「今まで耐えていた俺の欲をぶつけさせてもらうよ」
とある事情で結婚を急ぐ莉乃は、〝氷の貴公子〟と呼ばれる氷見谷怜と、ひょんなことから一夜を共にする。実は彼にも結婚を必要とする理由があり、ふたりは契約することに! 仮初の関係のはずが夫婦として共に過ごすうち、怜の不器用な優しさと秘めた熱情に揺さぶられていく。莉乃自身も本心を隠したまま、想いだけが募る一方で!?
「きゃっ! 怜さん⁉」
彼は私をお姫さま抱っこしたままスタスタと歩き出し、メインベッドルームに連れ込んだ。キングサイズベッドに私を下ろし、あっという間に全裸になってしまう。
「莉乃、抱きたい。いいか?」
「いいも何も、怜さんは勝手に裸になってるし」
「そうだな、勝手だな」
怜さんはニヤリと口角を上げてこちらを見下ろすと、今脱いだジャケットのポケットから避妊具のパッケージをいくつか取り出した。
それを握りしめてベッドに上がってくると、バラバラと枕元に放り投げて私を見つめる。
「……三日ぶりだ。激しくするぞ」
劣情の浮かんだ瞳で射抜かれて、私は彼から目を逸らすことができない。
「……うん、激しくして」
──悲しい家族の思い出も辛い過去も、束の間忘れてしまえるように。一緒に未来に進めるように。
両手で顔を挟まれて、熱いキスが降ってきた。あっという間に全裸に剥かれ、体温が急上昇する。
怜さんが乳房を掴んで吸い上げながら、片方の手で秘部をまさぐる。すでにソコがしっとりと濡れているのを確認すると、いきなり二本指を挿れてきた。
「悪い、興奮しすぎて保ちそうにない。一回イかせてくれ」
言うが早いか全速力で指の抽送を開始した。
「ああっ!」
三日ぶりで興奮しているのは私だって同じだ。素早く指を出し入れされて、早くも奥が疼いてきた。
水音がグチュグチュと大きくなったタイミングで指が引き抜かれる。中途半端に放置されたナカが切なくて、私は太腿をモジモジと擦り合わせた。
怜さんが避妊具を一つ手に取り私の足元で膝立ちになる。中心にある彼の分身はすでに臨戦態勢だ。臍につくほど反り返り、先端から先走りを滲ませている。彼は素早くゴムを被せると、私の両脚を大きく開いて性急に挿入ってきた。
「ああーっ!」
最奥にズンッ! とぶつかった直後、怜さんが激しく腰を動かし始める。マックスまで膨らんだ漲りが容赦なく内壁を擦りだす。
さっきから燻っていた疼きが強くなり、早くも快感の波が迫ってきた。隘路が蠢いているのが自分でもわかる。
「……っは、久しぶりの莉乃のナカ、ヤバい」
余裕のない声にうっすらと目を開けると、怜さんが腰を振りながら必死な表情を浮かべていた。
──私のナカで気持ちよくなってくれてるんだ。
嬉しくて気持ちよくて、子宮がキュンと収縮した。腰から快感が駆け上がる。
「あっ、気持ちい……っ!」
「うあっ! そんなに締めたら……っ!」
「ああっ、イくっ、イっちゃう……っ!」
同時に腰を跳ねさせて、キツく抱きしめ合って動きを止める。久々に達した喜びと余韻に浸っていたら、怜さんに身体を起こされベッドサイドに下ろされた。目の前の壁にあるのは金の縁取りで飾られた大きな全身鏡。彼は私をその前に立たせ、黙って足元にしゃがみ込む。いきなり私の片脚を肩に担ぎ上げた。
「きゃっ! 何⁉」
バランスを崩した私が鏡に両手をつくも、怜さんはそれに構わず秘部に顔を埋める。両手で花弁を左右に開き、中心にねっとりと舌を這わせた。
生温かくて肉厚な舌が中心線を繰り返しなぞる。下から上へとゆっくり動き、最後にその上の小さな粒を舌先で弾いていく。そのたびに強い刺激で身悶えて、喉を晒して嬌声を上げた。
「やっ、ああっ! さっきイった、ばかり、だからぁ!」
「ああ、俺もイったあとだから、今度はじっくり可愛がってやれる」
「そんなところで……っ、喋らないでぇ」
敏感なソコは、彼の熱い息が吹きかかるだけでヒクついてしまう。片脚で立っているのが辛くて太腿がぶるぶる震えた。
「ふっ、莉乃の脚もココもビクンてなってるな。エロっ」
次の瞬間、内股にカプッと噛みついてきた。
「あっ!」
驚いて脚を下ろそうとするも、がっちり抱えて阻止された。そうしているあいだに今度は強く吸い付いて赤紫のキスマークをつけてくる。続けて蕾をガジガジと甘噛みされた。
「やあっ! 強い……っ、そんなとこ、駄目ぇ!」
「いっぱい俺の跡をつけるよ。莉乃は自分のエロい姿を見ていて」
言われて鏡を見つめると、恍惚とした表情の自分が映っている。片脚を上げて股を開いたあられもない姿で、鏡に両手をついて喘いでいる。
足元にいるのは愛する夫。私の股に顔を埋めて舐めたり噛んだりを繰り返している。下僕のようにひざまずき、私に快感を与えることに夢中になっている。征服感と背徳感で、「駄目」と言いつつ喜んでいる私がいた。
「莉乃の液がいっぱい溢れてくる。美味しいよ」
ジュルジュル音を立てながら蜜口に吸い付いて、太腿に垂れたと見ると、それさえ急いで舐め上げた。そしてそこに噛みついてくる。
「やっ! ああっ!」
あちこちに与えられる愛撫と、増えていく噛み跡と紫のアザ。体感と視覚、両方からの刺激で苦しいくせに興奮している。最後は蕾に吸い付かれ、とうとう快感が弾けた。
「あっ……ああーーっ!」
私は大きく腰を震わせると、ガクッと膝を折って座り込む。たまらず目の前の怜さんに抱きついた。
「莉乃、気持ちよかった?」
耳元で甘ったるく囁かれ、私はコクンと頷く。
「ん……すごかった」
「そうか、もっと快くなろうな」
──えっ!
怜さんが目の前で再び避妊具を装着すると、カーペットの上で横たわる。
「俺に跨がって、自分で挿れて」
「そんな、どうやって……」
何をどうすればいいのかわからない。私が動揺していると、怜さんが「おいで」と手を引いた。狼狽える私を自分の身体の上に導くと、腰のあたりで膝立ちになるよう命じる。
「俺のを握って、早く莉乃のナカに挿入らせて」
私の下では立派な屹立がこちらに向かってそそり立っている。
──コレを……私が、自分で⁉
ゴクリと唾を呑み込んで、片手でソレを握り込む。怖さと期待が同時に胸を占めた。
「そのまま腰を落として」
「……はい」
怜さんの声に押されるように、私はゆっくりと腰を落とす。
「……んっ」
ヌチュと音を立てて先端が挿入ったところで私は一旦動きを止めた。ここから先は少し勇気が必要だ。大きく息を吐いて呼吸を整えていたら、いきなり腰を掴まれる。
──えっ?
「ごめん、待てない」
次の瞬間、下から勢いよく突き上げられて、熱い剛直が私を貫いた。
「ああーーっ!」
強い衝撃に耐えきれず、私はガクリと膝を折って怜さんの上に座り込む。硬い先端が子宮口を激しく穿ち、私は背中を反らせて嬌声を上げる。お腹の奥がジンと痺れておかしくなりそうだ。
怜さんが二度三度と腰を勢いよくぶつけたあとで急に動きを止めた。
「莉乃、自分で動いて快いところに当ててごらん」
「そんな……」
怜さんの上に跨がるだけでもかなり勇気が必要だったというのに、そのうえ自分で気持ちいいところを探るなんて。
けれど快感を求める私のナカが、早く動けと疼きだす。躊躇する気持ちはあっという間に性欲に押し流されてしまう。私は怜さんのお腹に両手をついて、そろりと腰を動かした。
「ん……っ、あっ」
ゆっくり腰をまわしてみると、熱い肉棒が内壁を擦る。快感を追いかけて徐々に腰の動きが速くなる。
「あっ、あんっ……ふ……っ」
「莉乃、上手だ。俺も気持ちいいよ」
「怜さん、も……気持ち、いいの?」
「ああ。今度は上下に出し入れして。鏡を見ながら」
またもや鏡を見ながらの羞恥プレイだ。恥ずかしくて仕方がないのに拒否することができない。さらなる刺激を求めて身体が勝手に動きだす。私は鏡を見つめながら腰を上下に動かした。
怜さんの赤黒い漲りが私の中心に出たり入ったりを繰り返す。そのたびに蜜口がヒクついて愛液がとろりと溢れるのが見えた。グロテスクなのに官能的だ。
興奮した私は腰の動きを速くする。快感を追うのに夢中になって、最後はひたすら秘部を怜さんのお腹に擦り付けていた。
ナカもクリも両方擦れて気持ちいい。熱くて痺れて頭が沸騰してしまいそうだ。
「んっ、あっ、いいっ……あんっ」
「……っは、すごい締め付け……最高だ」
無我夢中で腰を振っていると、怜さんが私の胸に手を伸ばしてきた。両手で乳首をつねられて、電気が流れたような痛みに悲鳴を上げる。
「莉乃、もう気持ちよすぎて限界だ。一緒にイこう」
同時に下から突き上げられて、あとはイくことしか考えられなくなった。二人で同じリズムを刻み、快感の頂を目指す。背中を快感が駆け上がり、目の前で白い光が弾けた。過去最高のエクスタシーに天井を見上げて身震いする。
「あっ、ああっ! イく……っ!」
「俺も……出るっ!」
蜜口がキュッと窄まって私が絶頂を迎える。ナカで怜さんの屹立が跳ねた。私は繋がったまま怜さんの胸に倒れ込み、呼吸が整うのをじっと待つ。
汗ばんだ肌がぴたりとくっついて、怜さんの速い鼓動が伝わってきた。私たちが一つになっているのだと実感できて多幸感に包まれる。
「莉乃、とても上手だったよ。頑張ってくれてありがとう」
怜さんが私の髪を優しく撫でてくれる。
「私も……気持ち、よかった。すごく」
「ふっ、莉乃は羞恥プレイが好きなんだな。覚えておくよ」
「すっ……! べつに、アレが特別に好きってわけじゃ!」
焦りながら怜さんの胸から顔を上げると、すぐそこに色っぽい美丈夫の顔がある。上気してほんのりと赤みを帯びた肌と、汗で額に張り付いた前髪。その横に見えている耳もうっすらピンク色に染まっていて。
「……怜さん、噛みたい」
それだけで彼はわかってくれたらしい。クスッと笑ってから「いいよ」と即答してくれた。ゆっくりと上体を起こして私を抱きしめる。
「好きなだけ噛めよ」
対面座位の姿勢で耳を目の前に差し出され、私は遠慮なくパクッと食い付いた。甘噛みすると、怜さんが「うっ」と色っぽい声を漏らす。キュンと蜜口がヒクついた途端、ナカの怜さん自身が勢いを取り戻した。
「あっ、大きくなった!」
「莉乃がそうしたんだろ」
「うん……私ってやっぱり変態なのかも」
「そんなのとっくに知ってるし、そこも含めて愛してる。たぶん、最初に噛まれたあのときから……俺は莉乃にノックアウトされてたんだろうな」
──そんなの私だって。
怜さんが私にチュッと口づける。
「莉乃、改めて、俺と夫婦になってくれてありがとう。これからも、一生一緒にいてほしい」
「……はっ、はい! 喜んで!」
「ハハッ、いつもながら居酒屋みたいにいい返事だ。それじゃあ、いい返事ついでにもう一つ……今からもう一度、抱いていいか?」
「はい……もちろん、喜んで……」
「いい返事だ、莉乃。……愛してる、心から」
まつ毛を伏せた綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。
蕩けるような甘い囁きを聞きながら、私はそっと目を閉じた。