彼氏と別れた編集者の佐和は、隣に住むイケメン大学生・奏多と思いがけず、飲みに行くことに。そこで彼から童貞だという悩みを聞き、年上の経験者として練習相手を買って出る。お互い好きな人ができるまで、と約束して始まった夜の甘いレッスンは、はじめてのはずの奏多に翻弄されっぱなしで? そんな時、佐和の部署に新人が配属されることになったが……。
意を決した様子の永岡が寝室に向かい、中に入ったところで奏多は彼女の身体を後ろから抱き寄せる。
ボディソープの匂いがするうなじに口づけると、永岡がわずかに動揺した様子で言った。
「あの、小野くんの下の名前は何ていうの」
「奏多です」
「奏多くん……」
「永岡さんは?」
奏多の問いかけに、彼女は「佐和」と答える。
腕の中の身体の細さをつぶさに感じながら、奏多は永岡の耳朶に唇で触れてささやいた。
「じゃあ、佐和さんって呼んでいいですか」
「ぁ……っ」
耳の中に舌を入れ、わざと音を立てて舐めると、彼女が首をすくませる。
同時に胸のふくらみをやんわり揉んだところ、手の中で弾力のある感触がたわんだ。しばらくそうしているうちに永岡の呼吸が荒くなり、腰に回った奏多の手をつかんでくる。
「……っ、ベッドでしよう……?」
そのささやきにぐっと心をつかまれながら、奏多は彼女の身体をベッドに押し倒す。
昨夜とは違って酒が入っておらず、永岡も緊張しているようだった。Tシャツの上から二つの胸のふくらみに触れ、揉みしだく。弾むような感触が手に愉しく、痛みを与えないようにやわやわと揉むと、彼女がこちらを見上げて言う。
「も、もう少し強くても大丈夫だから……」
「こうですか?」
「あ……っ」
両手に力を込めた瞬間、永岡の声が色めいたものになり、奏多の欲情が一気に煽られる。
Tシャツをめくり上げ、黒いブラに包まれた胸のふくらみに直に触れた。適度な大きさのそれは谷間が美しく、カップをずらすと清楚な色の先端があらわになる。
彼女が足先を動かし、「あの……」とつぶやいた。
「向こうの部屋の電気、消してきてほしいんだけど……」
部屋の灯りは点いていないものの、リビングは明るく、開いたままのドア越しに光がこちらに差し込んでいる。奏多はさらりと答えた。
「でもさっき言ったとおり、俺は昨夜の記憶があやふやですし」
「えっ」
「だから改めて、佐和さんの身体を見せてもらわないと」
それを聞いた永岡の顔がかあっと赤くなったものの、抵抗はしない。
奏多は彼女のTシャツとブラに手を掛け、まとめて脱がせた。そして形のきれいなふくらみをつかみ、先端に舌を這わせる。
「ぁ……っ」
乳暈をなぞると、敏感なそこはすぐに硬くなり、芯を持った。
勃ち上がった尖りに吸いついた途端、永岡が息を乱す。昨日もそうだったが、彼女は胸が感じやすいらしい。
「はぁっ……ぁっ」
少し強めに吸いついたところ、永岡が眉を寄せる。
左右を交互に舐めるうちに先端は唾液で濡れ光り、つんと尖っている様が淫靡だった。白い肌にキスを落としながら、奏多は彼女の脚の間に触れる。
するとそこは下着越しでもわかるくらいに熱くなっており、かすかに湿っていた。レースの生地の上から割れ目をなぞり、上部をぐっと押す。その瞬間、永岡の腰がビクッと跳ね、彼女が上擦った声で言った。
「ぁっ……そこ……っ」
指で繰り返し擦ると、そこは次第に尖り始める。
自分の手で彼女が反応しているのだと思うとじりじりと欲情が募り、奏多は股間が張り詰めるのを感じた。身体を起こし、永岡の下着を改めて見下ろす。ブラと同じ黒の下着はレースでできたローライズタイプのもので、白い肌に映えてなまめかしい。
奏多は下着のクロッチ部分に触れ、彼女に問いかけた。
「ここ、見てもいいですか」
「えっ? ぁ……っ」
クロッチに指を引っかけて横によけると、柘榴のように赤い花弁が見えて思わず喉が鳴る。
蜜口からは愛液がにじみ出し、灯りを反射して光っているのがいやらしく、官能をダイレクトに刺激した。奏多はますます自身が硬くなるのを感じつつ、つぶやいた。
「すごい、……エロいですね」
「や……っ」
「触りますよ」
花弁に触れ、蜜口に浅く指を挿れる。
するとくちゅりと粘度のある水音が立ち、とろみのある愛液が溢れ出た。そのままじわじわと指を埋めていくと、柔襞がきゅうっと絡みついてくる。
中は熱く、みっちりとした狭さがあって、ここに自分のものを挿れるのだと思うと期待が高まった。根元近くまで埋めた指を抽送し、ときどき最奥を押し上げる。するとどんどん潤みが増し、永岡が息を乱した。
「はぁっ……んっ、……ぁ……っ」
溢れ出た蜜が手のひらまで濡らしているのを感じ、奏多は熱い息を吐く。
中に挿れる指を増やすと彼女が呻き、上気した顔で見つめてきた。蜜口から隘路を掻き回す動きをやめないまま奏多は身を屈め、永岡の唇を塞ぐ。
「ん……っ……ぅっ……」
熱っぽく舌を絡め、口腔を舐め尽くす。
指を受け入れている隘路がきゅうっと窄まるのが淫らで、ますます深く二本の指をねじ込んだ。その瞬間、彼女がこちらの二の腕をつかんで切羽詰まった声を上げる。
「ぁ、達っちゃう……っ」
ビクビクッと中が痙攣し、熱い愛液がどっと溢れ出す。
内壁が断続的に指をきつく締めつけていて、永岡が息を乱した。彼女はこちらの顔を引き寄せ、自ら唇を塞いでくる。
そしてひとしきり舌を絡めたあとで唇を離し、どこか怒ったような顔で言った。
「――次は、わたしの番だから」
「えっ」
永岡がぐっと身体を押してきて、奏多はベッドの上で尻もちをつく。
彼女は起き上がり、こちらのベルトのバックルに手を掛けると、チノパンの前をくつろげた。そして下着を引き下ろしてすっかり昂ぶったものに触れ、奏多に向かって告げる。
「こんなに大きくして、わたしの身体を見て興奮した?」
「しましたよ。佐和さんの身体、きれいなので」
「じゃあ、口でしてあげる」
奏多の股間に顔を伏せた永岡が、おもむろに先端を咥える。
温かく濡れた口腔に迎え入れられ、奏多は思わず身体を揺らした。柔らかな舌が亀頭を舐め回し、くびれや鈴口をくすぐる。ぬめるその感触は強烈で、奏多は慌てて彼女の頭に触れた。
「……っ、ちょっと待ってください」
「待たない。小野くんはこっちの身体を好きに触ったんだから、わたしにもそうする権利があるでしょ」
永岡がより深く剛直を咥え込み、奏多はぐっと奥歯を噛む。
切っ先が彼女の喉の柔らかいところに当たっていて、幹の部分を舐め回す舌にどうしようもなく感じていた。今にも達してしまいそうに気持ちよく、ときおり吸いつかれるのもたまらない。
「は……っ」
気がつけば呼吸が乱れていて、熱い息を吐いていた。
顎が疲れたらしい永岡が屹立を口から出し、幹を根元からじっくり舐め上げる。淫らなその姿に官能を煽られ、奏多は彼女の頬を撫でた。
するとこちらから目をそらさないまま永岡が先端まで舐め、鈴口を舌先で刺激してくる。
「……っ」
(やば……っ)
一気に射精感がこみ上げ、咄嗟に彼女の顔を押しのけたものの間に合わず、奏多はドクッと放ってしまう。
永岡の顔に白濁した飛沫が飛び散り、顎や口元を汚して、彼女はしばし呆然としていた。奏多は急いでベッドサイドの棚の上に置かれたティッシュを取り、永岡の顔を拭きながら謝罪する。
「すみません! 出すつもりじゃなかったんですけど」
「いいよ。気持ちよくて、つい達っちゃったんだよね?」
確認するように問いかけられ、奏多はばつの悪さをおぼえながら「……はい」と頷く。
すると彼女がニッコリ笑って言った。
「ふふっ、よかった。本当は顔射されるなんて冗談じゃないけど、小野くんは初心者だから許してあげる」
どこか余裕を感じるその態度にムッとし、奏多は押し黙る。
確かに初心者だが、こうして翻弄されるのは性に合わない。こうなったら何が何でも永岡を乱してやりたくなり、彼女の髪に触れて告げた。
「まだできるので、続きをさせてください」
「えっ、でも……。んっ」
後頭部を引き寄せて唇を塞ぎ、先ほどの口淫の痕跡を浄めるように舌を絡める。
くぐもった声を漏らす永岡をベッドに押し倒し、奏多は彼女の首筋から鎖骨、胸元を唇で辿った。そうしながらも再び秘所に触れ、蜜口から指を挿入する。
「ぁ、は……っ」
愛液でぬめる内部は狭く、襞が蠢きながら指に絡みついてきた。
永岡の脚の間に自身の指が埋まっている様は、視覚的に奏多を煽った。しばらくそうして行き来させ、充分濡れたことを確かめた奏多は指を引き抜く。すると彼女が「あの」と言って、こちらを見上げた。
「避妊具、持ってくるの忘れちゃったんだけど……」
「大丈夫です。買ったんで」
そう言って引き出しに腕を伸ばし、避妊具の箱を取り出すと、永岡が唖然として言う。
「買ったって、もしかしてわたしとするつもりだったから……?」
「他に何があるんですか」
「だ、だって、昨日だけって言ったのに……んっ」
彼女の唇にキスをした奏多は、吐息が触れる距離でささやく。
「佐和さんと〝やり直し〟をしたかったので、買っておいたんです。避妊具も持たずに行為がしたいなんて、男として無責任ですから」
「……っ」
パッケージを破り、いきり立った自身にクルクルと被せる。
そして愛液でしっとりと濡れそぼっている永岡の秘所に、ぬるりと擦りつけた。
「んっ……」
亀頭で花芽を擦ると、彼女がピクリと腰を揺らす。
愛液のぬめりを纏わせるために花弁で行き来させながら、奏多自身もじりじりとした欲求を持て余していた。やがて切っ先で蜜口を捉え、ぐっと圧をかける。
「ぁっ……は、っ」
強い抵抗のあとに亀頭が埋まり、入り口がぎゅっと締めつけてきて、奏多は眉を寄せる。
気を抜けばすぐに持っていかれそうな感触に、思わず息を詰めて耐えた。体重をかけながら幹の部分を埋めていき、やがて切っ先が最奥に到達する。
永岡が浅い呼吸をしながらつぶやいた。
「……ぁ……硬い……っ」
「苦しいですか?」
「少し……」
ならばしばらく、このまま動かないほうがいいだろうか。
本当は今すぐ動きたいのをこらえつつそう考えていると、彼女が「でも」と言い、腕を伸ばして奏多の首を引き寄せてささやく。
「好きに動いていいよ。じっとしてるの、つらいでしょ」
「……っ」
年上らしい気遣いと包容力を見せる永岡に、奏多はぐっと気持ちをつかまれる。
昨日一度経験したことで多少なりともあった気持ちの余裕は、挿入した途端に吹き飛んでいた。彼女の上に覆い被さり、緩やかに腰を揺すり上げる。一度動くと止められず、徐々に律動を激しくした。
「あっ……はぁっ……あ……っ」
次第に愛液の分泌が増え、動くのが容易になる。
一分の隙もないほどに密着した内壁が断続的に締めつけてきて、その圧が心地よかった。永岡の中を穿ちながら、奏多はその目元や首筋に口づけてささやく。
「佐和さん――声、すっごい可愛い」
「ぁ……っ」
胸のふくらみをつかんで先端を舐めると、隘路の締めつけが増す。
ともすれば達ってしまいそうなほどの快感があったが、奏多は息を吐くことでそれを逃がした。身体を起こし、彼女の脚を抱えて腰を打ちつける。そのたびに形のいい胸が揺れ、永岡が切れ切れに声を漏らした。
「んっ……ぁっ、……は……っ……あ……っ」
挿入の角度によって入る深さが変わり、ずんと奥を突くと彼女が「あっ!」と高い声を上げる。接合部は溢れ出た愛液でぬるぬるになっており、動くたびに淫らな水音を立てていた。
(……やばい。こんなの、気持ちよすぎて頭が馬鹿になる……)
これまで奏多は自分を理性的な人間だと思っていたが、セックスの場においてはまったく取り繕えていない。
衝動のままに腰を突き上げることしかできず、だがそんな状況は決して嫌ではなかった。締めつけが断続的に強まり、永岡が切羽詰まった声を上げる。奏多は彼女の両手をシーツに縫いつけて律動を送り込みながら、吐息交じりの声でささやいた。
「……佐和さんが達くところ、見せてください」
「や……っ」
永岡が羞恥をおぼえた様子で、つかまれた手を振り解こうとする。奏多はそれを許さず、上から見下ろして告げた。
「でも、もう達きそうですよね? さっきから奥がビクビクしてる……」
「あっ、あっ」
より強く腰を押しつけて先端で小刻みに奥を抉ると、彼女の声が高くなる。
永岡を煽りつつも、奏多自身がもう限界だった。ぐっと奥歯を噛み、息を詰める。永岡が背をしならせて達するのと、奏多が最奥で熱を放つのは、ほぼ同時だった。
「あ……っ!」
「……っ」
楔を受け入れた隘路がビクビクと痙攣し、内襞が咥え込んだものをゾロリと舐める。
搾り取ろうとする動きは強烈で、奏多はこみ上げる衝動のままに薄い膜の中で吐精した。やがて彼女の身体がゆっくりと弛緩していき、荒く息をつく。