ランジェリーのデザイン担当に抜擢されたけど、恥ずかしくてセクシーなデザインができない絵麻。連れていかれたお店で出逢ったバーテンダーのリュウに〝大人の魅力〟を追求するため『疑似恋愛』を頼むことに!「ここから先は本当に好きな男としなさい」本当に好きになってしまった彼が、実は初恋相手だったなんて――さらに彼にはまだ秘密があって!?
琉斗のマンションには十五分ほどで着いた。最近、高級高層マンションがいくつか建設された堂島川沿いにある、モノトーンの外壁がスタイリッシュな二十階建てのマンションだ。琉斗は自走式駐車場に車を駐めたあと、最上階の角部屋、二〇一五号室に絵麻を案内した。
「お邪魔します」
絵麻は琉斗に手を引かれ、センサーライトが点灯した廊下に足を踏み入れた。
廊下の先は二十畳くらいのリビング・ダイニングになっていて、モノトーンで統一されたインテリアが落ち着いた雰囲気だ。
廊下のセンサーライトが消え、琉斗がリビングのカーテンを開けると、大きな窓ガラスの向こうにきらびやかな夜景が浮かび上がった。大阪市の中心部に林立する超高層オフィスビルやホテルの明かりが、まばゆく輝いている。
「うわあ、すごい……きれい」
絵麻が夜景に見入っていたら、琉斗が絵麻を後ろからふわりと抱きしめた。
「絵麻の方がずっときれいだ」
琉斗は絵麻の髪をかき上げて、耳たぶにキスを落とした。そのまま耳を甘噛みされて、絵麻はかすれた声を上げる。
「待って……カーテン……」
琉斗が首筋にチュ、チュと音を立てながらキスを落とした。淡い刺激に背筋が震えそうになるが、絵麻はどうにか言葉を発する。
「カーテン……閉めないの?」
「そんなことを考える余裕があるんだな。俺は今すぐ絵麻が欲しくてたまらないのに」
琉斗は小さく笑い、絵麻の肩に手を置いて彼の方に反転させた。そうして唇にキスをしながら、ブラウスのボタンを外す。前をはだけられると、繊細なレースを使ったボルドーのブラジャーが露わになった。
「こういう色のも着けるんだ」
琉斗が目を細めて見るので、絵麻は恥ずかしさ半分、照れ半分で視線を彷徨わせる。
「へ、変かな?」
「意外だったから驚いたけど、ぜんぜん変じゃない。絵麻の白い肌に映えてすごくきれいだ」
琉斗の手がスカートのホックを外し、スカートは床にふわりと落ちた。ブラウスも脱がされ、ボルドーのブラジャーと揃いのショーツだけという格好になり、絵麻は心許なくてか細い声を出す。
「あの、これ……試作品なの」
「絵麻がデザインしたって言ってた?」
「うん」
「俺に見せに来てくれたんだ?」
琉斗に問われて、絵麻は頬を赤くする。
「え……や、見せるつもりはなくて……自信を持ちたかったから……着けてきたの。それに、真梨香さんに、着け心地をレポートするように言われてるし……」
「ふぅん」
琉斗が不満そうな声を出した。
「あ、でも……琉斗くんに一番魅力的に見える私を見てほしいって思ったのは、本当」
絵麻は消え入りそうな声で言った。琉斗は上体を少し反らすようにして絵麻の胸元に視線を向けた。彼に見つめられて、絵麻は反射的に胸を両手で覆う。
「そんなに見られたら……恥ずかしい」
「一番魅力的な絵麻をちゃんと見せて」
琉斗が絵麻の両手首にそっと触れた。けれど、強引に手を剥がすことはせず、絵麻をまっすぐに見る。彼の瞳に欲情が宿っているのがわかり、絵麻の心臓が鼓動を速めた。
(琉斗くんを誘うことができてるのかな……?)
絵麻はますます顔を赤くしながら、そろそろと両手を下ろした。
「ま、真梨香さんがね、縫製工場に連れていってくれて。保管してある特別な生地やレースを見せてくれたの。それまでは行き詰まってたんだけど、おかげでインスピレーションが湧いて……」
素肌に彼の強い視線を感じる。絵麻は恥ずかしさのあまり口を動かし、訊かれてもいないことをペラペラとしゃべった。
「絵麻のがんばりと思い入れが伝わってくるよ。とてもステキだ」
「ほんとに?」
「ああ。脱がせるのが惜しいくらいだ」
琉斗は言いながらカップから覗く膨らみに吸いついた。
「あっ」
淡い痛みが走って、視線を落とすと、彼の唇が離れた肌に紅い痕が小さな花のように咲いている。
「絵麻は俺のものだって印をつけた」
琉斗が片方の口角を引き上げて笑った。その不敵に見える笑みに、絵麻の心臓がドキンと跳ねる。
(同い年の男の人なのに……色っぽいって思っちゃう……)
絵麻は琉斗をうっとりと見上げた。琉斗は絵麻の髪を梳くようにして後頭部に左手を回し、唇を重ねた。彼の手が後頭部からうなじへと滑り降り、柔らかなタッチで首筋を撫でられて、絵麻は背筋を小さく震わせる。
「ふ……」
唇から彼の唇が離れたかと思うと、すぐに首筋に押し当てられた。舌先でそっと舐められて、腰の辺りがビクンと跳ねる。
「ん……」
琉斗の右手がブラジャーの上から胸の膨らみを包み込み、ゆっくりと円を描くように揉みしだき始めた。
「この生地はシルクかな? 手触りがすごくいい」
琉斗の指先がカップを撫で、すでに存在を主張し始めていた尖りにレースの上から触れた。布越しに指先で刺激されて、絵麻の口から甘い吐息が零れる。
「あ……んう……」
布の上から先端を指でつままれ胸を揉みしだかれて、体の奥が疼き始めた。琉斗の左手が腰に回され、絵麻は再び反転させられて、後ろから彼にすっぽりと包み込まれる。胸を嬲っていた彼の手がお腹をくすぐるように下りて、ショーツの上から敏感な箇所に触れた。
「ん……は……ぁ」
クロッチの部分を前後になぞられ、焦れったいような切なさを覚えた。体の奥で生まれた熱いものがじんわりと染み出し、カーテンが開いていることなど気にする余裕がなくなる。
「本当に繊細な生地なんだな。直接触らなくても、絵麻が感じてるのがわかる」
「やだ……恥ずかし……」
絵麻は嫌々をするように首を左右に振った。その首筋に琉斗は唇を触れさせる。
「どうして? 俺のことを考えながらデザインしてくれたんだろう?」
「そ……だけど……」
「たまらなくそそられるよ」
琉斗の熱い息がかかって、腰の辺りがぞわぞわとした。肌が疼いているのに、布越しにしか触れてくれない。それがどうしようもなく焦れったくて、絵麻は体の前に回されていた琉斗の腕にすがるように掴まった。
「どうした?」
耳元で熱を帯びた声で囁かれ、絵麻は浮かされたように答える。
「ね、お願い……」
「どうしてほしいの?」
「そんなの……恥ずかしい」
「ちゃんと言ってくれないとわからないな」
琉斗の指先がショーツの上から花芯に触れた。薄い布の上から転がされ、淡い刺激に絵麻は喘ぐように声を零す。
「ふ……あぁ……ん……やだ……」
「触られるのが嫌なの?」
琉斗の声が意地悪く囁き、彼の手が動きを止めた。絵麻は体の中で膨れ上がる切ないような疼きを持て余し、彼の腕を両手で掴んで振り仰ぐ。
「嫌じゃ……ない……直接……触ってほしい、の」
恥ずかしさのあまり潤んだ絵麻の目を見て、琉斗は絵麻をギュッと抱きしめた。腰をかがめて、絵麻の膝裏をすくい上げるようにしながら横抱きに抱え上げる。
「きゃ」
小さく声を上げた絵麻の唇に軽くキスを落とし、琉斗は彼女をリビング・ダイニングと隣り合うベッドルームに運んだ。ベッドの縁に絵麻を座らせ、その隣に腰を下ろす。
「着け心地のレポートはもういいの?」
琉斗は絵麻に口づけながら、ブラジャーの肩紐をずらした。カップの中にするりと指先を滑り込ませて、胸の膨らみを直接撫でる。彼の指先が胸の先端の敏感な箇所に触れて、絵麻は大きく体を震わせた。
「ん……レポートは……だいじょう、ぶ」
琉斗の手が背中に回り、ぷつりとホックが外された。腕からブラジャーを抜き取られ、彼の大きな手に膨らみをすっぽりと包み込まれる。胸の蕾をつままれて、絵麻の口から甘い声が漏れた。
「は、あぁんっ……」
「気持ちいい?」
胸の先端を捏ねながら、キスの合間に彼がかすれた声で問う。
「ん……いい」
「ちゃんと教えてくれたご褒美に、もっとよくしてあげる」
そう言うと、彼は尖りにきゅうっと吸いついた。
「ふあぁっ……」
熱を帯びた唇に食まれ、濡れた舌で嬲られ、歯を立てられて、絵麻の口から絶え間なく甘い悲鳴が上がる。
琉斗の手がお腹から太ももへと移動して、今度はショーツの生地の下に侵入した。彼の指先に割れ目の襞を軽く抉られ、絵麻は喘ぐように息をして琉斗の肩に掴まった。
「あっ……はぁ……」
割れ目を前後になぞられ、溢れていた蜜をまとった指で膨らんだ芽を転がされる。同時に執拗に胸の先端を刺激されて、絵麻は何度も背筋を震わせた。甘い痺れが体を走るたびに下腹部が熱く疼いて、絵麻の腰が無意識に揺れ始める。
「あ、琉斗く……んっ」
苦しくなるほど甘い刺激を与えられ、絵麻は息が上がって頭は霞がかかったようにぼんやりとしてきた。ベッドにゆっくりと押し倒され、力の抜けた体からショーツをはぎ取られる。衣擦れの音が聞こえて目を動かすと、ぼんやりとした視界に琉斗が着ていたものを脱ぎ捨てるのが映った。
「この前は……つらくなかった?」
琉斗は囁くように尋ねながら絵麻に素肌を重ね、脚の間の熱く潤ったところにゆっくりと指を沈めた。
「ひゃ、んっ」
中をほぐすようにじっくりと撫でられ、絵麻は小さく頷く。
「ん……だ、いじょうぶ……」
熱いそこを探られるたびに体が震えて、絵麻はギュッと目をつぶった。
「体は覚えてくれてるみたいだ。ねだるように俺の指を締めつけてくる」
「や……だ……」
「本当に嫌?」
琉斗が言いながらぐるりと指を動かした。その瞬間、ビリッとした刺激が背筋を駆け上がり、甘い声が漏れる。
「あぁんっ」
彼がふいに胸の膨らみに唇で触れた。先端を口に含まれ、甘噛みされて、ピリピリとした快感が込み上げてくる。
「ちゃんと教えて」
彼の息に肌をくすぐられ、どうしようもなく体が熱い。
「や、じゃ……ない。もっと……して、ほしい」
囁くように答えた直後、押し広げられる感覚がして、中で蠢く長い指が二本に増やされた。感じるところを徐々に強く攻められて、淫らな水音が高くなる。中を嬲られながら、すっかり熟れた胸の尖りを舌で舐めしゃぶられて、目の前が白く染まり始めた。体の奥から愉悦が膨れあがり、全身の血が熱くて頭がクラクラして、もうなにも考えられない。
「ふ、あぁっ……もっ……ダ、メーッ……!」
頭の先まで電流のような刺激に貫かれ、絵麻の体がぴんと張り詰めた。
やがて絵麻の体からゆるゆると力が抜け、琉斗は彼女の髪を愛おしむように撫でた。絵麻の呼吸が少し落ち着いてくると、琉斗はゆっくりと体を起こし、額にキスを落とす。
「絵麻、かわいい」
絵麻を熱っぽく見つめる彼の表情は、ゾクゾクするほど野性的で色っぽい。彼が絵麻の顔の両側に手をついて覆い被さり、絵麻はとろりと微笑んだ。
「なに?」
絵麻の表情の変化に気づいて、琉斗が言った。
「琉斗くんがかっこよくて、なんだかドキドキする……」
絵麻の言葉を聞いて、琉斗は小さく笑みを零した。
「俺もドキドキしてるよ」
琉斗が絵麻の右手を掴んで、彼の左胸に押し当てた。ほどよく盛り上がった逞しい胸板に触れ、余計に胸がドキドキしてしまい、絵麻は感じているのが自分の鼓動なのか彼の鼓動なのかわからなくなる。