きみが好きだから、誰にも渡したくないんだ
乙女ゲームの世界で大聖女として目を覚まし、ある使命を授かったリンネ。前世で推しだった騎士・アルベールの名誉に繋がればと彼の任務同行を望むも、なんと居場所は牢獄!? 護衛となったアルベールの再起と心根の優しさを信じる彼女だが、張り切るあまり力を使いすぎてしまう。聖女の力は、抱かれなければ回復しないという秘密を知らずーー「頷くまできみを離さない」相手探しをなんとか決心したリンネに彼が見せてきたのは、隠しきれない独占欲と熱情で・・・!
*本書は、『転生したら最弱魔術師だったので極秘任務で成り上がりを目指したのに、じゃない方の執着系黒騎士がかたときも離さずメロメロに溺愛してきます』のスピンオフ作品となります。
神殿に戻ってきたときには夕闇が迫っていた。
明日は拠点を移動するので、みんなは宿に戻って荷物をまとめているだろう。
リンネも荷物を整理するため寝室へ向かった。背後には、ぴたりとアルベールがついてくる。
「明日にはここを離れるんですね。私も荷物をまとめます」
「あぁ、その前に……」
なにか用事があるのだろうか。
寝室の扉を開けると、後ろからアルベールも入室してきた。
パタン、と扉が閉まる音が鳴り、ふと振り向く。
その刹那、強靱な腕に搦め捕られた。
「あっ……アルべー……」
抱き寄せられ、逞しい胸に密着する。
雄々しい唇が迫ってきて、強引にくちづけられた。
濃密なキスに息すら継げない。
チュウ……ッ、と音を立てて下唇に吸いつかれる。
緩んだ唇の合わせに舌を挿し入れようとしてきたので、リンネは慌てて分厚い胸に手をついた。
「ちょっ……と、待って」
押し戻そうとしたものの、強固な胸板はびくともしない。
間近から紺碧の双眸に見据えられ、どきんと心臓が弾む。
「待たない。今すぐにきみがほしい」
彼の瞳には情欲のかけらがちりばめられている。
それは熱くて、眩くて、途方もなく胸を焦がす。
軽々と横抱きにされて寝台に運ばれながら、動揺したリンネは思わず訊ねた。
「急ですけど……なにかあったんですか」
いつもは体調と胸の紋を確認した上で、寝支度を整えてからアルベールが寝室を訪れるという流れだった。
それなのに帰るなり求めてくるなんて初めてだ。
そもそも、この行為は魔力を補充するためなので、本来はリンネのほうからアルベールに頼まなくてはならない。
けれど彼がまるで恋人にそうするように求めてくるので勘違いしそうになる。それとも恋人でなくても、アルベールはこういうふうに熱烈に求めるのだろうか。
シーツにそっと体を横たえる仕草は優しいのに、すぐに覆い被さってきたアルベールは獰猛に唇を奪った。
雄々しい舌をねじ込まれ、口腔を犯される。
敏感な粘膜を擦り合わせると、ぞくんと呼応するように下腹が疼いた。
アルベールのキスはことさら濃密で、ねっとりと舌を舐る。
涼やかな美貌を見せている普段の彼からは想像もできない巧みな愛戯だ。
「ん……んっ、ふ、ん……」
チュ、チュク、と淫らな水音が静かな部屋に鳴り響く。
彼のキスに懸命に応えていると、緩く舌を甘噛みされた。
思わず舌を引くと、アルベールは欲の色を孕んだ双眸で見据えてくる。
「さっき、エドガーの後ろ姿を目で追っていたね」
「え……? 休憩のときに話したあとですか?」
「そう。エドガーがちらっときみを見たときも、目が合っていたよ」
それがどうしたのだろうと、リンネは目を瞬かせる。
確かにそのとおりだけれど、あのときはアルベールが黒騎士団よりもリンネに忠誠を誓うような言い方をしたので、そちらのほうに気を取られていた。
「特に意味はありませんけど……? エドガーはきっと、アルベールが聖女である私に肩入れしているのが、黒騎士団への復帰に不利になると思ったのではないでしょうか。私もエドガーと同じ意見です。今のうちから黒騎士団のみなさんの信頼を得ておかないと……んっ」
まだ話している途中なのだが、チュッと上唇に吸いつかれる。
彼の大きな手が、咎めるようにドレスの上から大胆に胸を揉み込んだ。
「あのね、何度もエドガーの名前を呼ばれると、おれの神経が擦り切れそうになるんだけど。きみはおれのものなんだから、ほかの男を認識しないでほしい」
「エド……えっと、相棒に嫉妬してるんですか?」
「もとからリンネはやたらとおれの相棒に詳しかっただろう。低血圧とかね。あのときから、きみはエドガーが好きなんじゃないかと苛々してたよ」
そういえば合流した直後に、聖女の能力を証明するために夢で見たと称して、いろいろな情報を開示していた。
それらはすべてゲームのシナリオから得たものである。エドガーのルートを攻略しているのでラストシーンまでは見たが、それと好きかどうかは別だ。
「そういうわけじゃありませんよ。キスまでは見ましたけど」
ぴたりと、胸を揉んでいたアルベールの手が止まる。
彼は訝しげに眉根を寄せた。
「え? エドガーと……キスした夢を見たの?」
「えっと、夢で見ただけなので、本当に経験したわけではありませんから」
驚愕の表情を浮かべたアルベールは、無造作にリンネのドレスを脱がせていくので焦る。
彼はシュミーズの裾から手を差し入れ、ショーツを脱がせる。下着姿で下肢にはなにも穿いていない状態なので、すうっとした。
「ふうん。夢に見るからには、そういう願望があるってことだよね?」
「……あの場合はそうとも言えないですね」
あくまでもゲームのスチルなので、回収した達成感は得られるが、エドガーへの恋心があるかどうかは別だと思う。
しかし、説明ができないのでリンネは気まずそうに目を逸らした。
冷徹な目で見下ろしたアルベールは、リンネの両膝を抱え上げる。
はらりとシュミーズのフリルが舞い、脚を大きく開いた格好にされる。
「あっ……こんな格好、恥ずかしい……!」
なにも穿いていないので秘所が丸見えになっている。
しかも踵が高く掲げられていて、身じろぎすらできない。
秘所を上から見下ろしながら、アルベールは質問を続ける。
「おれとキスする夢は見ていないの?」
「見ていません……。諸事情により選択しなかったというか……アルベールとは実際にキスしてるじゃないですか」
「へえ。選択しなかったんだ。エドガーのほうを選んだということ?」
「ええと……そういうことになりますけど、あくまでも夢の話です。私はアルベールのファンですから」
「そう言いながら、リンネはおれの相棒とキスするんだね」
「ですから、夢で見ただけですってば! そういう流れになるから仕方ないんです」
半裸で秘所をさらしながらの尋問なので、恥ずかしくてたまらない。
早く脚を下ろしてほしくて、リンネはできる限り正確に答えたつもりだった。
だがアルベールは掲げた脚を解放しようとはしない。
彼は口端を引き上げて、悪辣な笑みを浮かべた。
いつも爽やかな彼がそんな悪い顔をすると、妖艶さが際立つ。
「許せないな。リンネにはお仕置きが必要だ」
「お、お仕置き……ですか?」
「きみを蕩かせて啼かせて、おれのを咥えたら体内にたっぷり精を注ぐよ。おれのことしか考えられないようにしないとね」
直截な台詞に、どきんと胸が弾む。
顔を下げたアルベールは、さらされているリンネの秘所にむしゃぶりついた。
ズチュッ、グチュ、と淫猥な水音を鳴らして濃密な愛撫を施される。
「あっ、あ……やだ、こんな格好で……」
足をばたつかせるが、虚しく宙を掻く。
上から押さえつけられた格好なので、開いた花びらはまるで肉槍を挿入されるのを待ちわびているかのように濡れ光っているのが、アルベールからは見えている。それにことさらに羞恥を煽られた。
蜜口をねっとりと舐りながら、アルベールは低い声を響かせる。
「すごく淫らな聖女になったね。もうこんなに濡れてる。早くおれのを咥えたくて、ひくついてるよ」
煽るように卑猥な台詞を吹き込まれ、ぞくんと肌が粟立つ。
毎晩のように彼に抱かれているうちに、すっかり体は快楽の味を覚えて淫らに反応するようになっていた。
自分が淫乱だなんて信じられないけれど、楔を挿入されて擦り立てられると、気持ちよすぎてわけがわからなくなってしまう。
今もアルベールの唇と舌で巧みに愛撫され、淫芽は蕩けて、蜜口からはしとどに愛液が溢れてきた。
それを音を立てて啜り取ると、アルベールは妖しく自らの唇を舌で舐め上げる。
「挿れるよ。このままの格好でおれを受け入れるんだ」
「そんな……あ、ぁん……あっ……」
ずぶ濡れの壺口に、上から猛った楔を押し当てられる。
ぐちっと湿った音を鳴らし、いっぱいに開かれた蜜口は極太の亀頭を咥え込んだ。
ずぶずぶと硬い雄芯が沈められていく。
「はぁ……ん、あ……入って、る……」
ねっぷりと媚肉を肉槍で撫で下ろされ、快感を煽られる。
根元まですべてを収めると、アルベールは深い息をついた。
「あぁ……最高だ。好きだよ」
その言葉をもらうたびに、ずきりと胸の奥が抉られる。
アルベールは行為の最中に「好き」という言葉を使う。どうしてそんなことを言うのだろう。リンネの体が好きという意味だろうか。
訊ねてみたい気もするけれど、激しい律動が始まり、意識が快楽に呑み込まれていく。
ズチュズチュと重みのある抽挿が、感じる粘膜をいっそう蕩かせる。
まっすぐに熱杭に貫かれた体は、甘美な沼に浸っていた。
「あっ、あん、ふ、んっ、ぁ……きもちい……」
浅く息を継いで胸を喘がせる。
体中が甘く痺れて、与えられる愉悦だけを追っていた。
アルベールは額に汗の粒を光らせながら、紺碧の双眸に熱を込めている。
「達しそうなときは『イク』って言うんだよ」
「んっ、ん……いく……いくっ……」
極めそうになったら伝えるのは、彼との約束事だった。
口にすると、より深く快感に沈み込んでいく。
逞しい腰を突き入れながら、アルベールは嬉しそうに喉奥で笑った。
「もう? 早いな」
「ん、だって、あ、ぁ……奥が……」
ぐっと最奥を抉られると、悦楽の波が押し寄せてくる。
宙を掻いた手を取られ、指先を絡めてつながれた。
快感を極めようと熟れた体はきざはしを駆け上がり、ぴんと爪先が伸びた。
獰猛な肉槍を深く咥え込みながら、伸ばした両脚がひとりでに高く掲げられる。
その姿はまるで吊られた鳥のようにも見え、生贄の蝶にも見えた。
「あっ……あ、あっ……んぁ――……っ……」
絶頂を掴んだ体が純白の煉獄に囚われる。
ずっぷりと埋め込まれた雄芯が爆ぜ、濃厚な白濁が体の奥深くに注ぎ込まれた。
すると、聖女の紋は黄金の輝きを取り戻す。
天から墜落した肉体は力を失い、踵がシーツに下りる。
ぎゅっとアルベールの腕に抱きしめられ、朦朧としていた意識がよみがえる。
体中が甘い痺れに浸されていた。彼の熱い体温に痺れる体ごと包み込まれたことで、アルベールという男に抱かれたのを自覚した。
「すごく可愛かった。好きだよ」
チュッと唇にキスされ、甘い言葉が胸に優しく浸透する。
いまだに体内に楔を収めているアルベールは耳朶を甘噛みした。
ぬるま湯にたゆたうような後戯の合間に、リンネは掠れた声を出す。
「あなたは、好きってよく言いますけど……」
続く言葉が出なかった。
私の体が好きなんですか、とは傲慢にも下品にも取れる気がしたから。
アルベールは桜色に染まった肌を撫で下ろしながら、リンネの耳元に甘く囁く。
「きみが好きだから、誰にも渡したくないんだ」