ルネッタブックス

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はじめましてでプロポーズ!? 交際0日なのにスパダリ御曹司の甘やかしが止まりません!

はじめましてでプロポーズ!? 交際0日なのにスパダリ御曹司の甘やかしが止まりません!

  • 著者:月城うさぎ
  • イラスト:西いちこ
  • ISBN:978-4-596-71503-6

  • ページ:288

  • 発売日:2024年10月11日

  • 定価:本体1200円+税

キーワード
  • 0日婚
  • イケメン
  • エリート
  • ギャップ
  • ゴージャス
  • シンデレラ
  • ストーカー
  • スパダリ
  • ドラマチック
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  • プロポーズ
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  • 初夜
  • 初心
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  • 囲い込み
  • 執着
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  • 強引
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  • あらすじ

    財閥のスパダリ御曹司×挙式一か月前に婚約破棄されたOL
    相手の浮気で婚約が白紙になったひばりは、憧れだったチャペルで出会った御曹司の晴臣に、突然プロポーズされる。急すぎる展開に戸惑うが、「君も俺を好きになればいい」と傷心の自分をとにかく甘やかし尽くす晴臣に、次第にほだされていく。しかしある日、会って間もないはずの晴臣の書斎で、幼い頃のひばり自身の写真を見つけてしまって……!?

  • 試し読み

    「玖条さ……」
    「晴臣だ、ひばり」
    「晴、臣……んっ!」
     名前を言い終わるか終わらないかで唇が塞がれた。
     しっとりした感触が生々しく伝わってくる。柔らかいだけじゃない。玖条さんの匂いまで濃厚に感じ取れてしまう。
    「ん、ぁ……」
     薄く開いた隙間に彼の舌が差し込まれた。
     はじめから手加減なんてする気がなかったと思わされる濃厚なキスだ。引っ込み思案な舌なんてすぐに捕まえられて、表に引きずり出されそうになる。
    「ンン……ッ」
     飲み込みきれない唾液が唇の端から顎を伝った。身体がぞくぞくして、お腹の奥が熱い。
     頭の奥がぼうっとしてくる。酸欠状態というやつだろうか。
     ようやく玖条さんの唇が離れた。唾液で濡れた唇を舌先で舐められて、背筋に甘い痺れが走る。
    「な……んで」
     急にどうしてこんなことをするのだろう。
     私を好きだと言った言葉に嘘はないという証明なのか。これが荒療治というやつなのか。
    「ずっと優しく紳士的にと思っていたが、それだと距離は縮まらない。紳士ごっこはもうおしまい」
     彼はまったく息を乱した様子はない。
     上体を起こし、長袖のカットソーを豪快に脱いだ。
     いつもはまったく匂わせない雄の気配に、私はビビり散らかしそうになっていた。
    「殿がご乱心……!」
    「時代劇ごっこ?」
     意外に悪代官とかも似合いそうだな、なんて現実逃避もしたくなる。
     こんなエッチな身体を見せつけられたら、さすがに私もどうにかなってしまいそう。
    「あの、でも、私全然おいしくないと思うので!」
     彼はきっとこれまで極上の女性たちを食べ尽くしていただろう。そんな元カノたちと比べられるのは嫌だ。
     いや、待てよ? そもそも不能とか仰っていませんでしたっけ。
    「自己評価が低いのは君を振った男のせいだとしたら、俺が上書きしないといけないな」
     Vネックのニットの裾から手を差し込まれた。
     玖条さんの大きな手でお腹を撫でられるだけで肌が粟立ちそうになる。
    「ひい……まったく鍛えていないお腹の脂肪が憎らしい……!」
     ブライダルエステに通うのもやめてしまったし、最近では寝る前のストレッチくらいしかしていない。
     玖条さんのようにバキバキに割れた腹筋を見せられたら、私のお腹なんてだらしなくて幻滅するかも。
    「恥ずかしがるところはそこなのか? 君は本当に可愛いな」
    「わあっ」
     あっさりと薄手のニットを脱がされてしまった。キャミソール姿をさらすのも勇気がいる。
    「これも邪魔だな」とキャミソールの裾を引っ張られて、思わず待ったをかけた。
    「待って待って、今日の下着はまったく気合いの入っていないものなので! 見られるなんて思ってもいなかったから」
     そう、見られることをまったく想定していない。着心地重視、機能性重視のシンプルなブラを着用している。
     かろうじて上下の色は同じ黒だった気がする。でも装飾もなにもない黒い下着って、色気がないにも程がある。
    「さっきから思っていたんだが、ひばりも俺のことを好きだろう」
    「えっ」
    「まったく拒絶も抵抗もなかった。君は嫌いな男のキスを受け入れられるほど、割り切った性格ではないはずだ」
     そして今の言動も、気合いが入った下着なら見てもいいとも捉えられる。
    「……っ!」
     恥ずかしすぎて涙目になりそう。
     顔の熱が上がったまま下がりそうにない。
    「あの、私……」
    「うん」
     頷きながら服を脱がす手つきが流れるようなのですが?
    「晴……臣、のこと、嫌いじゃないです……」
    「それだけ?」
     キャミソールを脱がされて、ブラのホックがパチンと外れた。
    「キスをされても、嫌じゃなくて……むしろ気持ちいいと思ってしまって」
    「それは光栄だ」
     ふっと笑った顔が神々しい。そして怪しいほどの色香にそろそろむせそう。
    「嫌いな人とのキスなんて絶対にできないし、考えるだけで無理って思うけど。でも、キスが大丈夫だったら好きということになるのかはわからな……」
    「嫌悪感がない時点で好きなんじゃないのか?」
     ブラの肩紐をずらされた。
     カップもずれたが、かろうじて肝心な突起は見えていない。
    「強情なところも可愛いが、認めてしまった方が楽だぞ」
    「なんだか悪質な取り締まりを受けている気分……!」
     さあ、吐いて楽になってしまえと言われているようだ。
    「でも、あの……アァッ」
     胸を下からすくい上げられた。優しく触れられた感触が私の官能を高めていく。
    「ひばりが頑なに認めたくないならそれでもいい。身体の相性を確かめたら気持ちもすぐに追い付く」
    「身体の相性って……」
     だって不能なんですよね!?
     安心していいと言っていたはずだが、そういえばその後に挿入するだけがセックスではないとも言っていた。
     なにも安心なんてできなかったのを思い出し、頭の中がプチパニックを起こす。
    「触れられるのが怖い?」
     玖条さんの指が胸の頂をかすめた。
     そんな微かな感触だけで腰が跳ねそうになった。
    「ん……っ」
    「どうしても嫌なら抵抗しないと。俺を押しのけて部屋に戻ればいい」
     確かに身体を拘束されているわけではない。
     逃げようと思えばいつでも逃げていいと言われている。
     それができないのは何故だろう。少なからずこのまま抱かれたいと思っているからか。
    「でも、確か……ふ、不能なんですよね……!?」
     玖条さんは一瞬動きを止めてから、私の片手を取った。
    「間違いではないけど正解でもない。正しくは、好きな女性にしか反応しない」
    「ちょ、え? なにを……!」
     手にゴリッとしたものが当たった。
     ズボン越しとはいえ、股間に触れさせるとか紳士としてあるまじき行為だ。
    「ひゃああ!」
    「予想通り可愛い反応をありがとう」
     手を振りほどいたらあっさり放してくれた。
     思わず横向きになって身体を丸める。
    「いきなりなにするの……!」
    「口で説明するより早いと思って。確か性欲処理の心配もしてくれていたな? 他の女性を勧められたときは、あのままベッドに攫おうかと思った」
     そんな危機的な状況だったの!?
     なにが玖条さんの癇に障るのかわからない。
    「じゃあ、勃たないって嘘……?」
     布越しでもわかるほど硬かった。あれではズボンを脱ぐのも大変なのではないだろうか。
    「ひばりにしか勃たない、が正解」
     自分から聞いておきながら知りたくなかった。それに私だけというのが本当のことなのかも確かめる術がない。
    「私だけって、なんで……」
    「君が好きだから」
    「……ッ!」
     そんな直球な告白はズルい。
     たとえ玖条さんに恋愛感情がなかったとしても、今の一言で芽生えてしまう。
     彼はクシャリと前髪を乱した。額にかかる黒髪すら色っぽく見える。
    「はぁ、きっとそれも計算ではないんだろうな」
    「……え?」
     中途半端に引っかかったままのブラの紐をクイッと引っ張られた。慌ててずらすまいと両腕を寄せる。
     背中を指先でなぞられて、思わず小さな悲鳴を上げた。
    「ひゃあっ」
    「今なら獲物に喰らいつきたい獣の気持ちがよくわかる」
     物騒な発言が怖い。
     数時間前まで紳士的だった男と同一人物とは思えない。
    「白い背中を丸めて実に無防備だ。それに横向きになったら重力に逆らえない豊かな胸が強調される」
    「……ッ!」
     玖条さんは身体を倒して、私に覆いかぶさった。
     逃げるチャンスはいくらでもあったのに、自分が逃げたいのかもわからない。
    「ひばり。俺に愛される覚悟はできた?」
    「ひょわ……っ」
     顎をクイッと固定されて至近距離から見つめられたら、もはや思考なんて役に立たない。
     愛される覚悟ってなんだっけ……?
     そういえばいつの間にか、私はセックスを恋人の義務として考えていたかもしれない。
    「セックスって、性欲処理ではないの……?」
     玖条さんの動きが止まった。
     眉間にくっきりと皺を刻んでいる。
    「……あの男がもし一方的に君を欲望のはけ口にしていたのだとしたら、俺は八つ裂きにするかもしれない」
    「えっ!?」
     目が本気だ。あの男が誰を指すかなんて明確で、私にとってはひとりしかいない。
    「ひばり、これまでのセックスで気持ちよくなったことは?」
     明け透けな質問だ。でも不思議と嫌な気にはならない。
    「実はあまり……」
    「では絶頂を味わったことは?」
     首を左右に振る。
    「多分ないと思う。というか、私は淡白なんだろうなって」
     自分からしたいと思ったこともない。求められたら義務で応えなくてはと思っていた。
     付き合った当初は若かったこともあって、それなりに応じていたけれど。でも身体の相性というものは正直よくわからなかった。
    「その、社会人になってからはお互い疲れていることもあって頻度も減ったのと、男性は手早く気持ちよくなりたいというのを知っていたので、サクッと済ませて……」
    「サクッとって、そんなインスタント食品のように言うものではないが」
     インスタントセックスってあるのだろうか。
     よくよく考えると、圭太はいわゆる早漏ってやつだったのかもしれない。
    「君とあの男との関係はよくわかった。やっぱり見守るだけなんて生温かったな」
    「生温い……?」
     コロン、と仰向けに転がされる。その隙に腕に引っかかったままのブラもはぎ取られてしまった。
    「……ッ!」
     身体を覆うものがほしい。でも彼の視線が私の動きを止める。
    「人の考えにケチをつけるつもりはないが、俺は自分の欲望を満たすだけの一方的な行為をセックスとは認めない」
    「え……」
     一方的な行為という表現が胸に突き刺さった。
     確かに私が気持ちよくなったことはないし、めんどくさいと思うことの方が多かった。セックスで得られるものは肌のぬくもりと、事後の虚しさだけ。
    「じゃあ、晴臣にとってのセックスって?」
    「愛し合う行為。コミュニケーションのひとつで、心と身体を満たすもの」
     互いの気持ちを確かめ合い、愛情を分け与えるもの。
     ひとつになって満たされて、さらに愛しさが募る行為。
    「ただ一方的に性欲を満たすのは暴力と同じだ」
    「……」

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