イケメン有能検事×会社が廃業してしまったOL
失業が決まって途方に暮れる衣奈は、酒の席で大学時代の交際相手・汐見と偶然再会。彼は検察官になっていた。当時は汐見の足を引っ張るだけと考えて別れた衣奈だったが、汐見は今も好きだと熱く掻き口説いてくる。優しく誠実な彼に徐々に心を溶かされていくも、ある日彼に執拗にまといつく女性を見てしまい……。しかもそれは衣奈の知る人物で――!?
こんなすごいとこ所有してるお兄さんって……。もう、それだけですごいんですけど。
心の中で苦笑していると、エレベーターが五階に到着した。廊下を進んでいき突き当たりの部屋の前で彼が足を止め、ドアを開けた。
「どうぞ、入って」
「は、はい。お邪魔します……」
玄関の三和土に靴は置かれていない。すっきりしてるな、なんて思って足下に視線を落としていたら、背後から抱きしめられた。
「……衣奈」
肩にコテンと汐見君の額が乗る。そっちに視線を送ろうとすると、柔らかな彼の髪が頬に触れ、同時に彼の香りであてられそうになる。
「どうしたの……」
「もう我慢できない……抱きたい」
はっきり言われて、お腹の奥がキュッと疼く。
――私も……汐見君に抱かれたい……
なんならそのつもりで来てるし。ここまで来たらもう、心のままに行動する。
お腹に回された汐見君の手に、自分の手を重ねた
「いいよ。……私も、そのつもりで来てるし。……だ……抱いて、ほしい……」
思いを口にしたら、汐見君の体がビクッと震えた。すぐに肩から顔を上げた彼が、私の体を反転させ向かい合う格好になる。
抱いてほしい、だなんて恥ずかしいことを口にしてしまった。恥ずかしさの極地で彼の目を見られずにいると、いきなり強く抱きしめられすぐに口づけられた。
「……ん……っ」
押しつけられた唇の隙間から、すぐに肉厚な舌が滑り込んできた。口の中を蹂躙する彼の舌に自分のそれを絡めてどうにか応戦する。それでも、圧倒的にスキル不足の自分ではこれが精一杯。だんだん呼吸と体勢がきつくなってきて、背中を反らせながら、汐見君の胸を掌で叩いた。
「……っ、ごめん」
「あ、謝らなくてもいいけど……ごめん、私、下手……」
申し訳なくて半泣きになる。でも、なぜか汐見君は嬉しそうに笑っていた。
「そんなことないって。というか、俺は拙い衣奈にすごく萌えてる」
――それは、どういう……?
疑問に思うけれど、これに対しての答えは返ってこなかった。汐見君は私の手を引きリビングへ行き、リビング内にあった引き戸を開けた。そこは和室になっていて、畳の上にはきっちり畳まれた布団が一式置かれていた。
――布団、だあ……
彼は手際よくその布団を敷くと、その上に腰を下ろした。
「布団狭くてごめん」
「さっき狭いって言ったの、布団のことだったの?」
真顔で訊ねたら、汐見君がぶっ、と噴き出した。
「違うけど。でも、結果的にそういうことになるね」
二人で顔を見合わせ笑う。
布団の狭さなんか気にならないほどに、今はこの人と一つになりたかった。
「なんだって平気」
汐見君の胸に飛び込むように抱きつくと、彼がそれを受け止め唇を合わせにくる。後頭部をがっちり押さえられながら、そのまま布団に倒れ込む。
私が仰向けになり彼が私の上になる。我を忘れて彼にしがみつきながら、噛みつくようなキスを繰り返す。
「……んっ、はぁっ……」
隙間で呼吸をしながら、追いかけてくる汐見君の唇にまた自分のそれを重ねた。唾液が絡まりあって淫らな音を立てるけれど、お互いに興奮しているので全く気にならない。
それともお酒が入っているからなのか。だとしたら、お酒の力ってすごい。
――あ……
キスをしながらも、汐見君の手は乳房の上にあった。服の上から鷲づかみにされ、指の腹に力を入れつつ、ゆっくりと揉み込んでくる。その際指の腹が乳首に触れ、びくっ、と腰が揺れてしまう。
「……もう服の上からでもわかるくらい、固くなってきてる」
言われるとかあっと顔が熱くなってくる。
「だ……だって……触るから……」
「うん、そうだね。……ここ、美味しそう」
白いボタンダウンシャツの上から、胸の辺りを指でなぞられる。乳首に触れそうで触れないそのもどかしさに、心臓の音が大きくなっていく。
「触るなら、触って……」
耐えられなくなり私からおねだりすると、汐見君が嬉しそうに微笑んだ。
「うん、じゃあ……外すね」
私の背中側に手を入れた汐見君は、服の上からブラジャーのホックを外した。パチ、という音と共に胸の圧迫感がなくなり、ブラジャーが胸の上に浮く。
彼は素早くシャツのボタンを外すと、胸を覆っていたブラジャーを胸の上からどけた。その途端さっきから自己主張しまくっている乳首がシャツの上からでも分かるようにぷくりと膨らんで、その位置を知らせてくる。
もちろん、彼がそれを見逃すはずはなく、すぐに指で愛撫を始めた。
「ンッ……!」
触れられるとシャツに擦れるぶん、余計に快感が増した。
私がたまらずよがると、彼はよりいっそう愛撫に力を入れる。指で執拗に擦ったり、二本の指で摘まんで引っ張ったり。
それによって与えられる快感で、私の呼吸が荒くなり始めた。
「やん…………し、汐見君……そこばっかり……」
「だって可愛いから。舐めてもいい?」
「うん……」
彼から目を逸らしつつ頷くと、すぐに彼がシャツごと乳首を口に含んできた。それを服ごと吸い上げられて、たまらず背中が反った。
「あンっ……!!」
じゅ、じゅっ、という吸い上げる音がするたびに、艶めかしさで体が熱くなっていく。直接されるのももちろん気持ちはいいけれど、服の上からされるのはまた違う気持ちよさを私に運んでくる。
「あ……だめ、それっ……」
「だめなの? 気持ちよくない?」
胸元から上目使いでこちらを見てくる彼に、激しくときめく。この人にこんなことをされているなんて。それだけでじゅうぶんいけないことをしている気分になる。
「気持ち……いい……」
「じゃあやめてあげない」
素直になったらなったで、今度はもっと激しく吸い上げられた。吸い上げたあとは舌で何度も嬲られて、僅かばかり残っていた理性が吹っ飛びそうになる。
「ん……っ、あ、だめ、だめっ……」
首を横に振ってだめだと言っても、彼は一向にやめてくれない。
「はあ……衣奈、ヤバ……すっげえ可愛い……」
口元を拭いながら、汐見君が顔を上げる。でも、その間も乳首への愛撫は止めていない。指でキュッと摘まんでは放し、を繰り返して私に快感を与えてくる。
汐見君が片手でネクタイを緩め、外して布団の横に放ると、着ていたシャツのボタンを胸元まで外した。
ハアハアと呼吸を荒げながらその光景を見守っていたけれど、今夜の汐見君はセクシーさが半端ない。そんな彼を前にして、私が欲情せずにいられるわけがなかった。
――もっと触れてほしい……
仰向けになっている私に覆い被さるように、汐見君が上体を寝かせてきた。そんな彼の首に自分から腕を絡ませ、舌を出してキスをせがむ。
「ん」
あっさり受け入れた汐見君が舌を絡めてくる。口の中いっぱいの舌に翻弄され、だんだん思考が奪われていく。
ずっとこのままでもいいかも、なんて思い始めたとき。私のパンツのウエストからシャツを引き抜かれる。まだかかっていたボタンを全て外され、シャツの前身頃が左右に開かれた。すでにホックが外されているので、役目を果たしていないブラジャーが胸の上に乗っている。それを彼がどかすと、ふるりとした乳房が彼の眼前にまろび出る。
「衣奈、キレイだ」
そっと乳房に手を沿わす。まるで壊れ物を扱うかのように優しく触れてくる汐見君にこっちがドキドキする。
「……っ、前にも見たことあるのに……」
「そうだけど。でも、やっぱり直接、目のあたりにすると違う。めちゃくちゃ柔らかいし、白い……」
ふわっと両手で乳房を鷲づかみにされる。さっき服の上から触ったばかりなのに、直接触れるのは違うらしい。彼の息づかいが荒くなっていくのがわかるから。
「衣奈……好き」
乳房に顔を寄せた汐見君が、乳首を口に含む。はじめにちゅっと吸い上げたあと、舌の先端を使いチロチロと舐めたり、ツンと突いたり。
「ん、んんっ……あっ……」
舐められるたびに下腹部にじわりと快感が広がり、蜜口から蜜が溢れ出るのがわかる。
脚を擦り合わせてどうにか耐えるけれど、体が勝手に熱を帯び、呼吸が乱れる。
彼の愛撫が少しずつ私を淫らにしていく。
「あっ……ン……」
片方は舌で愛撫し、もう片方は手のひら全体を使って揉み込んだり、指で転がしたり。これだけで全身から力が抜けて何も考えられなくなる。
頭がぼーっとしている中で、彼の手が私のパンツのウエストにかかったのがわかった。あっ、と思う間もなくホックが外され、パンツを脱がされた。下半身を覆うのはショーツのみ。そのショーツの中央、クロッチ部分に彼の手が触れる。
「……濡れてるね」
「や、やだ。言わなくていいから……」
「これもういらないね、脱いじゃおう」
言い終える前にショーツを脱がされた。いくら過去に見られたことのある相手とはいえ、やっぱり見られるのは恥ずかしかった。
両手で顔を隠している私に、汐見君がふっ、と吐息をもらす。
「何、恥ずかしいの?」
「う……あっ……!」
言っているそばから、彼の指が秘裂に触れた。ビクッとしたら汐見君の顔に笑みが浮かぶ。
「すごい。もうぬるぬるだ」
「だから、言わないでって言ってるのに……っ、や、あ……!」
指で秘裂を下から上になぞられる。蜜口の中につぷっと指を差し込まれ、そのまま前後に動かされる。
「あ……っ……」
自分の中で指が動いている。その感覚にはっと息を吸い込んだまま固まってしまう。
彼は指を差し込んだだけでなく、動かしながら優しく膣壁を擦っていく。
――そうだった。この人、昔もセックスのときこんな感じで私を愛撫したっけ。
などと昔のことを思い返していると、襞の奥にある敏感な突起を掠め、お腹の奥がきゅうっと締まった。
「ここももうこんなに……」
こう言ったきり、彼が黙った。どうしたのかと思って彼を目で追うと、いきなり身を屈めて股間に顔を近づけていた。
「や、ま、待って……っ……ンンンっ!!」
指で襞を広げ、突起を剥き出しにして舌で突いた。それだけで腰が跳ねるほどの快感に襲われた私に、彼は容赦なかった。舐めるだけでは飽き足らず、今度はそれを口に含んだり、強く吸い上げたりと激しい刺激を与えてくる。
触れられただけでもじっとしていられないような敏感な場所を、これでもかと執拗に責められて、呼吸もままならないくらい喘いでしまう。
「い、あ……っ、は、あっ、だめえ、それ……!」
「だめじゃないよね。衣奈は昔からここをこうするの好きだったでしょう」
「好きだったって……そこで喋らないでっ……!」
股間で話されると、吐息が当たってまた子宮がきゅんとする。
――この人、わざとやってない……?
それよりもこの人、私とセックスしたのは何年も前なのに、今でもそのときのことをまだ覚えているのだろうか。
「こうするのが好きだったって……そんなことまだ覚えてたの……?」
汐見君が舐めるのを止め、顔を上げてこちらを見た。
「忘れるわけない。ていうか、何度も何度も思い返してたから」
「思い返し……?」
彼が立ち上がり、シャツを脱ぎ捨て半裸になった。そして私に背を向けると、寝室を出て行ってしまう。あれ? と思っていたら、手にミネラルウォーターのペットボトルと、真新しい避妊具の箱を持ってきた。
まずペットボトルを私に差し出し、そのあと避妊具の箱を開け、中から正方形のパッケージを取りだした。それを間近で見ると、これからするんだという実感が湧いて、ますます緊張してしまう。
「どうしようか。もう挿れちゃう?」
汐見君が悪戯に笑う。