アパレル販売員としてはヤリ手だけど、恋愛には奥手な杏奈。ある日、年上の幼なじみで実業家の伊吹から突然キスされて、全力で口説かれることに! 「もう我慢しない」という伊吹の激しく甘い愛撫に翻弄されつつも、初めての恋を自覚する。そんな中、彼の会社でトラブルが…。伊吹が頼りにしてくれないことで、自分に自信のない杏奈の不安は増していき!?
「俺がなにに怒ってるかわかる?」
「……吹雪くんとふたりで会ったこと?」
「そうだな。それから?」
「えっ……あの、伊吹くんにすぐに連絡しなかったこと?」
「それで?」
まだあるのか……と、杏奈が困惑する。
程なくして、彼が痺れを切らしたように開口した。
「そもそも、俺以外の男とふたりきりで出掛けたのがダメだ。あと、吹雪に家の前まで送らせたことも。……まあ、杏奈をひとりで帰らせてたら、吹雪にも怒ってたけど」
(それって、結局はどうするのが正解だったの……?)
杏奈の疑問を察するがごとく、伊吹が微笑む。けれど、その目の奥は笑っていなかった。
「ちなみに、杏奈が俺以外の男とふたりきりで過ごした時点で、正解はないよ」
「えぇ……。あの、ごめんね? 今度からはもうしないから。吹雪くんにも、伊吹くんと付き合ってることは言ったし……」
「……そう」
伊吹の表情が、ほんのわずかに緩む。
杏奈が安心したのも束の間、彼が杏奈の身体に体重をかけた。
「でも、それはそれとして、杏奈にはちょっとお仕置きが必要だな」
重くも痛くもないが、伊吹の言葉は聞き流せないものだった。
「へっ……?」
うっすらと嗤う彼が、杏奈のルームウェアを一気にたくし上げる。パイル地のタンクトップが胸の上まで捲られ、抵抗する間もなくブラも押し上げられた。
「やっ……!」
突如、明るいリビングで上半身をさらすことになり、杏奈の頬が羞恥で染まる。
伊吹の誕生日にもダイニングチェアで愛撫はされたが、杏奈が恥ずかしがって『ベッドに行きたい』と懇願すると、服をすべて剥がれる前に寝室に移動してくれた。
「やだっ!」
ところが、今日は白昼のような明るいライトの下、豊かな双丘が丸見えになっている。咄嗟に両手で胸を隠すと、彼が不服そうに眉をひそめた。
「杏奈、手をどけて」
「だ、だって……」
「言っただろ? これはお仕置きだ」
告白されてからも、付き合うようになってからも、伊吹はときに意地悪な一面を見せた。
しかし、それはいつも杏奈が不安を感じない程度のもので、情交のときだって本気で恥ずかしがって抵抗を見せれば無理強いはされなかった。
「今日は甘やかさないから」
それなのに、今夜の彼はいつもと違う。怖くはないが、杏奈の想像以上の羞恥に襲われそうで、なかなか手を動かせなかった。
「じゃあ、そのままでいいよ。その代わり、こっちを可愛がることにするから」
え……と声を漏らす間もなく、ショートパンツのウエスト部分から骨ばった手が侵入してきたかと思うと、そのままショーツの中を探られた。
「きゃあっ……!」
杏奈が反射的に胸から離した手を伸ばし、伊吹の右手を掴む。けれど、彼は杏奈の抵抗を物ともせずに左手で華奢な両手首を掴み返し、柔毛をかき分けて秘芽を見つけ出した。
「あっ……」
いきなり脆弱な部分を押され、杏奈の腰がビクッと跳ねる。まだ濡れてもいなかったが、突起の上で指を上下に動かされると、すぐに快感が芽吹いた。
杏奈は唇を噛み、声を押し殺すようにする。ただ、そんなものは意味がないと、杏奈自身がよくわかっていた。
快楽に抗おうとする杏奈だが、花芽をこすられているうちに下腹部が熱くなっていく。伊吹の左手は細い両手首を掴んだまま、杏奈の頭上で拘束した。
杏奈が必死に首を振っても、彼の責めは緩まない。
「んっ、っ……ぁっ」
蜜粒を愛でていた指が潤み始めた秘孔に軽く差し込まれ、蜜を纏ってまた元の場所に戻った刹那、噛みしめていた唇の隙間から甘い声が漏れた。
膨らみつつある小さな真珠に、ぬるりとした愛蜜を塗りたくるようにしてこすられる。
上下に、左右に、捏ねては押し上げて、クルクルと回すように。丹念でありながらも容赦の
ない愛撫は、杏奈の身体をゆっくりと確実に悦楽の中に堕としていく。
「あんっ、ぁっ……! ダメッ……やあぁっ!」
あっという間に高みへと押し上げられ、杏奈の身体がビクビクと震えた。
ところが、伊吹は手を休めない。
「ああっ……やっ、待っ……! 今、っ、ダメッ……」
指の腹で転がすように花芯を捏ね回され続け、戦慄く腰が引ける。けれど、彼がますます指
を強く押しつけて責め立て、苛烈な刺激を受け止め切れない杏奈が連続で昇り詰めた。
「ひっ……あんっ、あぁっ……!」
数回跳ねた背中に合わせ、豊満な乳房がぷるんっと揺れる。淫靡な光景に、伊吹は唇の端を軽く持ち上げた。
「今日はナカでもイけるようになろうか?」
「やっ……! もう、無理……ッ」
呼吸を乱して涙を零す杏奈に、彼は容赦のない提案を寄越す。
これまでの情事では、杏奈はいつも外側の刺激で快感を得ていた。内側ではまだ大きな愉悦を上手く得られず、伊吹が内と外を同時に責めることで達していたのだ。
「そろそろナカだけでイけると思うよ。杏奈だって、気持ちいいことは好きだろ?」
俺が触ると嬉しそうに感じてくれるし……なんて囁かれて、羞恥でいっぱいになる。それでも、図星を突かれたせいで否定もできなかった。
伊吹が目を眇め、陰核に当てていた指を蜜口に押し込んだ。
「あっ……!」
グッと一気に根元まで差し込まれたのに、痛みも違和感もない。むしろ、喉を仰け反らせた
杏奈は、内壁をこすられる感覚に身を震わせた。
「すごいな、とろとろだ。もしかして、強引にされる方が感じる?」
「ちがっ……!」
「杏奈はいじめられるのが好きなのかもしれないな」
首をぶんぶんと横に振った杏奈だが、隘路をくすぐる指に意識が持っていかれる。すぐに二
本目の指も挿入されたというのに、抵抗感はまったくないままに受け入れていた。
「ふぁっ……ッ、んんっ」
指をぐるりと回されて、柔襞がきゅうきゅうと轟く。まるで、節だった指を食い締めるような反応を見せる杏奈に、彼は満悦の表情を浮かべていた。
入口近くを撫でられ、襞を伸ばすようにこすられて。流れ込んでくる喜悦に翻弄されていると、今度は指を鉤状にして下腹部側を刺激される。
押すようにこすり上げられるとたまらなくて、ぬかるみから漏れ出た雫が割れ目を伝い、ショーツの中をぐちゃぐちゃに汚していった。
悦楽にはまだ少し足りないが、確実にそれに近い感覚はある。初めてのときとは遥かに違う感じ方に、杏奈は戸惑いながらも息を乱して喘いだ。
「ぁあんっ……っ、そこ……! なんか、変……」
伊吹の指が同じ場所を引っかくたびに蜜路はすぼまり、ぎゅうぎゅうと締まる。触れられていない秘玉までもが痺れ、勝手に腰が引けるが、彼の指はいっそう蜜壁を抉った。
「やあっ……あぁんっ」
「杏奈がナカで一番感じるところだ。ほら、怖がらなくていいから身を委ねて」
立て続けに達したせいで身体はつらいのに、伊吹の優しい囁きに自然と従順になる。上手く力は抜けなかったが、聞き慣れた声音が杏奈に安心感を与えてくれた。
杏奈の声がいっそう高くなり、勝手に腰が揺らめく。
きっと、あと一歩。いつもならここでとどまっていた杏奈の身体に激しい電流のような喜悦
が走り、指先まで駆け抜けていく。
とどめとばかりに蜜筒をグリグリと嬲られると、もうひとたまりもなかった。
「ひっ……ああぁぁぁぁっ……!」
今までで一番強烈な快感に、視界がチカチカと明滅する。指を勢いよく引き抜かれた秘孔からは小さな飛沫が上がり、全身がガクガクと震えていた。
杏奈が果てたことを自覚したのは、脳芯まで痺れていることに気づいたときだった。唇から零れる息はひどく乱れ、肌に触れる空気にすら身震いしそうになる。
酩酊しているように思考は働かず、ショートパンツとショーツを脱がされたことはおろか、
彼が自分の上からどいたこともすぐにはわからなかった。
「杏奈、水飲んで」
程なくして聞こえてきた声を追うように、瞼を開ける。ほぼ同時に唇が塞がれ、そこから入ってきた水を自然と飲み干した。
今日初めてのキスがこれだなんて……と思いつつも、カラカラに渇いていた喉と身体には砂漠の中のオアシスのように心地よく、二度目の口移しも素直に受け入れていた。
喉と身体が潤った頃、悦楽に襲われ続けていた全身にわずかな余裕が戻ってきた。
しばらくぶりに視線が交わり、杏奈の中に安堵感が広がる。伊吹も微笑み、その表情からはさきほどの不機嫌さは消えていた。
「挿れるよ」
「えっ……?」
いつの間に準備を整えていたのか、反り勃つ剛直には薄膜が被されている。両膝の裏を抱えられて秘裂にそれをあてがわれると、グッと腰を押しつけられた。
「やっ……ちょっと待っ――ッ」
杏奈の制止を待たず、彼が雄芯を奥まで突き挿れる。杏奈は背中を反らせ、息を詰めた。
「もう待てない。さっきからずっと、杏奈のナカに挿りたくて仕方なかったんだ」
劣情と熱を孕ませた目で見据えられると、身体に残ったままの絶頂の名残を持て余しながらも拒絶なんてできなかった。
伊吹がTシャツだけを脱ぎ、スウェットのパンツは中途半端に下ろしただけのままで腰をゆるりと揺らす。充溢した昂ぶりで蜜路がこすられ、杏奈は悩ましげな吐息を漏らした。
「いぶきく……くるし……」
いつにも増して膨張している雄杭が、幼気な姫洞を行き来する。激しさはないのに、杏奈の身体はしっかりと感じながらもその質量を持て余していた。
「まだ音を上げるのは早いよ。これからもっと深くまで挿れるんだから」
その言葉に背筋がぞくりと粟立った刹那、彼が杏奈の身体を起こした。
「あんっ!」
必然的に奥深くまで怒張が突き刺さり、杏奈は伊吹に胸を強調するようにして仰け反った。
「そういえば、今日はまだここを触ってなかったな」
わざとらしい声が聞こえたかと思うと、無造作にむにっと右の膨らみが揉まれる。豊満な白い果実はぐにゅっと形を変え、手のひらで先端を強くこすられた。
「ひゃぁんっ……」
なんとも情けない喘ぎが飛び出し、上半身で受けた刺激に連動して蜜道が収縮する。キュンキュンと轟く襞は、まるで屹立に纏わりつくようでもあった。
「これ、っ……深……」
さきほどよりもずっと苦しく、息が上手くできなくなっていく。けれど、伊吹は体位を変えるつもりはないのか、そのままゆるゆると腰を突き上げ始めた。
「ひっ、ぁっ、ああっ」
指で愛撫され続けていた脆弱な内壁を、今度は凶暴で獰猛な欲望でこすり上げられる。それがただの刺激で終わるはずがなく、杏奈の身体は喜悦として受け取った。
緩かった律動はすぐに速度を増し、戦慄く蜜襞を強く捏ねる。
右手で細い腰をグッと引き寄せ、左手ではたわわな乳房を揉みしだかれて。丸みを帯びた先
端で隘路を縦横無尽に責め、トントンと奥を突かれる。
丁寧に絶え間のない抽挿が繰り返され、杏奈はどの刺激に感じているのかわからなくなるほど愉悦に溺れていった。
「そのうち、一番奥でもイけるようになろうな」
うっとりとしたような囁きも、杏奈の耳には上手く届かなくなっていく。
「ぅっ、んぁっ、あんっ……ッ、はぁんっ! あっ、ぁっ、ああぁぁぁっ……!」
下腹部の裏側をグリグリと嬲られると、白く柔らかな肢体が大きくのたうった。
「クッ……!」
痙攣する蜜窟にぶるっと胴震いした彼が、膜越しに精を放つ。ビクッ……と勢いよく迸った欲は、きつく締めつけてくる内壁によって最後の一滴まで搾り取られた。
様々な体液でどろどろの杏奈の傍で、伊吹が素早く処理を済ませる。そして、杏奈を抱き上げ、寝室に向かってベッドに下ろした。
(もうダメ……。動けないかも……)
杏奈は肩で呼吸をしながら、ぼんやりとしたまま瞼を閉じようとする。ところが、不意に身体を翻された。
「えっ……」
漏れ出た声はか細く、もう体力が残っていないことを物語っていた。
それなのに、背後から感じたのは、自分とは違う逞しい肢体の感触と重み。ギョッとした瞬間、杏奈の耳朶を生温かいものがたどった。
「んっ……」
それが伊吹の舌だとわかるまでに数秒を要し、その間に悪魔のような囁きが紡がれる。
「次は杏奈がおねだりできるまで挿れてあげない」
直後、杏奈はまだお仕置きが終わっていないことを察した。
「んぁっ……あんっ」
もう無理だと訴えるよりも早く、秘所に硬いものが当たる。伊吹は杏奈の背中に覆い被さるようにし、再び昂っていた熱芯であわいをこすった。
くちゅんっ、グチュッ……と、さきほどの行為で生成された蜜が淫靡な音を奏で、彼の動きをサポートするかのごとく滑らせる。
ぷっくりと膨らんだ先端が、秘裂ごと陰核をいたぶった。
「あっ、あぁっ……やぁんっ」
伸びてきた大きな手が揺れる双丘を掴み、指先で突起を摘まむ。度重なる喜悦に襲われて赤く色づいていたそこは、まだほとんどいじられていないのにツンと尖っていた。
「ほら、全部気持ちいいな?」
伊吹はゆるゆると、けれど確実に可憐な三つの赤い真珠をいたぶる。いやらしい水音を響かせながら挿入時のように腰を動かされて、杏奈は甘苦しい快楽に襲われ続けた。
「杏奈のナカ、きっとさっきよりグズグズだ。今挿れたら、ふたりともすごく気持ちよくなれるよ」
決して強くはない、優しい責め。それなのに、すでに何度も果てている杏奈には苦悶にも似た感覚に思え、気づいたときには緩やかな絶頂の中にいた。
「ひっ……やめっ、ッ! ……イって、る……もう、イったからぁ……」
昇り詰めたまま下りてこられないのは、水中にいるときのように苦しかった。もう受け止め切れない悦楽を逃がしたいのに、彼の指も腰も止まらない。
これまでは激しいなりにも優しく抱かれ、ここまで立て続けに達することはなかった。けれど、それは伊吹が手加減してくれていただけだと知る。
「じゃあ、俺を欲しがって。『挿れて』って言ってくれたら、これで最後にしてあげる」
思考力が落ちている杏奈は、快感の沼から抜け出したくてたまらない。
「杏奈……っ、可愛い……。杏奈の可愛さは、俺だけが知っていればよかったんだ」
そのさなか、嫉妬だとわかるような言葉が紡がれ、杏奈の胸の奥が高鳴った。
解放してほしかったはずなのに、途端に愛おしさが込み上げてくる。気づけば、力なく振り返って口を開いていた。
「ッ、挿れて……。伊吹くっ……! お願い……」
震える声で甘えれば、彼はうっとりとした笑みを浮かべて雄刀で杏奈を一気に貫いた。
「ああぁっ……!」
杏奈の視界の中で激しい光が弾け、濁流のような絶頂感に襲われる。感じすぎて全身がのたうつように震えているが、骨ばった手が腰を掴んで杏奈の逃げ場を失くした。
次いで、容赦なく腰を突き上げられる。ズンッ……と重く凶暴に最奥を抉られると、杏奈は涙を零しながら喉を仰け反らせた。
「ぅぁっ……はぁんっ、あんっ、あぁっ」
掠れた声で喘ぎ、イヤイヤをするように首を横に振る。
「ッ……ん、気持ちいいな? 杏奈のナカ、俺のを必死に締めつけてくる」
過ぎた快感は苦しいのに、そう遠くない場所に高みが見える。これ以上達するのは怖いが、
蜜路は剛直を離したくないと言わんばかりにぎゅうぎゅうと食い締めていた。
「杏奈……吹雪だけはダメだ。……ッ、もう絶対に、吹雪とふたりでは会うなよ?」
乱れた呼吸の合間に落とされる言葉が、限界寸前の杏奈の思考に辛うじて届く。もう考える気力もなかったが、杏奈は必死に首を縦に振った。
「いい子だ」
刹那、屹立が杏奈の下腹部側を穿つようにこすり上げる。
「あっ……あぁっ、んぁっ、ぁあんっ……ッ」
シーツに頬をつけながら甲高い声で啼く杏奈は、剥き出しになっていた秘芯をグリッと押し潰された瞬間、法悦の波に呑み込まれた。
「やあぁぁぁっっ――!」
全身をびくつかせながら達し続ける杏奈を追うように、伊吹が瞼を閉じて歯噛みする。
「っ、ぅっ……ッ、クッ……!」
その直後に大きく胴震いすると、蠢動する蜜窟にしごかれて精を発した。
生き物のようにビクビクと跳ねる切っ先から、二度目とは思えないほどの飛沫が放たれる。
「ふぁっ……んっ、ァッ……」
その刺激にすらよがった杏奈は、程なくして強張らせていた四肢をくたりと弛緩させた。
もう瞼を開けている力もなく、呼吸が整う前に思考が閉じていく。
「無理させすぎたな。このまま眠っていいよ」
そんな杏奈の唇に柔らかなものが触れたとき、今夜一番の安堵感が芽生えた。
「おやすみ、杏奈。愛してる」
甘い囁きはもうほとんど聞こえなかった杏奈だが、彼の匂いと腕の感覚に包まれながら意識を手放した。