「俺だけを感じて」
職も家も失った元美容師の志乃は、気乗りしないまま参加した高校の同窓会で初恋の人・諏訪と再会する。そこで志乃の事情を知った彼と同居することに! 過去の出来事から男性が苦手だったはずだけど、諏訪だけは平気で!?
好意を隠さずに優しく溺愛してくる彼に恋心を自覚した志乃は、夢を叶えて輝く諏訪と釣り合う自分になるため、ある決断をするが……。
※本作品は2021年8月にWEB上で発表された「秘め恋ブルーム~極甘CEOの蜜愛包囲網~」に大幅に加筆・修正を加え改題したものです。
聖夜が終わる頃、私たちは翔の寝室のベッドで身体を重ね合わせていた。
一糸纏わぬ姿でお互いの体温を掻き抱くようなきつい抱擁を交わし、水音を響かせながら甘ったるいキスを繰り返す。
骨張った手が私を愛で、節くれだった指が密やかな戯れを施していく。
柔らかさを楽しむように胸を揉まれ、白い肌の上に赤い痕が残される。
思春期の頃からずっと性的な目を向けられてきたそこがコンプレックスだったのに、彼に触れられると気持ちよくて、身も心も悦んでいるのがわかる。
それはきっと、翔が大事に触れてくれるから。
快感を送り込みながらも無理強いはせず、たくさんのキスとともに愛でてくれる。
ときに激しくされても痛みはなく、彼の欲望を受け入れることに嫌悪感もない。
そんな風に愛撫されながら先端を摘ままれると、素直に甘い声を漏らしてしまう。
「志乃はここが弱いよな」
「んっ……」
翔はそう言って、喜々として突起を指や舌で責めてくる。
指先でコロコロと転がすように捏ね、軽く引っ張ったり摘まみ上げたり。かと思えば、舌でクルリとねぶって、そっと歯を立てた。
「あぁっ……んっ」
喜悦は次第に強くなっていき、まだ触れられてもいない下肢がじんじんと疼いてしまう。
私は腰を震わせながら、無意識のうちに太ももをすり合わせていた。
「こっちも触ろうか?」
骨ばった手が内ももをたどり、脚の付け根のあたりを行き来する。
指先で鼠径部を撫でられるだけで淡い快楽が芽吹き、秘部がきゅうっと震えた。
「どうする?」
眇めた目を向けてくる彼は、私の答えを待っている。
言葉にするまで肝心な場所には触る気がないようで、節くれだった指は内ももから付け根を数回往復し、くすぐるように柔毛に触れた。
恥ずかしくてたまらないのに、その先を求めてしまう。
頬が熱くて沸騰しそうだったけれど、翔の前でなら素直になれる。
「っ……触って、ほしい……」
消え入りそうな声で訴えると、彼が満足そうに唇の端だけを持ち上げた。
「最初は恥ずかしがってたけど、ちゃんと求めてくれるようになったな」
嬉しいよ、という声とともに柔毛がかき分けられ、敏感な部分に指が触れる。
「あんっ……! あっ、ぁっ……んんっ……」
小さな突起を転がし始めた指は、容赦なく愉悦を与えにきた。
クルクルと回され、下から持ち上げられて、幼気な花芽が優しく嬲られていく。
そこはすぐに敏感に反応し、あっという間に芯を持ったような感覚になった。
はしたないと思うのに、つい腰を揺らめかせてしまう。
「志乃、可愛い……。もっと乱れて」
耳元で囁かれてゾクゾクと背筋が粟立ち、法悦がいっそう大きくなった。
「やぁっ……! ダメッ……やぁぁ……」
「イッていいよ。ほら……」
劣情混じりの甘い声音が落とされたのと同時に、花芯をグッと押しつぶされる。
「ああぁぁぁっ……」
容赦のない激しい快感が押し寄せ、あっという間に飲み込まれてしまった。
全身がビクンッと数回跳ね、程なくして力が抜けていく。
無意識のうちに閉じていた瞼を開ければ、私を見つめている翔が蜜で汚れた指を舐めた。
「やだっ……! 汚いから!」
「汚くなんかない。志乃は全部綺麗だ」
咄嗟に上半身を起こした刹那、身体を優しく押されて視界が元に戻る。
その直後、天井を背にした彼が私の両脚を持ち上げ、下肢に顔を埋めるのが見えた。
「んぁっ……」
蜜口に触れた舌で、一気にあわいを舐め上げられる。
翔は一瞬で花芯にたどりつき、そのままそこだけを重点的に責め始めた。
下から持ち上げるように嬲られるたび、くちゅんっ……といやらしい水音が響く。
まるで鼓膜まで侵されるようで、羞恥心もあるのに腰が揺らめきそうになる。
「志乃、気持ちいい?」
「あんっ……! いい、けど……っ、恥ずかしっ……」
顔を上げて答えればクスッと笑われて、思わず彼から視線を逸らした。
そこが弱いことは、私自身ももう知っている。
翔に触れられるたびにグズグズに溶かされ続け、すぐにでも達してしまいそうになる。
そうなるのだと教え込まれた今は、以前よりも彼に与えられる快感を素直に受け入れられるようになっていた。
「志乃のここ、めちゃくちゃ気持ちよさそうだ。俺を誘ってるように見える」
けれど、じっと見つめられるのは別だ。
いくら翔とはいえ、そこに視線を注がれるのはたまらなく恥ずかしい。
耐え切れずに腰を引こうとしたけれど、一瞬早く節くれだった指が蜜口に押し込まれた。
「あぁっ……」
喉を仰け反らせる私を余所に、彼は隘路を解すように指を動かしながら再び蜜芽を舐めた。
長い指は襞を伸ばすようにこすり、下腹部の裏側を丹念に撫でて。熱い舌は尖った花粒を押し上げてはねぶり、ゆっくりと吸い上げる。
ときおり優しく歯を立てられると、もうたまらなかった。
怒涛の勢いで注ぎ込まれる悦楽がどんどん募り、淫靡な水音は大きくなるばかり。
もうダメ……と思考の片隅に過ったときには、背中が弓なりになっていた。
「やあぁぁぁっ……!」
爪先から脳の奥まで激しい電流が走り抜け、じんじんと痺れる。
痛いくらいの快楽はそれでいて甘く、私は気づけばすべてを享受して達していた。
「志乃……」
うっとりとしたような、上ずった声が聞こえる。
涙で滲む視界には、手の甲で口元を拭いながらこちらを見つめる翔がいた。
「志乃のナカに挿りたい」
甘えるように抱きつかれて、鼓動が高鳴る。
まだ呼吸も整わなくて苦しいけれど、彼を受け止めたかった。
「うん、来て……」
「っ……! 可愛すぎてやばいな」
息を呑んだ翔は、欲で満ちた雄杭に性急に薄膜を被せていく。
未だにその光景を見るのには慣れなくて目を伏せれば、彼にクスッと笑われてしまった。
「おいで」
起こされた私の身体が、胡坐をかくように座った翔の上に乗せられる。
「待って! これ……」
「うん。今日は抱きしめたままシたいんだ」
深くまで挿入される体位は、ほんの少しだけ苦手だった。
自分が自分じゃなくなるほどに乱れてしまうことが怖いから。
けれど、彼の真っ直ぐな瞳には抗えない。
私がたじろいでいる間に、あわいに硬く逞しいものが押し当てられた。
ちゅくっ……と、粘着質な水音が響く。
腰を持って軽く揺すられると秘部全体がこすられ、それだけで気持ちよくなってしまった。
「挿れるよ」
「んっ……!」
ググッ……と挿ってきた剛直が、収縮する姫襞を押し広げるようにして進んでいく。
思わず息を詰めそうになると、翔が唇を重ねてきた。
下肢を襲う圧迫感に耐えながら口を開けると、すぐに入ってきた舌が口内をまさぐった。
苦しいのに、息が上手くできないのに……体内が彼に埋め尽くされていく感覚は、私に甘やかな快楽と幸せを与えてくれる。
最後にグッと腰を突き上げられると、楔が奥の方に届いた。
「ああっ、っ……」
「クッ……! 志乃のナカ、めちゃくちゃ熱い……」
持たないかも、という呟きが鼓膜をくすぐる。
耳朶に触れる翔の吐息にすら、私は腰を小さく震わせてしまった。
「これだけでも気持ちよくてやばいな」
深く息をついた彼が、私を見つめてくる。
その目は優しいのに、劣情と熱で満ちていた。
私を欲している瞳に応えたくなる。
こんな風に思わせてくれるのは、相手が翔だから。
彼じゃなければ、触れ合いたいとか肌を重ねたいとは思えない。
「好き……」
そう思った瞬間、気持ちが溢れて翔にしがみついていた。
「っ……あー、もう……。今日の志乃、いつもの十倍くらい可愛くて困る」
言葉とは裏腹に、彼の声音は嬉しそうだった。
少し離れた私に向けられたのは、愛おしいものを見るような眩しそうな眼差し。
「俺も好きだよ。好きなんて言葉じゃ足りないくらいだ」
そして、私以上の想いを伝えてくれた翔は、私の頭に手を回してくちづけてきた。
一拍置いて彼が腰を動かし、トン……と奥を突かれる。
「ぅ、ぁっ」
そのまま緩い律動が始まり、私は引き攣った声を上げた。
甘えたような嬌声は、キスでかき消されてしまう。
隘路を撫でるように動かれると、身体が再び痺れていくのに……。声が思うように出せないというだけで甘さと苦しさが大きくなって、喜悦も増幅していく。
粘膜がこすれる音が次第に激しくなり、やがて緩やかだった動きにも性急さが見え始めた。
相変わらず塞がれた唇の隙間からは、苦しげな声が零れる。
ところが、身体は苦しいばかりじゃなくて、ちゃんと気持ちがいい。
丹念にこすられる蜜洞からは雫がどんどん溢れ出し、翔が私の腰を掴んで激しく腰をぶつけてくるとさらに愉悦が大きくなった。
ズンズンと突かれるたびに、私の奥に届いて。そこがひどく震え、悦んでいるのがわかる。
声は完全に甘くなって、頭の芯までビリビリと痺れていった。
「しょうっ……ダメッ……」
高められていく身体が、あと一歩で限界を迎える予感がする。
けれど、ひとりで果てたくなくて、必死に首を横に振った。
「いいよ、イッて」
それなのに、彼は甘やかすように囁いて、私だけを快楽の海に沈めようとする。
逃げるように背中を反らせた直後、節くれだった指がぶつかり合う結合部の上で震えていた突起を押しつぶした。
「ひっ……? ああぁぁぁぁっ……」
喉が仰け反り、反射的に閉じた瞼の裏が激しく明滅する。
私は過ぎた法悦を受け止め切れなくて、翔の欲望を咥え込んだまま何度も腰を跳ねさせた。
「ふっ……ふぁっ、ぅ……」
その間にも彼は私を離さないとでも言うように、きつくきつく抱きしめてくる。
翔も身体を震わせていたけれど、歯を食いしばってギリギリのところで耐えたようだった。
「ぅっ……! すごい締めつけてくる……」
恍惚の表情で息を吐いた彼が、私の唇を塞ぎにくる。
その柔らかさを堪能するように数回食まれたかと思うと、口内に差し込まれた舌に私の舌が捕らえられ、ねっとりと搦められていった。
じっくりと味わうようなキスに、腰がわずかに震えてしまう。
刹那、私の体内にとどまったままの熱芯がビクッと跳ねた。
「俺もイきたいな」
甘くねだられ、身体がゆっくりと倒されていく。
ベッドに背中が触れると、翔が待ち切れないと言いたげに腰をゆるりと突き上げた。
まずは優しく、けれど内壁をこする怒張は私の弱いところを的確に抉ってくる。
入口近くの浅いところは少し強く撫でて、下腹部の裏側あたりに来ると骨ばった手でお腹を押さえながらグイグイとこすり上げる。
外側と内側の両方から責められると、達したばかりの身体はビクビクと震えた。
「あっ、あっ……あんっ、ふぁっ」
彼の下にいる私の身体が、確実に追い詰められていく。