地味とバカにされ傷付いた文香は、ウィッグとコンタクトで変身して合コンに参加。目立たない眼鏡男子・秀人と出会い、お付き合いすることに? 「君だから、ここに連れてきたかった」休みの日にコテージに連れ出され、身も心もとろとろに愛されて幸せな日々。ところが自分と同じ世界に居ると思っていた彼は、実はイケメンで有名なIT会社の社長で……!?
「これが邪魔だな」
彼は自分の眼鏡を外すと、ローテーブルの上に置いた。そして、前髪をかき上げる。
え……。
眼鏡をかけている彼も格好いいと思っていたが、外すとそれ以上だ。外見だけが好きなわけではないけれど、それでも眼鏡を外した顔に見惚れてしまう。
こんなに顔が整った人、実際に見たのは初めて……。
再び唇が重なり、舌が絡められる。文香はドキドキしながらも、ただ彼のなすがままになっていた。
胸の奥が熱い。いや、それだけでなく、身体全体の体温が上がっているようだった。
いつの間にか文香は彼にしがみつくように、背中に手を回していた。彼は文香の髪を優しく撫でながらキスをしている。
こんなこと……まるで夢みたい。
自分のことなのに現実感がない。不思議なほど、夢の世界の出来事のように感じられる。自分が男性と二人きりの場所で熱烈にキスを交わしていることが信じられなかった。
文香はこれからどういった展開になるのか予想もつかなかったが、彼はきっと文香よりはこういった経験を積んでいることだろう。キスをしただけで終わるものなのか、それともこの先まで行ってしまうものなのか。
文香はこれだけで終わりたくなかった。
この先のことが怖くないわけではない。おぼろげな知識はあるから、想像してしまうと怖い。
でも……なんだかこのまま先に進みたい気持ちもある。彼のことをもっと知りたい。中途半端ではなく、彼のすべてが知りたいと思ってしまう。
そして、何より身体の奥に特別な衝動を感じている。だから、いつまでもキスがやめられずにいるのだ。
彼もきっとわたしと同じ気持ちのはず。
ううん。本当は彼の気持ちなんて判らない。ただ、わたしと同じであってほしいと願っているだけだ。
同じでなければ、こんなにキスをしないはずだ、と。
彼の手が胸のふくらみに触れた。ドキッとして、身体が揺れたが、全然嫌ではなかった。ブラジャーに包まれた乳房が、彼の手の温もりに反応している。乳首に甘い疼きを感じて、自分の身体が高ぶっていることが判る。
キスしかしていないのに……。
こんな自分が不思議でたまらない。
唇が離れると、彼は文香の身体をそっと床に敷いたラグの上に横たえた。文香はぼんやりと彼を見つめる。
頭がぼうっとしていて、上手く働かない。彼が再び文香にキスをするまで、ただ彼を見つめ続けていた。
二人の身体が重なり合う。
今さっきよりも彼の体温を感じて、胸が高鳴った。
彼は唇だけでなく、文香の顔のあちこちに口づけをした。耳朶や喉元にもキスをされて、文香は思わず吐息を洩らした。
抵抗する気はまったくない。ただ、彼にされるままになっていた。
たぶんわたし、彼が何をしても受け入れてしまうに違いないわ……。
たとえそうなったとしても後悔しない気がする。流されているのではなく、彼とそうなりたいという気持ちが大きくなってきた。
Tシャツの裾をめくられて、胸にそっと触れられる。
「あ……」
小さな声が出た。彼の手が直接端に触れている。その感覚にゾクリとした。
彼はTシャツをまくり上げると、胸のふくらみに唇をつける。そして、そのまま唇を這わせていく。
手で触れられるだけでもゾクゾクしていたが、唇が這わせられると、もっと敏感に反応してしまう。
さっきから甘く疼いている乳首が硬くなっているようだった。ふと、文香は直接そこに触れてもらいたくなってくる。
自分がそんな恥ずかしいことを考えているなんて信じられない。けれども、彼にもっと触れられたり、キスされたりしたくてたまらない。
そう。もっと……もっと。
文香は自分が身体の衝動に突き動かされているような気がして、少し怖かった。
それでも……やっぱり……。
文香は恐る恐る手を伸ばして、彼の腕にそっと触れた。そして、肩や背中にも触れてみた。そのまま掌を動かし、撫でていく。
触れてもらいたいという欲求もあるけれど、自分が彼に触れたいという欲求もあるのだと、文香は気づいた。
秀人はふと顔を上げた。
間近で見る彼は真剣な表情をしていて、文香はドキッとした。
「君の身体……見てみたい」
文香は反射的に頷いていた。彼の表情はぱっと明るく変わり、優しく微笑む。文香はその顔を見て、胸が高鳴った。
彼は第一印象とは違っている。合コンのときは、他のきらびやかな人達に比べると、自分と彼だけが浮いているように思えたのだ。けれども、今、目の前にいる彼はとても素敵な人だ。外見だけでなく、優しく誠実な人だと思う。
そんな人が文香の唇にそっと口づけをした。
「……ベッドに。いいかな?」
再び文香は頷いた。
ちゃんと文香の意思を確認してくれるのが嬉しい。他の人とこんなふうになったことはないが、誰でも意思確認してくれるわけではないと思うのだ。
文香が起き上がろうとしたら、彼はそれを押しとどめて抱き上げた。
部屋が狭いからベッドまでわずかな距離だが、初めてお姫様抱っこをされて、文香は興奮してしまった。
そっとベッドに下ろされて、Tシャツを脱がされた。そして、ホックが外れたかと思うと、ブラも腕から抜かれる。
上半身だけ裸だ。つい胸を隠したくなるが、きっとまた退けられてしまうだろう。だから、我慢して、顔を赤らめながらそのままでいると、彼はふたつの乳房にそっと掌を重ねた。掌の形と胸の形がぴったりとフィットしていて、なんだか妙に気恥ずかしい。
彼は優しい仕草で胸をゆっくりと撫でていく。柔らかい乳房が掌の中で形を変え、敏感になっている乳首がその刺激によって更に硬くなる。甘い疼きが感じられて、文香は思わず身体をよじってしまった。
その様子が彼にじっと見つめられていて、羞恥心にかられた。
「み、見ないで……」
彼は優しく微笑んだ。
「恥ずかしがらないでいい。君はとても綺麗だよ」
綺麗だなんて言われたのは初めてだった。
「そんな……嘘」
「嘘じゃない。上気した頬やキラキラした大きな瞳。この艶やかな黒髪も……この胸も」
「む、胸?」
思いがけなく身体の一部を褒められて、文香は驚いた。
「そう。形のいい胸だ。僕の掌にちょうど収まるサイズで、手触りもよくて、柔らかくて……ココも可愛らしい」
彼は文香の乳首を指先でクルクルと転がすように撫でた。
「あん……っ…」
思いがけなく小さな甘い声が自分の口から飛び出してみて、また驚く。
「感じるんだろう? 敏感なんだな。ますます気に入ったよ」
彼は指で弄っていた乳首に、唇をつけた。軽いキスをしただけではない。彼は乳首を唇で捉えると、舌で愛撫するように転がし始めた。
文香の全身がカッと熱くなる。
同時に何故だか鳥肌が立つような感覚も覚えた。
何……? これは……。
片方の乳首は舌で、そしてもう片方は指で弄られている。文香は今まで感じたことのないような快感に見舞われていた。
気持ちいいけれど、それだけではない。脚の間が燃えるように熱い。同時にそこが疼いていて、どうにかしてもらいたかった。
自分ではどうすればいいか判らないから。
ただ、文香は両腿を擦り合わせながら、もじもじと下半身をよじった。
彼はそれに気づいたのか、文香のスカートの乱れた裾を腰までまくり上げた。
「あ……やだ……っ」
文香の声に反応したように、彼は顔を上げた。彼の視線は文香のスカートの下に向けられている。ストッキングに包まれたショーツが見えていることだろう。
「あ、あの……」
「可愛い下着だ」
彼は呟くようにそう言うと、ストッキングの上からショーツに触れてきた。途端に、身体がビクンと震える。
怖いわけではなかった。もちろん嫌なわけでもない。それどころか、もっとちゃんと触れてほしいと思ってしまった。
やだ。わたし、何を考えているの?
触れてほしいのはショーツではなくて、その中身だ。もし甘く疼いている秘部に触れられたら、どんな感じがするだろう。
そんなことを考えてはダメだと思いつつも、文香はその考えに囚われていた。どうにも、身体がゾクゾクしていて、思考がコントロールできない。今まで自分にあるとは思えなかった本能の部分が芽生えてきたような気がする。
彼はストッキングの穿き口を掴むと、それを下ろしていった。ストッキングはくるくると丸まって、足首から抜かれた。その上、スカートも脱がされてしまう。
後に残ったのは小さなショーツだけだ。
ふと、文香は自分だけが裸同然の格好をしていることに気づいた。一方、秀人はシャツすら脱いでいない。
「わたしだけ……脱ぐの?」
思わずそう漏らすと、彼は目を丸くして、何故か嬉しそうに笑った。
「僕にも脱いでほしい?」
そういうつもりで言ったのではなかったが、文香は頷いた。自分だけが裸なのは恥ずかしいからだ。
「……いいよ」
彼はすぐに脱ぎ始めた。彼の衣類が一枚ずつ少なくなるにつれて、文香の鼓動が高鳴る。自分一人だけ裸なのは不公平だと思ったのだが、彼も裸になるということがどういうことなのか、深くは考えていなかったのだ。
初めてのデートで、ここまで進んでしまっていいの?
躊躇いはあるが、実際こうなってしまった以上、もう止められない。というより、文香も本心から止めたくなかった。
このまま彼と深い繋がりを持ちたい。
そんな気持ちが大きくなっていく。
秀人の身体は均整が取れていて、それこそ美しかった。無駄な脂肪なんてなく、適度な筋肉がついていて、身体が引き締まっている。文香は自分とはまるで違う肉体を見て、照れながらも、触れてみたくなってしまった。
彼は黒いボクサーショーツ一枚になった。股間には恥ずかしくて視線を向けられない。彼はそんな文香をそっと抱きしめてきた。
肌と肌が合わさり、温もりを感じる。布越しではない触れ合いに、文香は興奮と共に幸せを味わった。
人肌がこんなにも気持ちがいいなんて思わなかった。
もちろん誰の肌でもこんなふうに感じることはないだろう。彼のことが好きだから、抱き合うだけで、こんなにも気分が高まるのだ。
彼は軽く口づけをすると、そのまま身体をずらしていき、お腹にキスをしてきた。思わぬところにキスをされて、文香は戸惑った。彼はお腹にキスをしながら、文香の太腿を撫でる。
「あ……っ」
彼の手が文香の太腿の間にするりと入ってきた。
内腿を撫でられて、文香は震えた。彼が撫でているのが、秘部にあまりにも近い部分だからだ。これから起こることへの予感に、身体がカッと熱くなってくる。
予想どおり、彼はショーツに包まれた秘部にも触れてきた。指でそっと撫でられるだけで、文香は快感を覚える。
さっきから彼に触れてほしくて、疼いていた場所だ。布越しの刺激なのに、敏感に感じてしまう。ゆっくりと上下する指が文香の秘部をたちまち蕩けさせていく。
「ん……う…ぅん……っ」
鼻から抜けるような甘い声が聞こえてきて、文香は驚いた。自分がそんな声を出せるとは思わなかったからだ。
直接の刺激でもないのに、秘部が潤んでくるのが判った。
いっそ直接触れてもらいたい。つい、そんなことを考えてしまい、頬が赤くなる。けれども、先に進みたい気持ちもあるのだ。
不意に彼の指がショーツの脇から中に潜り込んできた。
「え……あっ……!」
直に触られて、文香の身体はビクンと震える。もちろんこんな感覚は初めてだった。指の感触がリアルに感じられて、どうすればいいか判らなくなってくる。
指が秘裂に沿ってゆっくりと動いていく。それだけで、その部分が潤んでくる。文香はギュっと目を閉じた。
羞恥心と快感の間をずっとさまよっていたけれど、快感を味わうほうにぐっと近づいていく。
彼の指は特別敏感な部分にも触れていた。そこを撫でられると、今までなんとか耐えていた声が、我慢できなくなってくる。
「やっ……ぁぁ……ん……っ」
彼はそのうちに指を秘裂の中へと挿入してきた。
少し痛みが走る。けれども、内壁を擦るように指を動かされると、すぐに今まで感じたことのない快感に変わっていった。
やだ。わたし……どうしよう。
快感に身体が蝕まれて、他のことが考えられない。ただ彼がくれる刺激のことで頭がいっぱいだった。
徐々に身体が熱く高まっていく。
彼はやがて指を引き抜き、ショーツを下ろしていった。恥ずかしいとはもう思わなかった。それどころではなかったのだ。
彼が文香の両脚を広げたときにも、羞恥心より、もっと快感を得ることしか考えられなかった。
もっと……もっとしてほしいの。
しどけなく開いた文香の脚の間に、彼は顔を埋めていった。
「や、やだ……っ!」
さすがにそれには驚いた。まさか彼が秘部を舐めてくるとは思わなかったのだ。
柔らかい舌に敏感な部分を舐め上げられて、ガクガクと身体が震える。強すぎる快感に今すぐやめてほしいと思った。が、すぐに身体のほうが更なる刺激を求めているのが判る。
もっと……もっと。
その先に何があるのか判らないが、もう後戻りはできなかった。身体が大きくうねり、感覚が研ぎ澄まされていく。
身体の中の何かが熱くなっていて……。
それがやがて全身へと広がっていった。
不意に、鋭い快感が全身を突き抜けていく。
「あぁぁぁっ……!」
文香は強く目を閉じた。