ずっと彼女を探していた元先輩×遠慮がちで質素に暮らす元後輩
会社が倒産し派遣OLになった春香。コールセンターの仕事中、偶然取った電話の主は大学の先輩で初恋の人、祐樹だった。それをきっかけに彼は春香を探し出して会いに来る。「好きだよ。再会できたのは、運命だと思ってる」今度こそ絶対に離さない、と祐樹は甘々に優しく溺愛し求婚してくるが、御曹司の彼とは身分違いではないかと春香は不安になって…!?
「私は、ただ……」
「ただ?」
「先輩と……もう少し、一緒にいたくて」
春香は蚊の鳴くような声で言った。
自分の顔が赤くなっているのがわかる。
「嬉しい」
「あっ」
耳にキスされ、小さく声を上げてしまう。
「俺も、春香ともっと一緒にいたいと思ってた」
「先輩……」
ゆっくりと顔を上げると、祐樹が熱いものを秘めたような目でこちらを見ていた。春香は魅入られたように、彼の瞳から目を離せなくなった。
まぶたを開いたまま、祐樹の顔が近づいてくる。そのまま、唇と唇が重なった。近過ぎて、もう瞳はよく見えない。
ちゅっ、ちゅっ、と音を立ててついばむように下唇を食まれる。
「んんっ……」
キスはもう、何度もした。祐樹のキスはいつだって、優しく温かい。でも今日はそれだけでなく、とても情熱的な感じがした。
唇を舌先でノックされ、薄く開くと、深いところまで舌が入り込んできた。
祐樹の舌は、少しお酒の味がした。自分もきっと、同じ味がするのだろう。
今日はけっこう飲まされた。とはいえ春香は酒に弱くはないので、さほど酔ってはいないのだが、少しだけ開放的な気分にはなる。
自分からも舌を絡め、祐樹と唾液を混ぜ合わせるようにすると、背筋がビリビリするほど気持ちがよかった。
祐樹の両手が、春香の頬を包んでくる。その手が温かく、気持ちがよくて、頬を擦り付けるようにしてしまう。
「春香……」
「先輩……」
春香は祐樹の首に腕を回した。祐樹の腕も、腰に回ってくる。体が密着して、一体感が高まり、お互いの存在をより強く感じる。
このままずっと、離れないでいられたらいいのに。
くちゅくちゅと、唾液の弾ける音が脳に直接届き、頭のなかがふわふわしてきた。
うっとりとキスに夢中になっている春香の唇から、祐樹の唇がそっと離れていった。
「あ……」
思わず不満を滲ませた声が出た。
「……いい?」
祐樹がいままで見たこともないような真剣な顔をして言った。
「え?」
なにが? と少し考えてから、キス以上のことを求められていることに思い至る。
キスでぼーっとしていた頭が、サッと冷えた。
交際している男性を家に入れるというのがどういうことか、まったく考えなかったわけではない。
でも覚悟のうえで祐樹を招き入れたのかというと、そんなことはなかった。
春香は祐樹以外の男性と付き合ったことがない。もういい大人だが、処女は処女なので、どうしたって初めての行為は怖い。
不安に揺らぐ春香の視線を受け止め、祐樹が手を握ってくる。
「優しくする」
言わずとも、初めてだということは察してくれたらしい。
一度ぎゅっと抱き締められ、手を引かれて立ち上がった。
ひとり暮らしの狭い部屋では、三歩も歩けばベッドに着いてしまう。
小花柄の掛布団がめくられ、白いシーツの上にそっと押し倒される。額にかかった前髪を指先で分けられ、そこに唇を落とされた。
「優しくする」
もう一度言われ、唇にキスされる。それから、頬へ、耳の下へ。
息をすると、祐樹の髪の匂いがして、うっとりした。
「んあっ……」
耳の下をぺろっと舐められ、ピクッと体を震わせてしまった。
一日そとに出ていた体だ。しかも、季節は夏。大半は冷房の効いた室内にいたとはいえ、それなりに汗をかいているはずだ。
「あの、せ、先輩っ」
「なに?」
同じところをさらにペロペロと舐められ、大げさに体をヒクつかせてしまう。
「ちょっと待って……シャワーをっ……」
「どうして? 美味しいよ」
とてつもなく恥ずかしいことを言われてしまい、言葉を失う。
「春香の匂いがする」
祐樹が春香の髪に顔を埋め、うっとりした声で言った。
春香もついさっき同じことを思ってうっとりしてしまったので、もうなにも言えなくなる。
祐樹の顔が、首筋に下りてきた。それと同時に右手が服のなかに入ってきて、お腹の辺りに直接触れてきた。
「あっ」
「すべすべで気持ちいい」
脇腹を何度も上下に撫でられ、くすぐったいけれど気持ちがいい。
「可愛い、春香」
まるで壊れやすい貴重品を扱っているみたいに、祐樹の触り方は優しい。
柔らかな唇と大きな手に翻弄され、熱い吐息を漏らすことしかできなくなる。
力の抜けた春香の白いカットソーを、祐樹が下からめくり上げてくる。
春香はされるがままでいたが、もうすぐブラジャーに包まれた胸が見えてしまうというところで、ハッと我に返った。
「やっ……!」
両手で胸を守るように隠してしまう。
「恥ずかしい?」
こくこくと頷いて、部屋の照明に目をやった。ふたりでベッドに上がった以上、止めてくれとは言わないが、せめて明かりを暗くしてほしい。
春香は太っても痩せてもいない、普通の体型だ。胸は、少しだけ小さい。
特別引け目を感じることはないのかもしれないが、煌々と明かりのついた部屋で自信満々に晒せるほどのスタイルではない。
「わかった」
祐樹はベッド脇の棚の上からリモコンを取り、寝るときの明るさまで照明を落としてくれた。
「これでいい?」
「は、はい……」
本当は真っ暗がよかったけれど、それだと手探りでことを進めなくてはいけなくなってしまう。
祐樹の手が、春香の体の上に戻ってくる。今度は容赦なくブラの上まで服をめくり上げられ、春香はギュッと目を閉じた。
「……っ!」
春香は体を強張らせて小さく震えた。
祐樹の視線が乳房に突き刺さっているのが、見ていなくてもわかる。
「これ、外すよ」
そう告げられた直後、祐樹の手が背中に回ってきた。ブラジャーのホックが外され、押さえつけられていた乳房が解放される。
直接胸を見られていると思うと、恥ずかしくて恥ずかしくて頭がおかしくなってしまいそうだ。祐樹がどんな目をしているのか、怖くてとても見られない。
はぁ、と祐樹が大きく息を吐いたのが聞こえてきた。
「……綺麗だ」
春香は恐る恐るまぶたを開いた。
祐樹が熱っぽい目で、自分を見下ろしている。がっかりした様子がないことに、心から安堵した。
「本当に綺麗だ」
左の乳房を、手で持ち上げるように触れられた。
そして祐樹の顔が下りてきたかと思うと、右の乳房の先端に吸い付かれ、春香は背中を跳ね上げた。
「ああっ!」
ビリッと痺れるような快感が、乳房の先端から背筋へと走る。
こんな感覚は知らない。春香は初めての感覚に怯えた。体を洗うときなど、自分でそこに触れたことは何度もあるが、こんなふうにはならなかった。
春香の戸惑いをよそに、祐樹はますます熱心に乳房に触れてきた。
ふにふにと胸を揉まれ、恥ずかしいのに気持ちがよかった。
祐樹の手の動きに合わせて、乳房の形が変わる。先端が硬くなっていくのが、自分でもわかった。
「んんっ……せ、先輩っ……」
「祐樹って呼んでくれ」
そう言って祐樹が胸の谷間を舐め上げてきた。
下の名前でなんて、一度も呼んだことがない。いままでずっと、先輩か高見先輩だった。
「……祐樹……先輩……」
「先輩はいらないかなあ」
両方の乳房を寄せ集めるように愛撫される。
「……祐樹、さん」
「よくできました」
ご褒美、というように、胸の先にキスをされた。
ビクッと震える春香の胸をひと揉みし、祐樹の右手が体をなぞって、脚の方へ下りてくる。
子供の頭でも撫でるみたいに、膝を撫でられた。その手が、太股へとゆっくり上がってきて、スカートのなかに入ってくる。
「あっ……!」
春香は慌てて強く膝と膝を擦り合わせた。
「脚、開いて」
耳元で祐樹が言う。
「で、でも……」
「俺に、春香の大事なところ、触らせて」
さわさわと太股を撫でられる。ぴったりとくっつけた左右の内腿の間を、中指が何度もなぞってくる。
この奥に入りたいのだと言われているみたいで、たまらない気持ちになる。
「う……くぅ……」
小さく呻いて、春香はなんとか膝の力を抜いた。
祐樹を拒みたいわけではないのだ。
彼の手が、下着越しに、誰も触れたことのない、春香の一番大事なところに触ってきた。
「あっ」
反射的にまた強く膝を合わせてしまったが、祐樹の手を挟んであそこに押し付けるような形になり、かえって恥ずかしくなった。
恐る恐る脚を緩める。
祐樹が股布の上から、指をぐっと食い込ませてくる。下着が濡れてしまっているのが、自分でもわかった。
割れ目に食い込んだ指が、ゆっくりと上下に動く。
「んくっ……!」
「気持ちいい?」
答えられず、春香は横を向いて枕に顔を埋めた。そうしないと、恥ずかしい声が出てしまいそうだった。
指先が、何度も何度も、割れ目をなぞる。一番敏感な突起のところで軽く引っ掻くようにされると、腰が震えた。
羞恥でおかしくなりそうだった頭のなかは、だんだんとぼんやりしてきた。
「っ……んんっ、ん……」
じっとしていられず、爪先で何度もシーツを蹴る。体が燃えるように熱かった。
「……直接触るよ」
上手く力の入らなくなった脚から、蜜液で濡れたショーツが剥ぎ取られた。
大きく脚を割られ、間に祐樹が入ってくる。
「あ……」
「感じてくれて、嬉しい」
大きな熱い手が、しっとりと濡れた花弁に触れてきた。
「ああっ!」
布越しに触れられるのとは桁違いに強い快感に、春香はたまらず背中を反らし、大きな声を上げた。
祐樹の指先が、蜜を湛えた入り口の辺りを小さな円を描くように掻き混ぜる。くちゅくちゅといやらしい音が立ち、愛液が伝い落ちてシーツを濡らした。
「あっ……んああっ、だめぇっ……!」
脚を閉じたいのに、祐樹の体が間にあるせいで閉じられない。
甘く蕩けるような快感が、触れられたところから体全体に広がっていく。喘ぎながら体を震わせる春香を、祐樹は熱っぽい目で見下ろしている。
少しして、入り口にぴたりと当てられた指先が、じわじわとなかに侵入してきた。
「あっ……」
「大丈夫、痛くない」
祐樹の言う通り、痛くはなかった。
ただ異物感は相当なもので、なにより自分でも触れたことのないところに触れられているという事実が春香を戸惑わせた。
一度深いところまで入れられた指が、ずるーっと抜かれていく。そして完全に抜け切る前に、また深くまで挿入された。
「せ、先輩っ」
「祐樹」
「祐樹さんっ……こ、怖いっ」
「怖くないよ。気持ちよくなるだけだ」
そう言って祐樹は、指を埋めた状態で敏感な肉芽を転がしてきた。
「あっ、ああっ!」
「すごい、春香のなか、俺の指を食べようとしてるみたいに動いてる」
肉芽をいじられながら、ものすごく恥ずかしいことを言われたが、もう恥ずかしがる余裕もない。
切ないような甘く重い疼きが、下腹部からせり上がってきた。ガクガクと勝手に腰が揺れて、止まらなくなる。
どんなに体をよじっても、祐樹の手はべったりと張り付いたように離れない。ジンジンと痺れる肉芽を何度も転がされ、春香は限界を迎えた。
「あっ――んああっ……!」
汗まみれになった全身を硬直させて、絶頂に達した。泣きたくなるほどの快楽が全身を包み込み、目の前に火花が散ったような衝撃を覚えた。
「はぁっ……あ……ふあぁ……」
ゆっくりゆっくり絶頂から下りてくる間、祐樹はずっと頬を撫でてくれていた。
「可愛かったよ、春香」
なんとか呼吸が整ってきたところで、優しく口づけられた。まだ腰がふわふわしているような、変な感じがする。
「――していい?」
祐樹が顔を離し、真剣な表情で尋ねてきた。
「祐樹さん……」
経験はないが、何を求められているかはわかった。