溺愛したい極上CEO×幸せを諦めてる彼女
義姉の縁故で入れられたブラック企業で上司から交通事故の責任を押し付けられた千織。人身御供のように被害者の実業家・克己の世話に向かわされた彼女は、その克己に労られ尊重されることで人間性を取り戻していく。「俺を頼れよ。今だけでいいから」心が通じ合った彼に優しく愛され、幸せを感じる千織だが、義姉が克己のマンションに押しかけてきて!?
「肩は平気ですか?」
「千織が右肩にしがみついたり、噛みついたりしなければ?」
「っっ……、気をつけます」
ベルトをはずされ、ボトムスが床に落ちる。下着姿になって、急に心もとなくなる。
そのタイミングを見計らったように、克己が「こっち、横になって」とベッドをぽんぽんと叩いた。
「失礼、します」
四つん這いになってベッドの上を移動していると、彼が先に横たわる。左肘で頭を支え、穏やかな表情でじっと千織を見つめている。
――そんな目で、見られたら……
自分が特別な存在になってしまったように錯覚する。
これは、まったく特別なことではない。きっと、なんの未来にもつながらない行為だ。理性はそう言っているのに、本能が彼の優しさに期待しそうになってしまう。
枕に頭をのせて、千織はきゅっと目を閉じた。
――期待しちゃ、ダメ。何もいらないの。ただ、克己さんに抱かれたい。それだけだから。
「どうぞ、克己さんの好きにしてください」
「こら」
つん、とひたいをつつかれる。
「そんなことを言うものじゃないよ。きみがきみを大切にしなければ、誰も大切にしてくれないんだからね」
「……はい」
「だけど、俺は大切にするかもしれないな。いや、きっとする。千織を大事に大事に守りたい」
「えっ」
「俺がたくさん大切にしたら、きみもきっと自分を大切な存在だって思えるようになる。いや、なるんじゃなくて、取り戻すんだ」
「克己、さん……?」
彼が上半身を起こし、千織の顔の脇に左腕をついた。
「キスして、千織?」
恥ずかしくて、黙って頷く。
ぎし、と小さくベッドが軋む音がした。
彼の手が肩を撫でる。スラックスの両膝で脚を跨がれて、背の高い克己の影に自分がすっぽりと入ってしまうのがわかる。
自分から手を伸ばし、精悍な頬に触れた。
「克己さん……」
唇が触れると、彼が甘く舌で下唇をなぞる。
「ん、ふ……っ」
「かわいい声」
「っっ……」
ぱっと顔を離すと、瞳を覗き込まれた。
「千織は目がきれいだね」
「そっ、そんな、普通です」
目を伏せると、それを狙っていたかのように彼がまぶたに唇をかすめた。
「!」
「きれいだよ。それに、睫毛が長い。閉じてみて。そのほうがよくわかるから」
言われるまま、静かに目を閉じる。
すると、唇にくすぐったいほど軽く、キスが落とされた。千織は胸の上で両手をぎゅっと握りしめる。
「力、抜いてごらん」
「は、い……」
だが、言われたところで簡単に力が抜けるわけでもない。
ちゅ、ちゅっと何度もくちづけられているうちに、だんだん彼のキスが熱くやわらかくなっていく。
甘く舌を絡められるころには、千織は自然と口を開き、克己を受け入れはじめていた。
「キス、気持ちいい?」
「克己さんとの、キス、だから……」
「千織も舌、出してごらん」
「こ、う……?」
「そう。じょうずだね」
小さく伸ばした舌先を、彼の舌がれろ、と舐めた。
「んっ、ふ……!」
くすぐったくて、はしたなくて、今まで感じたことのない何か。
とろりと互いの唾液が糸を引き、舌の上を弄っていた克己の舌が、舌裏にもぐり込む。
「ん!」
螺旋を描くように、彼の舌がうごめいた。
くるり、くるりと周囲を甘く責められ、奇妙なもどかしさに腰が浮く。
「く、すぐったい……」
「くすぐったいだけ?」
「……頭が、ぼうっとします」
「うん。目がとろんとしてきたね。千織は素直だから、キスに応えるのもすぐじょうずになるよ」
ブラのストラップが、二の腕まで下ろされる。レース素材の縁に、彼が指をかけた。
「っ、あ……!」
左右の胸があらわになり、夜気にかすかに震える。
先端は何かを期待するように、わずかな自己主張を始めていた。
「白い肌だ」
「あまり、見ないで……」
「こんなにきれいなのに? 千織は意地悪だな」
ふっと笑った克己は、左胸の先端にかすめるようなキスをする。
「っっ……!」
触れられた部分が、せつなさにきゅうっと引き絞られる気がした。
「ああ、これがいいみたいだな」
「や、待っ……あ、あっ」
今度は触れるだけではなく、唇で甘く食むように先端が包み込まれる。
彼の濡れた粘膜で触れられると、胸の先に心が集まっていく。今まで知らなかった、慾望が収斂するのだ。
「克己さ……っ」
「うん?」
軽く吸っては、ちゅぽんと口を放し、また吸い付いてくる。
唇で乳首を扱かれている。その動きに、腰の奥が甘くせつない。触れられていない部分が、きゅう、とくぼむような奇妙な感覚に陥る。
「硬くなってきた」
赤い舌を出し、屹立した部分をちろちろと舐めながら、彼が目だけをこちらに向けてくる。
――やだ、これ、声が出ちゃう。息が上がって、冷静でいられない……
唾液に濡れた先端は、淫靡にぬめっていた。
「声、我慢しなくていいよ。俺にしか聞こえない」
「で、でも……」
「千織」
人差し指でピンと乳首を弾かれて、千織はびくっと体を震わせる。
「きみの声を聞かせて」
「んっ……、あ、あっ」
それまでよりも強く吸われ、舌で先端を転がされる。
声を我慢しなくていい、ではなく、我慢させないと言いたげに、彼の舌は淫らに躍った。
「は、ぁ、あ、気持ち、ぃ……」
「良かった。じゃあ、もっと気持ちよくなろうな」
腹部に彼の左手が触れたと思うと、そのまま鼠径部へとすべり下りていく。肌の上を指が這う感覚に、千織はかすかに喉を反らした。
克己の大きな手は、すぐにショーツの縁にたどり着いた。
そのまま布地の内側に入り込まれてしまう。そう思ったが、彼の手は布の上から千織の柔肉を撫でていった。
すりすりと優しくなぞられ、内腿がひくんと痙攣する。
「――……っ、ぁ!」
「千織は華奢だけど、ここはやわらかい」
「んっ、や、あ……」
「こうして指を押し込むと」
まだ誰も受け入れたことのない体に、男の指が食い込んでくる。布越しだから、そのまま入ってしまうわけではない。けれど、蜜口近辺に押しつけられた指で千織は腰を浮かせた。
「や、ぁ、遊ばないで……っ」
「遊んでないよ。外側からほぐしていこう」
「う……、は、い……」
表面を指腹でさわさわと撫でられると、強い刺激があるわけではないのに胸にこぼれた長い髪が波を打つ。
自分の体が自分の意志に反して揺れ、震え、甘く潤っていく。
「克己さん、待ってください、そんなにさわったら……」
快楽による甘い蜜があふれてきているのを、千織は気づいていた。
下着までしみてしまう。そうしたら、彼の指を汚してしまうのではないか。
「そんなにさわったら、どうなっちゃうのかな」
「んっ……、ぁ、濡れ、ちゃう……」
泣きそうな声で訴えた千織を見下ろし、彼がぶるりと体を震わせた。
深い二重まぶたの下の瞳が、かすかに色を変える。そこに宿っているのは、情慾だ。
「かわいいことを言ってくれる。濡れるのが恥ずかしい? 俺に感じさせられて、ここが甘く蕩けてくるのが――」
ショーツにくい、と指を押し込まれ、こらえきれない嬌声が漏れる。
「ひぅッ……ん!」
「奥のほう、熱くなってきているよ。わかる?」
爪で蜜口近辺を布越しに引っかかれ、千織は子どものように首を横に振った。
克己は爪をきちんと切っているので、引っかかれても痛みはない。けれど、その指が亀裂の上のほうに移動してくると、ひりつくような痛みにも似た強い快感が全身を襲った。
「っっ……! ぁ、やだ、そこ、いやぁ……ッ」
もっとも感じやすい、小さな花芽を探り当てられ、千織は覚悟も忘れて両手で彼の体を押しやろうとする。
「痛い?」
「ひ、ひりひり、する……」
「感じすぎて指じゃつらいか」
涙に濡れた視界で、彼が上半身を低くするのがわかった。
ショーツがゆっくりと引き抜かれていく。
器用な克己は、脱がせるのと同時に千織の腰の下にクッションを割り込ませた。
「なっ……、何、やだ……」
暗い室内に、自分の下腹部の白さがやけに目立つ。
脚を閉じようとするも、太腿と膝をつかまれて、簡単にか弱い部分をあらわにされてしまった。
「ぃ、や……」
両手で脚の間を隠そうとすると、彼はその指先を咥える。
「んっ……!」
「細い指だ。手も小さくて、愛らしい」
ぬろり、と舌先で指を舐められて、力が入らなくなる。その機会を逃さないとばかりに、克己が脚の間に顔を近づけた。
何をしようとしているのか、わからないほど無垢ではない。
けれど、そうしないとセックスができないというものでもないはずだ。
「克己さん、ダメ、そこはダメです」
「どうして?」
「だ、って、そんな、しなくても、できるから……」
「たしかに挿入して好き放題に腰を動かすだけでセックスはできる。でも、俺がしたいのはそういうことじゃないんだよ」
ちろり、と赤い舌が躍る。
「ひっ……!」
クッションの上で、腰が跳ねた。
跳ね上がった先に、彼の唇がある。自分から、さらに腰を押しつけた格好だ。
「こういうね、千織が感じて恥じらっているのを見るのも醍醐味なんだ。わかる?」
「わからなっ……あ、あっ」
両手で彼の頭を押し返す。
けれど、舌先がしっかりと花芽をとらえ、逃がしてくれない。
ちろちろと舐められているうちに、突然刺激が強くなる。まるで、神経を直接舐られているかのように。
「ああッ……! あ、やだ、何っ」
「かわいいところがむき出しになった。ここ、どう? 痛くない?」
痛みはなかった。ただ、どうしようもなく感じてしまう。
舌でくるりと周囲をなぞられれば、蜜口がひくついて透明な液体をしたたらせる。
臀部を伝う愛蜜に、いっそう羞恥心を煽られた。
「ぷっくり腫れてきた。感じてるのがわかるよ」
「克己、さ……、お願い、お願いです。そこ、いや……」
「自分から誘ったくせに、千織は大胆だったり、恥ずかしがったり、そういうところも魅力的だ」
「ひぁッ、あ、あああっ……!」
唇が優しく花芽を包み込む。あっと思ったときにはもう遅い。
彼は感じやすい突起を音を立てて吸いはじめた。
「っっ……、ぁ、ああ、吸わないで……ッ」
吸いながら、舌でねっとりと愛撫される。頬だけではなく、首も耳も、鎖骨まで赤く染めて、千織は全身を痙攣させていた。
「はっ……ぁ、ん! っあ、あ、あっ、いや、いやぁ……」
「千織、いいよ。いくらでも感じて」
「やだっ……、あ、おかしくなっ……」
「どんなふうに?」
亀裂に舌を埋めたまま、彼は千織の太腿の間からこちらを見つめてくる。
美しい瞳に見たこともない淫靡な炎が揺らいでいた。