OLの桃香は社長の水澤壮真に長く片想いをしていた。大学の先輩である彼とは二人で誕生日を祝うような仲だが、なかなか妹扱いから抜け出せない。だが桃香が他の男に迫られているのを知った壮真は甘く情熱的に桃香を求めてきて…。「きみにキスしたい。きみを抱きたい」ようやく想いが通じ合ったものの、社内に壮真と昔関係のあった女性がいる疑惑が!?
「どうぞ」
「ありがとう。桃香ちゃんの部屋に来るのは……引っ越しを手伝ったとき以来だな」
壮真は懐かしそうな声で言った。
それは三年前、桃香がシャイニングブライトリーに就職し、実家を出て一人暮らしを始めたときのことだ。
桃香がドアを閉めてパンプスを脱ぐと、壮真は桃香の腰に手を回した。彼の方に引き寄せられそうになり、桃香は壮真の胸を両手で押す。
「先にシャワーを浴びてもいいですか?」
「……ああ」
壮真が腕を解き、桃香はキッチンを抜けて壮真を居室のソファに案内した。
「冷蔵庫に飲み物があるので、お好きなものを飲んで待っててください」
「わかった」
桃香はラックにバッグを置いて廊下を戻り、洗面所に向かった。着ていたものを脱いでバスルームに入る。
「はぁ……」
ため息をついてシャワーのレバーを持ち上げた。手が小刻みに震えて、落ち着かない気持ちで湯を浴びる。
まさか今日、急にこんな展開になるとは思わなかった。
(でも……初めては壮真さんがいいって思ってたから……)
胸につけられたキスマークはもう消えかけていた。代わりに今日、彼の記憶を体に刻み、お別れしよう。
改めてそう思ったとき、ガチャッと音がしてバスルームのドアが開いた。
「えっ」
ハッとして顔を向けると、壮真が立っていた。もちろんなにも身につけていない。
「きゃあっ」
桃香は反射的に両腕で体を隠した。けれど、自分の裸を見られたことよりも、初めて見る壮真の裸体が目の前にあることの方が恥ずかしい。強い光を宿した瞳、広い肩幅、逞しい胸筋、ほどよく割れた腹筋……そして、天を仰ぐ怒張。
桃香は顔を真っ赤にして、壮真に背を向けた。
「どうして」
「待ってられないんだ」
壮真は言うなり桃香を後ろから抱き寄せた。
「きゃ」
背中に彼の逞しい胸板を感じ、お尻に硬く屹立したものが触れる。
「壮真さんっ」
「待ってられないって言っただろ? 洗ってあげるよ」
壮真はボディソープをプッシュして泡を手に取ると、桃香の鎖骨の辺りに乗せた。それを広げるようにしながら、ゆっくりと肌を撫で下ろした。手のひらで胸の先端をかすめ、膨らみをすくい上げるようにしながら揉みしだく。
彼の大きな手に握られて、柔らかな胸が形を変える。
そのさまはあまりに卑猥で、恥ずかしくて見ていられない。腰の辺りがぞわぞわとして、桃香は喘ぐように声を出した。
「……もう……そこはいいです……から……っ」
「ダメだ。ここもきれいに洗わないと」
胸の先端が、長い指の間でこすられてピンと尖る。それを指先で転がされ、捏ねられ、押しつぶされた。
いじられているのは胸なのに、お腹の奥がじんとして、もどかしげに疼く。
「は、あ……っ」
桃香は耐えられなくなって、右手を伸ばして壮真の頬に触れた。
「どうした?」
甘さの滲む口調で問われて、桃香はキスをねだるように壮真を見上げた。
「壮真さん」
「桃香」
壮真は肩越しにゆっくりと桃香に口づけた。触れては離れる彼の唇を追い求めるように、桃香は彼の後頭部に手を回して髪に指を差し入れる。
そうして彼の柔らかな唇を味わっていたら、壮真の右手がお腹を通って下腹部へと下りていった。
「……っ」
滑らかな泡をまとった指が花弁を撫で開いて、花芯を転がした。そうしながらもう片方の手で胸の尖りを刺激する。
「あ……っ、壮真さ、あぁんっ」
桃香の口から甘い声が零れた。
「まだちゃんと洗えてない」
壮真は桃香の耳元で囁いて、長い指で割れ目をなぞった。泡と蜜を絡めながら指先を差し入れる。ゆっくりと抜き差しを繰り返すうちに、クチュクチュと水音が高くなった。
その指がナカを探るように掻き回す。
壮真が指を折り曲げてある一点を押し上げたとき、痺れるような刺激に桃香の腰が大きく跳ねた。
「あぁんっ」
嬌声がバスルームに響く。恥ずかしいと思う余裕なんてなく、あまりの刺激に立っていられず、桃香は壁に両手をついた。
その腰を引き寄せ、壮真はさっき暴いた桃香の感じる場所を、強弱をつけて掻き乱す。
「ああっ、ダメ、壮真さっ、や、ああっ」
リズミカルに刺激され、体の奥から愉悦がせり上がってくる。耐えきれなくなって、桃香は大きく背を仰け反らせた。その瞬間、電流のような快感が背筋を駆け上がった。
「は……ああっ」
桃香は両手を壁についたまま、荒い呼吸を繰り返す。
そのまま壮真を振り仰ぐと、彼は桃香の唇にチュッとキスをした。
桃香は快感の残る体をゆっくりと起こし、震えそうになる脚に力を入れて壮真に向き直った。
「ちゃんと……壮真さんも……気持ちよくしてあげます」
桃香はボディソープに手を伸ばした。手のひらにたっぷりの泡を取って、彼の胸に乗せた。張りのある肌の上を滑らせ、引き締まった脇腹からお腹へと泡を広げていく。
「桃香」
壮真が眉を寄せて悩ましげな表情になった。
自分が彼にそんな顔をさせているのだと思うと、胸が熱くなる。
「壮真さん」
桃香は両手を壮真の背中に回してギュウッと抱きしめた。愛おしくてたまらず、背伸びをして彼の唇に口づける。そうしながら硬く屹立した彼自身をそっと握った。
その桃香の手首を壮真が握る。
「壮真さん?」
桃香は彼を見上げた。壮真は熱情の滲んだ目で桃香を見つめる。
「桃香のナカで気持ちよくさせて」
壮真はかすれた声で言って、桃香の額に自分の額をコツンと当てた。
「いい?」
壮真に訊かれて、桃香はこくんと頷いた。壮真はバスタブの縁に腰をかけて桃香の腕を引く。
「おいで、桃香」
桃香は壮真に促されるまま彼の太ももを跨いだ。
壮真の手のひらが腰に触れて、ゆっくりと撫で下ろす。その手が太ももを滑って左の膝裏に触れた。そのまま脚を持ち上げられ、蜜口に欲望の切っ先が押し当てられた。
「ん……んん……っ」
熱く硬いモノが押し広げるように侵入してきて、その圧迫感に思わず息が止まる。
「狭い、な」
壮真はギュッと眉を寄せた。その表情が苦しそうに見えて、桃香は喘ぎながら言う。
「壮真さん、だい、じょうぶ?」
「桃香は?」
壮真に気持ちよくなってほしい一心で、桃香は声を絞り出す。
「私は、大丈夫……です」
壮真は桃香の両腰を掴んでぐっと引き寄せた。その瞬間、引き裂かれるような痛みに襲われ、桃香は反射的に仰け反った。
「ああぁっ」
「桃香?」
壮真がピタリと動きを止め、桃香は目に涙を滲ませながら囁く。
「ごめんなさ……。私は大丈夫だから……壮真さんが気持ちよくなるように、して」
桃香の表情を見て、壮真はハッとしたように呟く。
「もしかして……初めてだったのか?」
桃香は頬がカアッと熱くなり、黙って頷いた。
次の瞬間、桃香は壮真にギュッと抱きしめられていた。
「桃香、桃香」
壮真は桃香の肩に顔をうずめて、何度も彼女の名前を呼ぶ。
「そ、壮真さん?」
「こんなことをしてまで、俺から自由になりたかったのか?」
下腹部の痛みよりも強い胸の痛みに、桃香の頬を涙が伝った。
「……壮真さんを自由にしてあげたかったんです」
「どういうことだ?」
壮真は顔を上げて桃香を見た。桃香はポロポロと涙を零しながら言う。
「だって……私のせいで、壮真さんがちゃんと恋愛できないから。結婚できないから。私のせいで、壮真さんが幸せになれないから。だから、壮真さんを自由にしてあげたかったの。壮真さんの幸せがなにより大事だから」
「桃香のせいなんかじゃない」
壮真は右手で桃香の涙を拭った。けれど、またすぐに新しい涙が桃香の頬を濡らす。
「俺のせいなんだ」
「どうして?」
「俺が桃香を……好きだから。妹のような存在としてじゃなく、女性として好きなんだ。でも、桃香は俺を兄のように慕ってくれているから……俺じゃ桃香を幸せにできないから……桃香にふさわしい男が桃香を幸せにしてくれるまで、そばで見守りたかった」
想像すらしたことのなかった言葉を言われて、桃香は信じられない思いで瞬きをした。彼は淡く微笑んで言う。
「ごめん。兄代わりの男にこんなことを言われても困るよな。だけど……桃香が自由になりたがってたから……最後に桃香を抱きたいと思ったんだ」
「壮真さんっ」
桃香は壮真にギュウッと抱きついた。
「桃香?」
「私は困りません。最後だなんて言わないでください。私はずっと……プライベートシアターの前で抱きしめてくれたときからずっと……壮真さんが好きだったんです! 大好きだったんです!」
「兄として……ではなく?」
「はい」
「本当に?」
壮真が信じられない、と言いたげな口調で訊き、桃香はしっかりと頷いた。
「はい。だけど、恋愛対象として見られてないって思ってたから……壮真さんを自由にしてあげなくちゃって思ったから……最後に壮真さんとシたかったんです」
「なんてことだ」
壮真は桃香を掻き抱いた。
互いに強く抱き合い、惹かれ合うように唇を重ねる。貪るように互いの唇を味わい、キスを繰り返す。
「桃香……」
壮真が熱を孕んだ声で名前を呼んで、桃香の腰を両手で掴んだ。桃香はゆっくりと彼に体重を預ける。
「ん、うぅっ」
圧迫感がさらに強くなり、奥までこじ開けるように貫かれた。ヒリヒリするような熱を感じて、桃香は眉をギュッと寄せる。
「力、抜ける?」
壮真に言われて、桃香は涙目になりながら浅く呼吸を繰り返した。
けれど、力を抜こうとしても、彼の欲望を咥え込んだ体はどうしたって固く張り詰める。
「ダメ……です……」
「つらくないように、できるだけゆっくり動くから」
壮真は腰を引いて、浅いところをゆるゆるとほぐすように動いた。
やがて彼とつながっている部分がゾクゾクとして、痛いよりも気持ちよく感じるようになる。
「あ……はぁ……」
淡い痺れが気持ちよくて、桃香の表情が緩んだ。
自然と腰が動き、それに気づいて壮真が腰を進めた。ナカを抉られるような刺激に、桃香は甘い悲鳴を上げる。
「ひゃあんっ」
「よくなってきた?」
壮真に訊かれて、桃香は頬を染めながら答える。
「……はい」
「桃香が感じてるのがわかるよ」
「……どうして、わかるんですか?」
「ナカが熱くうねって俺を締めつけてくるんだ」
自分でも、下腹部がキュウキュウと締まって、彼の欲望の形を熱くはっきりと感じる。
「そ……まさんは? 気持ちいい、ですか?」