりには二人の吐息とベッドが軋む音だけが響き渡る。
「あっ、イくっ、イくっ……イっちゃう……っ!」
「うあっ、美緒……っ!」
互いにキツく抱きしめ合ってキスを交わす。お腹の中が熱くなり、ゴム越しに精が放たれたのがわかった。
――本当に身も心も溶け合っているみたい。